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ナイアガラ・オン・ザ・レイクで味わうイニンスキリンのアイスワイン

ナイアガラ・オン・ザ・レイクに行くなら、ワイナリー巡りを楽しみにしている方も多いと思います。

その中でも、カナダワインを語るうえで外せない存在が、Inniskillin、イニンスキリンです。

名前だけ聞くと、少し言いにくい。日本語で書くと、イニンスキリン。口に出すと、ちょっと噛みそう。でもこのワイナリー、実はカナダのワイン史ではかなり大事な場所です。

公式サイトでは、イニンスキリンはカナダ初のエステート・ワイナリーとして紹介され、1975年7月31日に禁酒法以来初となるワイナリーライセンスを取得したとされています。さらに1991年には、1989年のVidal Icewineがフランス・ボルドーのVinexpoで最高賞にあたるGrand Prix d’Honneurを受賞し、カナダワインの見られ方を変えた存在として紹介されています。

つまりここは、ただワインを飲みに行く場所ではなく、カナダワインが世界に見つかった場所のひとつ。

元米国大統領ジミー・カーターとドナルド・ジラルド_1996年

今回は、ナイアガラ・オン・ザ・レイクにあるイニンスキリンについて、歴史、アイスワイン、スパークリング・アイスワイン、受賞歴、そして実際に行く前に知っておきたい楽しみ方をまとめます。


イニンスキリンとは何か

ハニーのようなワイン

カナダワインのイメージを変えたワイナリー

日本でカナダのお酒と聞くと、メープルリキュールやクラフトビールを思い浮かべる方もいるかもしれません。

でも、カナダ土産として根強い人気があるのがアイスワインです。小さなボトルなのに、値段はなかなかかわいくない。最初に見ると、え、この量でこの価格ですか、と少し身構えます。

でもアイスワインは、そもそも作り方がかなり贅沢です。寒い季節に自然に凍ったブドウを収穫し、濃縮された果汁から造る甘口ワイン。たくさん飲むというより、少しずつ味わうタイプです。

イニンスキリンは、そのカナダのアイスワインを世界に印象づけたワイナリーとして知られています。1991年のVinexpoでVidal Icewineが高く評価されたことは、今も公式ヒストリーの重要な出来事として紹介されています。

名前の由来も少し不思議

Grand Prix d’Honneurを受賞

イニンスキリンという名前は、いかにもカナダ先住民の言葉かなと思いきや、公式ヒストリーでは、土地の以前の所有者であるInniskilling Fusiliersの大佐に由来すると説明されています。

しかも、公式サイトの一文がなかなか面白いです。

オーストリア人とイタリア人が、アイルランド風の名前で、カナダワインを始めた。

これだけで、すでにカナダっぽい。いろいろな背景が混ざり合って、最終的にナイアガラの畑でワインになる。移民の国カナダらしいストーリーです。

公式ストーリーをたどると、かなりドラマがある

Donald Ziraldo and Karl Kaiserが最初のブドウを植えた土地

1974年、まずはブドウを植えるところから

イニンスキリンの物語は、Donald ZiraldoさんとKarl Kaiserさんが、1974年にナイアガラ・オン・ザ・レイクのLine 3に最初のヴィニフェラ系ブドウ畑を植えたところから始まります。場所は現在のNiagara Estate Wineryの向かい側と紹介されています。

ここで大事なのは、当時のナイアガラが今のようなワイン観光地ではなかったことです。

今でこそ、ナイアガラ・オン・ザ・レイクといえば、かわいい街並み、ワイナリー、湖沿いドライブ、ちょっと上品な週末旅というイメージがあります。でも最初からそうだったわけではありません。

誰かが先に、ここでちゃんとしたワインを造れるはずだと信じて、畑を作った。その一歩があったから、今のナイアガラワイン観光があります。

1983年、鳥に先を越される事件

グリーンのネットで覆っている

イニンスキリンの歴史で、私が好きなのが1983年の話です。

公式ヒストリーによると、最初のアイスワインへの挑戦は1983年。しかし、そのブドウは鳥に食べられてしまったそうです。翌1984年にはネットで守り、自然に凍ったVidalブドウのアイスワイン収穫に成功したと紹介されています。

鳥さん、そこは飲まないで。

でも、こういう失敗談が残っているのが良いんです。最初から伝説だったのではなく、鳥に食べられたり、守り方を変えたり、試しながら今の形になっている。

ワインの歴史というと、急に格式高く聞こえますが、実際には農業です。天気、寒さ、鳥、タイミング。人間がコントロールできることと、できないことの間で造っているから、グラス一杯に物語が出るのだと思います。

アイスワインはなぜ特別なのか

アイスワインだけのテイスティングもできるよ

甘いだけでは終わらないのがポイント

アイスワインと聞くと、甘いワインでしょ、と思う方も多いです。もちろん甘いです。しかも、かなりしっかり甘い。

ただ、良いアイスワインは甘さだけで終わりません。酸味があるので、重たくなりすぎず、フルーツの香りや余韻が残ります。

イニンスキリンのVidal Icewineのテイスティングノートでは、マンゴー、アプリコット、ハチミツ、ピーチ、ブラウンシュガーのようなニュアンスと、しっかりした酸味が紹介されています。

日本人の感覚でいうと、食後のデザートワインとして少し飲むのがちょうど良いと思います。チーズ、フルーツ、ナッツ、または濃いめのデザートと合わせると、かなり楽しいです。

小さなボトルなのに高い理由

-10℃で収穫したブドウの糖度は38~42ブリックス

アイスワインは、普通のワインのように気軽にゴクゴク飲むものではありません。

ボトルも375mlや200mlなど小さめが多く、価格も高めです。公式オンライン情報でも、アイスワインは小さいサイズから販売されており、Cabernet Franc Icewineの375mlは100ドルを超える価格で掲載されています。価格は変更される可能性があるので、購入前に公式情報の確認がおすすめです。

高いな、と思うのは自然です。

でも、凍ったブドウから少量の濃い果汁を搾ること、収穫のタイミングが限られること、気候条件に左右されることを考えると、なるほどこれは普通のワインとは違う世界だな、と感じます。

スパークリング・アイスワインという楽しい変化球

金の液体と呼ばれるぐらい美しいゴールドカラー

甘いのに泡がある

イニンスキリンでぜひ知っておきたいのが、スパークリング・アイスワインです。

公式ヒストリーでは、2000年にKarl Kaiserさんがミレニアムを祝ってVQA Sparkling Icewineを発表したと紹介されています。

アイスワインは濃厚で甘い。そこに泡が入ると、どうなるのか。

答えは、ちょっと危険なくらい飲みやすくなります。

甘さがあるのに、泡と酸味がすっと持ち上げてくれる。デザートワインなのに、少しお祝い感が出る。ケーキの横に置いても良いし、乾杯に出てきても楽しい。

現在公式サイトに掲載されているInniskillin Sparkling Cabernet Franc Icewine VQAは、ストロベリー、チェリー、ルバーブの香り、泡と酸味が濃縮感のある味わいをバランスさせると紹介されています。

これは、ワインに詳しくない人にも説明しやすいです。

甘いアイスワインに、泡の軽さが入ったもの。

それだけで、だいぶ伝わります。

お土産にも会話のネタにもなる

50mlのミニミニボトル3種類セットはお土産にぴったり

カナダ土産でアイスワインを買う方は多いですが、スパークリング・アイスワインは少し変化球です。

普通のアイスワインよりも、開ける場面が想像しやすいかもしれません。誕生日、年末年始、ホームパーティー、ちょっと特別な夕食。小さいボトルでも存在感があります。

ただし、持ち帰りや購入量には制限があります。日本へ持ち帰る場合は、免税範囲や航空会社のルールを確認しておくと安心です。

受賞歴を見ると、かなり強い

受賞リスト

イニンスキリンは、1991年のVinexpoでのGrand Prix d’Honneurだけでなく、その後もさまざまな評価を受けています。

公式ヒストリーでは、2003年にWine Enthusiast MagazineのNew World Winery of the Year、2014年にIWSCのTop Canadian Producer of the Year、2020年にSan Francisco International Wine CompetitionのInternational Winery of the Year、2021年にInternational Wine and Spirits CompetitionのSweet Wine Producer of the Yearに選ばれたことが紹介されています。

受賞歴だけを並べると、少し遠い世界の話に聞こえるかもしれません。

でも、ナイアガラ観光で実際に立ち寄れる場所が、世界のワイン業界で評価されてきた場所だと思うと、少し見え方が変わります。

観光地のワイナリー、ではなく、カナダワインの流れを作った場所のひとつ。

そう思って飲むと、同じ一口でも少し深く感じます。

実際に行くならどう楽しむか


夏は最高に気持ちがいい

ワイン初心者でも入りやすい

イニンスキリンの良いところは、ワインに詳しい人だけの場所ではないところです。

公式のNiagara Estate Experiencesでは、アイスワインの歴史や造り方を学ぶIcewine Experience、公開ツアーとテイスティング、プライベートテイスティングなどが紹介されています。公開ツアーでは、ブドウ畑からセラーまでのワイン造りの裏側を見て、最後にワインを試飲する内容になっています。

英語が不安な方でも、ワインの説明は香り、味、色、畑、気候など、目の前のものと結びついているので意外と楽しめます。

全部聞き取れなくても大丈夫です。

グラスを見て、香りをかいで、少し飲んで、あ、これは甘い、これは酸味がある、これは好きかも、で十分です。

ナイアガラの滝と組み合わせやすい

娘さんが書いた本が出版されました

ナイアガラ・オン・ザ・レイクは、ナイアガラの滝から車で移動しやすい距離にあります。

滝の迫力を見たあとに、少し落ち着いたワインカントリーへ行くと、旅の雰囲気が変わります。滝は水しぶきと轟音の世界。ワイナリーは畑とグラスの世界。同じナイアガラでも、まったく違う顔があります。

時間が限られている方は、無理にたくさんのワイナリーを回るより、歴史のある一軒をゆっくり楽しむほうが満足度が高いこともあります。

行く前に知っておきたいこと

ワイン畑を眺めながらワインを飲むのはさいこー

イニンスキリンのNiagara Estateは、公式サイトで1499 Line 3, Niagara-on-the-Lakeと案内されています。敷地内にはゲスト用駐車場もあると記載されています。

営業時間や体験メニュー、価格は季節やイベントで変わる可能性があります。公式サイトでは季節ごとの営業時間も掲載されていますが、訪問前には必ず最新情報を確認するのがおすすめです。

また、ワインの試飲には年齢確認がある場合があります。カナダでは州によって飲酒可能年齢が異なるため、オンタリオ州でのルールを確認し、身分証明書を持って行くと安心です。

車で行く場合は、試飲する人と運転する人を分けることも大切です。ワイナリー巡りは楽しいですが、帰りの安全まで含めて旅です。

まとめ

イニンスキリンは、ナイアガラ・オン・ザ・レイクにある有名ワイナリーというだけではありません。

1970年代にカナダワインの可能性を信じて畑を作り、1980年代にアイスワインへ挑戦し、1991年に世界の舞台でカナダワインの存在感を示したワイナリーです。

鳥にブドウを食べられた失敗も、ミレニアムを祝うスパークリング・アイスワインも、世界的な受賞歴も、全部つながって今のイニンスキリンがあります。

ナイアガラ観光で滝だけを見るのも良いですが、少し足をのばしてワイナリーに寄ると、カナダの見え方が少し変わります。

甘い一口の奥に、寒さ、畑、人の挑戦、そしてカナダワインの歴史が入っている。

そう思うと、アイスワインの小さなボトルが、少しだけ大きく見えてきます。

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