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第5回官能句会レポ~私が「恋の沼句」を所望した理由

さっぽろ俳句倶楽部にて、先日約1年ぶりの「官能句会」を開催しました♡
いつもは隔月で、“真面目”な句会を催していますが、時折スピンオフ企画とて登場します。

1年前の記録はこちら↓

官能句会が生まれた経緯はこちら↓

リピート参加してくださる愛好者もいらっしゃれば、新しいメンバーも積極的に参加してくださり、これまでとはまた違った味わいのある投句が集まりました。

なぜ、今「恋の沼句」?
~第51回「現代俳句講座」に向けて


ちなみに、今回のお題は「恋の沼句」としたのですが、なぜそのお題になったかは、こちらに理由がありました・・・

10/24(土)下記のイベントにパネラーとして登壇するためです。
東京近郊の方はぜひ聞きにいらしてください✨

それぞれのキャッチコピーに注目!(汗)

恋句は甘くなりがちで、俳句の世界ではあまり歓迎・評価されないため、そこを避ける向きもあります(若い頃の私は、恋が身近な素材だったので、あまり気にせず詠んできましたが)。

でも、短歌のように感情を溢れさせすぎず、高揚感に身を浸し過ぎず、象徴的に詠んで恋の喜びや苦しみを伝える方法があるのではないか?そんな探求心をもって、官能句会を営んできました。ちなみに官能とは、肉体への刺激というよりも、想像力をもって満たされる楽園をイメージしています。

ともあれ、このような座談会のオファーをいただきつつ、最近は文芸的な官能スイッチを眠らせてきたので、久々にお仲間と一緒に「官能を探求」できたらなということで、第5回目の句会開催となりました。

第5回「官能句会」、高点句・注目句鑑賞


前置きが長くなりましたが、高点句・注目句を挙げて鑑賞してきます。

蛍狩り指輪の跡を見ないふり 英利子
胡瓜食む様な目で追う薬指 祐美
曼殊沙華他人(ひと)のものほど欲しくなる 昼顔

いわゆる「道ならぬ恋」を詠んだ3句。

1句目「指輪の跡」は一緒にいるお相手の男性のものかもしれないし、作中主体である女性のものと読んでもいい。逢うときに指輪を外すのは誠意なのか、やさしい嘘なのか。「蛍狩り」「見ないふり」の「り」の脚韻が、重たくなりそうな内容を軽やかに逃がしている。

2句目「胡瓜食む様な目」という独特な比喩に注目!人間と言うより、ちょと虫っぽいのでしょうか……獲物を追うような目つきで、相手の薬指を追い掛ける。確かに「沼」です。

3句目は、人間の中にある「闇」を抉り出す句。泥沼愛界隈では少し手垢のついたフレーズへ詩的成分を加える季語「曼殊沙華」の力。独特の立ち姿で、真っ赤に燃え毒を秘めている花は、中七以下の呟きを口にするひとそのものだ。

桃食へば桃の息する女かな  七歩
こんなにも好きで妬心の桃となる 探花


photo by イメージズラボ 
 

季語「桃」は秋の果物というだけでなく、エロスの象徴として詠まれることも多い。女の呼吸に「桃の香」を嗅ぐことによる感情のよろめき、恋の甘やかさが溜まるほど身の内に妬心をも育てていくという苦しさ。「恋の沼」を表すのにふさわしい季語だ。

夏蝶や水面の君へ溺れゆく 空井美香
脳すべて「あなた」に満ちてところてん ともよ
七夕や隠して返さぬ君の靴  鯊夢

恋句になると登場してくる「君」「あなた」の二人称。使い方次第では、演歌やJ-POP的な抒情に流れてしまうが、掲句はどれも実体のある「君」であり、「あなた」だ。

1句目の「水面の君」は水面に映った恋人の顔。夏蝶は作者の化身。恋人そのものへ溺れゆく恥じらいがあるから、想像の中で溺れてゆくのだ。

2句目の鍵括弧付の「あなた」は、さまざまな場面で目にした「あなた」の集合体。「ところてん」の季語から、自分でも戸惑うくらい脳内が次から次へと「あなた」に満たされて困惑している様が伝わる。

3句目は季語がなければ、「いじめ」の現場のようにも読めてしまうところを「七夕」で反転させている。これは可愛らしい意地悪なのだ。せっかく会いに来てくれた「君」の「靴」。帰って欲しくないから隠して返したくない……行為の描写で恋を表しているところが巧い。

遠花火今夜はきつと手を繋ぐ  一路
急流となる夏シャツを脱がせ合い 優理子
髪洗ふをんなの首の小さき疵 祐

photo by イメージズラボ

より二人の距離感が近く、息遣いが感じられるシチュエーションだとエロス成分も上がって来る。

1句目「今夜はきっと」という内なる予感、あるいは決意。夜に相手の体温を感じたら、手を繋ぐだけでは済まないだろうというのは想像を先走らせすぎか(笑)

2句目は拙句。出世作(自分で言う💦)となった「夏シャツの乳房で伸ばす畳み皺」の世界から、大人に羽搏いた句…という自解。

3句目、その「首の小さき疵」が視界に入るということは、至近距離で髪洗う場面を目撃しているということ。情事の後の「疵」と読んでもいいですが、今初めて気づいて目を吸い寄せられているという景のほうが「沼」感がある。

推し活の水蜜含(ふふ)む夢かしら まさひで
二人きり夏の星座の螺子を巻く  武彦

最後はお口直し(?)におとぎ話的な句を。

1句目「推し活」も確かに「沼」。数年来、「推し活」に憧れながら、推せる対象を見つけきれずにいる私。好奇心を向ける対象はたくさんあるのですが、沼れない…のは性格?いちばん沼っているのは28年続けている俳句かも…という真面目過ぎるオチでスミマセン💦

2句目は中七以下のフレーズがメルヘン。星空観測が、二人の「沼」なのでしょう。

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「さっぽろ俳句倶楽部」では、奇数月20日~25日頃にSNS(X・Facebookグループ)にて兼題発表、夏雲システムを活用して句会を開催しています。ご興味ある方は、HPのお問合せよりご連絡ください。1句から参加できる句会ですので、初心者も歓迎です!




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