恋愛小説の「お決まりパターン」を封じたら見えた、小説を書く「お決まりパターン」
私は毎月、無理難題でBL小説を書く企画を開催しています。
たまたま開催した企画の難題で「話がワンパターンになる」「ネタは腐るほどあるの書き進まない」物書きの悩みの種を見つけました。
創作大賞や公募に向けて執筆を始めた人の背中を押せれば幸いです。
小説企画の参加希望者が増えたので、少し難易度をあげてお題に「縛り」を加えてみました。
それが小説内で“お決まりのパターン“である「回想回帰」をしないという縛り。
・回想:過ぎ去ったことを振り返り、思いをめぐらすこと
・回帰:一周してもとへもどること
しかも全員小説の書き出しは同じ「ふと、振り返るとそこには」という、志村後ろ!と叫んでおいて、振り返るな!と言う、いかりや長介もびっくりなお題でした。
恋愛小説には“お決まりのパターン“がある。
「2人の出会い」→「過去の傷に塩をぬる」→「探さないで!大嫌い!でも好き」
「今更の再会」→「過去の清算」→「ずっと好きだったんだぜ、もう離さない」
最初にネタふりをして回想を挟み回帰する展開が多く、昨今の恋愛映画によくあるパターンの失踪展開も当てはまりますよね。
恋愛小説に限らずどんな小説でもほとんどが回想回帰を入れるのが“お決まりのパターン“。
そりゃあ、ある方が読みやすいし伝わりやすいし、なんせ展開しやすく書きやすい。
だがあえて。
回想回帰の“お決まりパターン“を封じて、恋愛モノの中でも特に重たい感情や、過去の傷で恋愛展開する傾向があるBL小説を書くとどうなるんやろうか?と企画をしてみました。
「ふと、振り返るとそこには」の書き出しと
「過去回想や回帰なし」のストーリー展開で
19人の作家が書く3000〜5000字のブロマンス〜BL
私の企画は基本参加人数9〜13人程度。
ですが、まさかの参加人数は自分を含めて19人、さらに遅刻でもう1本追加され、私を含めて20人参加してくれました。
「お決まりのパターン」を封じると見えた、作家の2つの「お決まりのパターン」
20人(うち自分+遅刻者1名)の作品を読み、18人分のレビューを書きながら気がついたので、報告させていただきます。
何かの参考にしてください。
対象は月一で私の企画に参加している常連作家さんと、数回参加している作家さん、そしてご新規の作家さんです。
小説に取り組むときのその人の“状況と背景“に対する判断基準であり、文章術などではありません。
脳内で起きていること、のほうが近いので、日々の生活や仕事、対人などにもあてはまります。
※すべて70%の予想であり、自分はどっち寄りかな?と柔軟に捉えて参考にしてもらえたら幸いです。
①鳴かぬなら、泣くまで並走ホトトギス(話がワンパターンになる)
物事には正しい手順があると信じ、一度知った手順を何度も繰り返す。
既に自分の手順に「回想回帰」が組み込まれている場合、その手順を封じられると戸惑いを覚え、書き進められなくなることもしばしば。
開始すると自分の手順を最後までやり遂げることが最重要なので、鳴かないホトトギスがほとほと疲れてガチ泣きしても、羽をハゲ散らかしても隣を並走し、自分の手順そって何度も何度も繰り返して目的を完遂します。
手数は少なくとも自分の癖に課題に添わせて書き上げ、時に力技でねじ込み、多少おかしくてもよしとして、達成感を得ます。
「登場人物を増やす」
「場面を切り替える」
「どこかで見たカッコウみたいなホトトギスが登場する」※ホトトギスはカッコウ属のホトトギス種です。
「クチバシの黄色い時に何かあったであろうホトトギスが折れた翼をチラ見せさせる」
手順は変えず文脈を変えることで、なんとかホトトギスを鳴かせにきます。
結果泣かせてしまい、それでも2人やり遂げた達成感を元に回想し、成功例として自分にプロセスにし、回帰していく小説を作り続けます。なんか、過去の話を書きたがる人が多いです。
一度知った手順で小説を書き続ける(登場人物、場面、設定、ジャンルで内容を変化させる)
コツコツ積み上げること、次のステップ、正しい方法を好む。「文章術」「〜の書方」を読んで自分のパターンを確認する(この手の記事や本を書く人も同族)
ストーリーで物事を考える傾向がある。
「どうして」に対し、「どのようにしてそうなったか」を答える。
達成感を感じたい。
②鳴かぬなら、其方はもうよいホトトギス(ネタは腐るほどあるの書き進まない)
今までとは違った課題がくるとやる気を出し、物事に対して常によりよいやり方があると考えます。
新たな手順を考えたり、違う手法を生み出すので型にはとらわれません。
案は出せるがそれに従うのは苦手で投げ出すときもあるが、ひとつ新しい手段を与えるとさらに良くなるように改善していく。
課題に対し自分でより良いやり方を見つけてチョイスするので、手数は無限大、作風や文体をガラッと変えてきます。
「初めての文体を使う」
「新しい書き方を見つける」
「名前の雰囲気がホトトギスに似てるからキリギリスのワンチャンに賭ける」
「唐突のヒクイドリ?」
選択肢が増えることをなんでも出来る好機と捉え走り出す。
新しい選択肢を増やし、ホトトギスのことなど忘れてウグイスとワンナイトしたかと思えば、正岡子規にうつつを抜かすなど、気がつけば発想の大風呂敷!結果、収集つかずにやめちゃいます。
そして数年後「初めましてホトトギス、楽しいことしよう!」と平気で鳥心を弄ぶこと遊び人の如し、涙も枯れたホトトギスしか残りません。
「回想回帰」はただの手段の一つにすぎず、封じられてもそれを好機とし、嬉々として新しい手法を探して大風呂敷を広げます。
選択を常に追求する、様々な文体を試していく。一つの書き方にとらわれない。
機会、可能性、選択肢。感情が動くか否か。手詰まりのヒントはほしい時だけチョイスする。
達成感よりも発想力、大風呂敷大好き。でも、続かない。
新しいことを考えるのは好きだが、それに従うかは別の話。
③鳴かぬなら、鳴かずにいようホトトギス(番外編)
一回見送り、自分の持ち玉や得意課題が来るまで参加を見送ります。
無理はしないのでストレスは溜まりませんし、挑まないので怪我も間違いも起きません。
作者は骨を休め、ホトトギスも羽を伸ばせてニッコリです。
この癖も含めて大切なあなたです。
物語の中の“お決まりのパターン“は、作家の“お決まりのパターン“でした。
この手の記事を読むと「自分は①だから(②だから)私は他のやり方は出来ない」と捉えて「出来ない理由」にする人が一定数います。
それもいいと私は思います。
なぜなら、この選択をとらなければここまで来れなかった、その選択があなたの生きた証だからです。
うん、よく頑張った、私達は本当によくやっている。
人の人生は様々なので、それを他人が知ったかぶってはいけないし、否定してもいけない。
とは言え肯定しすぎると、その人は色んなチャンスを逃すかもしれない。
今のやり方で進まなくなったり、疑問を感じていたら新しいプロセスを組み込む時かもしれないし、選択肢を増やすチャンスかもしれない。
私の企画に参加した人の中でも、自分の無意識の選択に気がついて報告してくれたり、結果的に違う選択に打破した方もいました。
これが正解か、不正解かの判断はその人のその後の行動次第です。
①と②の特性が混ざった人も少数人いますし、仕事をするときは①のプロセスを積み重ねるが、趣味の創作は②の色んなことを試したい人もいます。
理解すると選書にも使えるし、自分と合わない!と思う人にイライラすることも減るし、登場人物の性格設定にも大いに役立ちます。
小説に止まらず、様々な生活の中で私達は①も②も使っていますし、まれにほとんどどちらかに偏った人もいます。
そして文字数多くなるし、もうホトトギスとタイピングする事にほとほと疲れましたので、私はそろそろ大風呂敷を仕舞います。
もっと知ってみたい方はコメントでリクエストをください、無ければ解散です。
最後に私から言えるのは、どちらが良い訳でも悪い訳でもないし、自分は②だから①にはなれない訳でもない。
「あの人は違う」「あの人だから出来る」のでなく、みんな同じ人型哺乳類で根本は同じ地球人ということだけです。
だけどもし、グレイ型宇宙人が目の前にいたら、被爆の恐れもあるので素手では触れずに、冷静にNASAかJAXAにコンタクトをとる方法を共に考えていきたいものですね。
その者は、ちゃんと別者ホトトギス。

