九州大学はなぜ不祥事が繰り返されるのか:研究倫理・パワハラ・情報管理から考える大学ガバナンス
裏金で揺れる福岡県にある、九州大学。日本を代表する研究大学です。
世界トップレベルの研究成果を生み出す一方で、近年さまざまな不祥事やコンプライアンス問題が報じられてきました。
もちろん、どの大規模組織でも不祥事は起こり得ます。
しかし重要なのは、
「事件が起きたこと」ではなく、「そこから何を学び、組織をどう変えるか」
です。
今回は近年の九州大学・九州大学病院を中心とした主な事案を整理してみます。
① ポスドク焼身自殺事件
九州大学で最も衝撃的だった出来事の一つが、
若手研究者(ポスドク)の焼身自殺事件
です。
報道や第三者調査では、
研究室内での人間関係
指導体制
パワーハラスメントの疑い
若手研究者の孤立
などが社会問題となりました。
大学は第三者委員会による調査を実施しましたが、
「若手研究者を守る制度は十分だったのか」
という議論は現在も続いています。
この事件は、単なる個人の問題ではなく、
アカデミアにおける雇用不安定性や上下関係の問題
を社会に突きつけました。
② 臨床研究における倫理指針違反
2022年には、九州大学病院で実施された臨床研究について、本来必要だった文書同意が取得されていなかったことなどが判明しました。
調査では、
文書同意ではなく口頭同意で進められた症例
同意取得自体が確認できない症例
も認められました。
幸い患者への健康被害は確認されませんでしたが、
大学は文部科学省・厚生労働省へ報告し、
再発防止策を公表しました。
③ 経費不正使用
九州大学では、病院長による
架空出張
不適切な給与受給
なども公表されています。
大学は返還請求や懲戒処分を行い、研究費管理体制の見直しを進めています。
④ 情報セキュリティ
近年は研究室端末へのランサムウェア攻撃も発生しました。
患者情報や手術動画の流出可能性が公表され、医療機関としての情報管理体制も問われました。
大学病院は今や、診療だけでなく、サイバーセキュリティも重要なガバナンスの一部になっています。
共通して見える問題
これらの事件は内容こそ異なります。
しかし共通するキーワードがあります。
それは
「内部統制」
です。
例えば、
研究倫理違反なら
倫理審査
パワハラなら
人事・相談体制
経費不正なら
会計監査
情報漏えいなら
情報セキュリティ
つまり、問題が起きるたびに、
「担当者が悪かった」
だけでは済まされません。
東大とも共通する課題
東大医学部でも、
収賄
利益相反
研究費管理
などが問題となりました。
九州大学も、研究倫理や内部統制の課題が続いています。
両大学に共通しているのは、
世界トップクラスの研究力を持ちながら、ガバナンスが必ずしもそれに追いついていない
という点です。
「監督する側」は十分機能していたのか
ここで私は以前から疑問に思っています。
不祥事が起きるたびに、
実行した個人は処分されます。
しかし、
監査
監事
コンプライアンス部門
内部監査
執行部
については、十分に責任が議論されているでしょうか。
もちろん、すべての不正を防ぐことはできません。
しかし、長期間にわたり問題が続いたのであれば、
「監督機能は適切に働いていたのか」
という検証も不可欠です。
研究力だけでは世界一流になれない
大学ランキングでは、論文数や研究費が注目されます。
しかし、これからの大学に必要なのは、
研究力
教育力
ガバナンス
コンプライアンス
ハラスメント対策
情報セキュリティ
これらすべてです。
一つでも欠ければ、
社会からの信頼は失われます。
おわりに
九州大学は日本を代表する大学です。
だからこそ、
不祥事を単なる「事件」として終わらせるのではなく、
日本の大学ガバナンス全体を見直す契機
として活かしてほしいと思います。
研究力とガバナンスは対立するものではありません。
むしろ、優れた研究は、優れたガバナンスの上にしか成り立たない。
それが、これからの研究大学に求められる姿ではないでしょうか。
#九州大学 #九州大学病院 #大学病院 #大学改革 #ガバナンス #コンプライアンス #内部統制 #監査 #監事 #研究倫理 #臨床研究 #利益相反 #ハラスメント #パワハラ #ポスドク #研究者 #アカデミア #医療ガバナンス #大学経営
