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【読書ログvol.30】『次期学習指導要領に備えろ!』

「次期学習指導要領に向けて準備できることって?」

今回紹介する書籍は『次期学習指導要領に備えろ!』(リンク)です。

本書では「深い学びを実現する授業デザイン」という切り口で、算数を中心に、具体例を示しながら次期学習指導要領への準備の視点がまとめられていました。

Point❶ 「深い学び」を実現する授業デザインとは?

「そもそも深い学びとは?」

深い学びとは、学習者が概念的知識・方略を習得・活用していくこと

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.98

つまり、「学びを深める」とは、表面的な技能の習得ではなく、見方・考え方(概念)を通して知識を再構築し、応用できる力を養うことなのです。

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.98

「深い学び」の定義を確認したところで、次は、授業デザインについて整理していきます。

「深い学びを実現する授業デザインとは?」

本書では、「探究のサイクル」が回っているものを「深い学び」が実現している授業展開として整理されています。多くの授業で見られるのは、②「情報の収集」で終わってしまい、③「整理・分析」④「まとめ・表現」が不十分または欠落していることが多いということです。

一斉授業の形態をとるにしても、今流行りの「自由進度学習」や「自己調整学習」などの授業スタイルをとるにしても、②「情報の収集」の段階で止まってしまい、③「整理・分析」④「まとめ・表現」に至らない事例は数多く存在します。つまり…

「どのような授業形態をとるか」よりも
「集めた情報をいかに活用し、概念的に整理できるか」
という点が学びの質を大きく左右する

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.59

本書では、最終的に大切なのは、学習者自身が情報を整理・分析し、概念的知識に基づいた結論やまとめを構築できるかどうかと述べられています。

「さて、この概念的知識とはどういうものなのか?」

次期学習指導要領に向けて、中教特別部会の論点整理で以下のような資料が出されたと思います。

ここでキーワードになっているのが「中核的な概念」という言葉です。

本書では、

「中核的な概念」=概念的知識・方略=「わかる知識」と定義づける

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.101

この「概念的な知識」という概念を理解するために、それを支える「個別的知識及び技能」があります。この「個別的知識及び技能」は「事実」である「知っている知識」「できる知識」になります。算数で言うと「暗記・手順化された計算スキル、定型的な処理」のようなものです。

「中核的な概念」について詳細が気になる人は以下のnoteに私なりの解釈で整理をしています。

これからの授業では、
情報収集の先こそが本番
と言えます。つまり
「整理・分析」「まとめ・表現」の段階にこそ、深い学びへ向かう鍵
があるのです。だからこそ、
情報収集の段階に必要以上に時間をかけてしまうと、
本当に大切なまとめや表現にまで辿り着けない

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.81

Point❷ なぜ、深い学びの授業デザインが重要なのか?

これまでの授業では、「個別の知識・技能」にフォーカスがされてきました。日本の学力は、OECD諸国の中でも高い成績を出しており、事実的な知識の習得に関しては高い教育技術が学校現場にあると言えます。一方で、その学んだ知識をどのように日常生活や社会に出て応用(活用)できるのかという観点では、まだまだ課題が見られます。

そこで、次期学習指導要領では、「個別の知識・技能」=「知っている/できる知識」を「概念的知識・方略」=「わかる知識」まで引き上げていくことの重要性が述べられています。

これは、テクノロジーやAIが発展していく時代において、これまでの「知識・技能」を「覚える」だけでなく、学んだ知識を「活用できる」レベルの「高度な資質・能力」に引き上げていくことを目指していくものです。

Point❸ 【算数編】どのように深い学びの授業をデザインできるのか?

本書では、算数を事例に紹介されていました。今回は、私なりに算数を概念的に理解するとはどういうことなのかをまとめていきます。

課題の設定「扇形(中心角が90°)の弧の長さを求めなさい」

STEP❶ 学習指導要領から「わかる知識=中核的な概念」を引き出す

扇形の弧の長さと面積(アのイ)
 中学校数学科では,円の周の長さや面積の求め方について小学校算数科での学習を振り返るとともに,円の周の長さや面積を円周率πを用いて表すことを扱う。また,円の一部としての扇形について,同一の円の弧の長さと面積がその中心角の大きさに比例することを理解(=中核的な概念)し,扇形の弧の長さや面積を求めることができるようにする。

引用「【数学編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」pg.81

STEP❷ 「わかる知識=中核的な概念」を導くためのプロセスをデザイン

概念的な問い①:「扇形の図形の特徴とは何か?」

よく、扇形は「扇子の形をした図形」という理解をしている人が多いと思います。この認識の上で、もし中心角が180°を超えた図形を見ても扇形と認識できるでしょうか?そこで、授業では中心角が180°未満の扇形と180°以上の扇形を示して、どちらにも共通する特徴を言語化してもらいました。

学習者のまとめ:
「扇形とは円の一部であり、2本の半径と弧で囲まれた図形である」

概念的な問い❷:「扇形の"弧"の長さと"中心角"はどのような"関係"になっているのか?」
学習課題「中心角が45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°、360°」の扇形の面積を求めなさい。

これまでに学習してきた算数・数学の知識・技能(円の周の長さや面積の求め方)を活用して考えることを大切にしました。ここでは、「孤の長さ」と「中心角」の関係という「数学的な見方・考え方」を提示し、リサーチに入ってもらいます。

そして、いよいよ個別のリサーチが進んだところで、整理・分析のフェーズに入っていきます。ここで大事なのは、何を基準に整理・分析をしていけばいいのかを示すことです。

⚫︎ 学びを深めるための7つの視点
① どうしてそう考えたの?どう発想した?

考え方の出発点や根拠を問うことで、思考のプロセスを明らかにします。
② 早く簡単にできそうなのはどれ?
解決手順のシンプルさや効率性を比較し、複数の考え方の長所・短所を判断します。
③ それぞれの良さは何かな?
アプローチごとにどんな利点があるのかに気づき、さらに多面的に考察します。
④ どんなときにでも使えるのはどれ?
汎用性の高さや、ほかの単元や場面に応用できる可能性を探ります。
⑤ もし◯◯でも大切にしたいことは何?
条件を変えたり、拡張したりしても重要となる本質や考え方を見極められるようにします。
⑥ 同じところ・違うところは何?
複数の考え方や問題解決策を比較し、共通点と相違点を見出します。
⑦ これまでの学習と似ている(違う)ところは何?
既習の内容との関連を見出します。

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.61

学習者の中に、「弧の長さと中心角は比例の関係がある」ことに気づく人が出てくることが目標です。

そして、③「整理・分析」のフェーズを経て、④「まとめや表現」のフェーズになります。ここで大事なのは「まとめを雑に扱わない」ことです。

⚫︎「まとめ」をどう位置付け、どのように使うのか
① まとめは単元の中で連続していくもの
② まとめは活用するためのもの
学習者が表現するまとめを目指す

引用:『次期学習指導要領に備えろ!』pg.68

授業の最後に行うまとめですが、教科書の中にも「まとめ」につながる情報が書かれています。しかし、ここで注意しないといけないのが教科書に書かれているまとめには「個別的知識および技能」と「概念的知識・方略」のどちらか、あるいは両方が書かれていることです。
つまり、授業者は何がまとめにあたるのかを見極める必要があるということです。さらに、授業の終わりには、教師が「まとめ」を提示するのではなく、学習者が表現する「まとめ」を目指していくことが肝になります。

「まとめは活用するもの」ということで、学習者が授業の終わりに作成したまとめを「次の問題に応用できるのかどうか」を問うことで「連続性」が生まれてきます。

例えば、先ほどの扇形の弧の長さを求める問題にしても、次のページに扇形の面積を求める問題があったとします。学習者は、扇形の孤の長さと中心角は比例関係になっていることをまとめで表現できていれば、扇形の面積も中心角と比例関係になっているのではないかと予想することができます。

このように、「まとめは活用するもの」で、前の授業が次の授業に連続的に「統合・発展」していける学習サイクルをつくることで、自立した学習者になっていくのではないかと思います。

最後に

現場で働きながら、なかなかじっくり本を読む時間が取れない先生に何かヒントとなるエッセンスを届けられたらと思い、教育者のためのReading Journalを行っています。気になる方は、以下のリンクをクリックしてみてください。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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