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印刷用書体の開発とデジタルフォントの未来 #14|文字コードについて

前回お話した通り、デジタルフォントとして扱えるようにするためには、フォントの内部に様々な情報が必要になります。そうした情報のひとつとして、今回は文字コードについて考えてみましょう。
ここではUnicodeの仕組みを通して文字コードの概念をお伝えしたいと思います。

◉Unicodeとは

Unicodeの「Uni」とは「ひとつ」という意味です。
マシンやOSで扱う各国語の違いを、すべて一つの文字コードで統一しようとする世界標準規格です。世界中の言語を統一するということで、まさに壮大な世界文化の統合とも言えます。

ただ、当初からそのような遠大な構想を描き、準備していたとは私には思えません。
図1に示したように、Unicodeは「ここまでで足りるだろう」としていた仕様が、何度も繰り返し改訂されており、コード統一実現の困難さを表しています。

図1 Unicodeの発足とCJK統合漢字(株式会社イワタの資料を参考に作成)
図1 Unicodeの発足とCJK統合漢字
株式会社イワタの資料を参考に作成)

例えば、日本、中国、韓国の漢字を統合するため、「CJK統合漢字」という漢字集合が制定されました。「」のような類似する漢字を統合することで、文字コードの節約を目指したのです(図2上:統合された漢字の例参照)。

しかし実際には「やはり統一できない」「これでは使えない」ということで、「𠮟」「𠮷」といった統合できない漢字のコード領域が、どんどん拡張されていきました(図2下:統合されなかった漢字の例参照)。

こうしたことから、Unicodeの文字の拡張は、よほどキャパシティの広い領域を考えておかなければ不可能でしょう。

図2 CJK統合漢字の類似する漢字例
図2 CJK統合漢字の類似する漢字例

図3はUnicodeの概念図で、「文字空間」とも呼ばれています。
構造として、まず一番手前の面に 256×256の領域 があります。つまり一面で6,5536文字分のコードエリアを持つわけです。
この図の一番手前の面を「第0面」として、第0面から255面の合計256面までを1セットとします。
この1セットを「第1群」とし、128群まで想定した文字コードを決めていくというのがUnicodeの考え方です。
全体では 21億4748万3648 という膨大な文字コードを収める領域を持つことになります。

図3 Unicodeの概念図(UCS-4の全符号化空間のイメージ/ISO-10646より、株式会社イワタの資料を参考に作成)
図3 Unicodeの概念図
(UCS-4の全符号化空間のイメージ/ISO-10646より、株式会社イワタの資料を参考に作成)

図4はUnicodeの変遷です。Unicodeは年々その収録文字数を拡張してきました。拡張されるごとに、その文字領域に基づいてマシン搭載のフォント文字数の補充が図られてきました。
2024年9月には、Unicode のバージョンは16.0.0となり、収録文字数は154,998字になりました。
今後も各国言語の固有文字が増えることで拡張されることが予想されます。

図4 Unicodeの変遷(2025年2月現在、日本語に関連する主な項目を掲載、株式会社イワタの資料を参考に作成)
図4 Unicodeの変遷
(2025年2月現在、日本語に関連する主な項目を掲載、株式会社イワタの資料を参考に作成)

◉デジタルフォントは巨大なデータの塊

このようにデジタルフォントとは、グリフを含む文字コードや位置情報などの巨大なデータの塊であると言えます。
機能面から見ると、アウトライングリフだけではフォントとして組版することはできません
その文字がどのような仮想ボディを持ち、仮想ボディ内へどのように配置されているのかがマシンには分からないからです。

実はこうした文字組版の詳細情報をハードウェア的に規定したのが、第1章でも紹介した「SAZANNA-NV121」などの写真植字機でした。

デジタルフォントの場合、ソフトウェア的に組版情報を規定しているのがフォントフォーマットで、主にメトリックがそれを担っていると言えるでしょう。

また互換性の面から見ると、マシンあるいはOS間、多言語間での互換性、インターネットなどのワールドワイドな互換性を果たすのが、フォントフォーマットにおける文字コードや書体名であると言えます。

図5 写植時代とデジタル時代の違い
図5 写植時代とデジタル時代の違い

デジタルフォントが普及する以前の書体はスタンドアローンの世界で、互換性をまったく考えなくてよい時代でした。
文字コードの制限に囚われることなく、自社のマシンに都合の良いコード体系で、好きなだけ文字種を増やすことができました。

現在ではワールドワイドな世界標準を意識する時代になったわけですが、果たして以前の環境と比べてどちらがどうなのか。

どちらの良い点も取り入れながら、うまくデジタルフォントが作られていければ良いのかなと思っています。



【次回予告】

次回より、印刷用書体の文字デザインと設計についてお話していきます。


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