くだらねえとつぶやいて、
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昔から通勤電車と駅からの道で、音楽をよく聴く。いい歳なので、ここ10年くらいは最近の流行りがわからない。昔聴いた曲ばかり、プレイリストに並んでいる。
日本語の詞が綺麗だと感じる曲が好きだったりする。
この半年くらい、今まで以上に聴き込んだ曲が一つある。
エレファントカシマシの「今宵の月のように」。
近年は歌い手の宮本浩次さんもテレビなどで露出が増え、昨年のシャンプーのCMなど、聴く機会がだんだん増えてきた。
いまさら言うまでもない、ありきたりな選択かもしれない。
この歌との出会いはたぶん発表の年、小学生くらいだった私は当時住んでた町の本屋さんに漫画の単行本を買いに行って、棚に入った目当ての一冊を探していたとき、この歌の「ポケットに手を突っ込んで歩く いつかの電車に乗って…」の一節が店内で流れるのを聞いたのがはじまり。
当時はそのあまりにも飾り気のない詞を気にも留めなかったと思う。
その後大学生になった頃、YouTubeが学生たちの暇つぶしの材料になった。
最近の曲とか友達、彼氏彼女の間でウケる曲にあまり興味なかった私は、リアルタイムから外れたような曲を色々部屋で流したりしていたが、あるとき子どもの頃聞いた「電車に乗って…」のワンフレーズが不意に思い出され、曲を探してみたのが再会。
そこからエレカシに少しハマり、悲しみの果て、孤独の太陽とか、何曲かお気に入りはできた。
とりわけこの一曲は、何かの折に思い出してはここに帰ってくる歌になっている。
この歌は本当にシンプル。
演奏も何か耳に残るギターのリフがあるとか、詞が独創的ということはなく、至ってシンプル。
強いていうならボーカルの宮本さんの歌声だけが強烈な個性を放っているところだけだろうか。
落胆、失意の人が聞けば誰もがそう思うだろうが、
冒頭の「くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く」の一文が、ここ最近の自分の気持ちにぴったりはまる。
歌を真似して、ポケットに手を突っ込んだまま通勤途中の道を歩いてみる。
歌の中では、登場人物の「悲しみ」が何かは詳しく語られていない。
しかしそれがかえって、多くの人が人生のいろんな場面で感じる悲しさをそこに当てはめられる、それを受け止めてくれるような奥行きがある歌だと思う。
また、曲の中で感情は「悲しい」と若干ネガティブなものが並べられてはいるが、今この歌を聴くと、なぜかそこまで沈みきったものではないように感じる。言葉少なだが淡々とした情景描写が丁寧で、こんな文章が書けたら、と思うお手本のような詞。
新しい季節の始まりは
夏の風 町に吹くのさ
今日もまたどこへ行く 愛を探しに行こう
(エレファントカシマシ「今宵の月のように」)
夏頃、宮本さんがライブで歌ったセルフカバーの動画を見た。
過去のものは、当時の宮本さん自身から出ていたものかもしれないやるせなさ、やさぐれた感じがストレートに歌われているが、近年の雰囲気は逆に気落ちする人をみんな迎え入れてくれる優しさが出て、同じ人の歌なのに違った意味を感じられる。
帰り道に聴きながら、空を見上げると綺麗な満月だった夜も何回かあった。
宮本さんの歌声と歌詞に元気をもらい、毎日出勤だけはしていた。
この曲についてはもう少し書きたい。つづく。
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