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うまい人ほど、スイングより先に土台へ戻る

『上手い人ほど、土台を見直す』

調子が崩れたときほど、何かを変えたくなります。
でも本当は、変える前に「戻る場所」を持っている人ほど、ゴルフは静かに整っていくのかもしれません。


日曜の夜、練習場に灯るオレンジの光の中で

日曜日の夜7時。
練習場には、週末の疲れを少しだけ持ち込んだ人たちが、静かに並んでいます。

オレンジ色の照明が打席を照らし、ボールを打つ音が規則的に響く。
パコン、パコン、パコン。
少しすり減った打席のカーペットに立つと、足元がやわらかく沈む感触があります。

ネットに当たったボールが、こもった音で落ちていく。

隣の打席の人が、同じところで引っかかっているのか、何度も同じクラブを振っています。

「なんで今日はこんなに右に出るんだろう」
「もっと飛ばしたい」
「もっとうまく打てるはずなのに」

そういう気持ちが、夜の練習場にはふわっと漂っている気がします。
その感覚、よくわかります。


スコアが崩れると、スイングを疑い始める

ラウンドで調子が悪くなると、多くの方がまずスイングを疑います。

「スイングが悪いんだ」
「何かを変えなきゃ」
「もっとこう振れば直るかもしれない」

そしてその日の夜、練習場に来て、テークバックを変えたり、振り方を大きくしたり、どこかで聞いたコツを試してみたりする。

でも、打てば打つほど感覚が遠くなる。

いわゆる「スイング迷子」です。
私も、何度もそこに入りました。


私がゴルフ場で研修生として働いていたころの話です

当時は、我流でプロテストに挑もうとしていました。
バックティーからでもアンダースコアで回れる日があり、
どこかで「自分はそれなりにできている」と思っていたのだと思います。

でも、プロテストの世界では、まったく通用しませんでした。
その現実を知って、先輩にお願いし、コーチを紹介してもらいました。

そして、最初に言われた言葉が、今でも残っています。
「基本が全然できていない」

口には出しませんでしたが、その瞬間、頭の中ではこう思っていました。「今さら、基本?」

少し恥ずかしいですが、本当にそう思いました。

そのとき言われた「基本」は、単純にグリップやアドレスだけの話ではありませんでした。
でも、その言葉をきっかけに、自分がどれだけ土台を曖昧にしたままゴルフをしていたのか、深く考えるようになりました。

立ち方。
体の向き。
クラブの握り方。
ボールとの距離。
狙いに対して、どんな準備をしているか。

派手なスイングの前に、自分がどんな状態で一球に向かっているのか。
そこを整え直していくうちに、少しずつ球の出方が変わっていきました。


レッスンをしていると、似たような場面によく出会います

最近も、40代の男性生徒さんが「最近どうしても引っかかりが出る」と悩んでいました。

後方から動画を撮って一緒に確認すると、スイング自体は以前とほとんど変わっていません。

「じゃあ、構えを一緒に見てみましょう」
そう言って、正面からアドレスを確認しました。

すると、構えが少し前のめりになっていて、体全体が打つ方向へ傾いていました。
後方から見ていたときには、私もすぐには気づけませんでした。

でも、正面から見ると、土台が少しだけズレていたんです。
そこでアドレスを整え直しました。

足元を安定させて、体の傾きを戻し、ボールとの距離を確認する。
すると、次の一球はストレートに近いドローボール。

その方は「え?」という顔をして、もう一球打ちました。
また、いい球が出ました。

「こんな些細なことで変わるんですね」
少し拍子抜けしたような表情で、そう言っていました。


今日の言葉:『上手い人ほど、土台を見直す』

そうなんです。

崩れの多くは、派手なスイングの問題よりも、
地味な土台のズレにあることが多い。

もちろん、スイングを磨くことも大切です。

でも、その前に立ち方がズレていたら、どれだけ一生懸命振っても、ボールは正直に反応してしまいます。

上手い人ほど、調子が悪いときにいきなり大きく変えません。
まず、戻ります。

グリップはいつも通りか。
足の幅は広すぎないか。
ボールとの距離は近すぎないか。
肩や体の向きは、目標に対してズレていないか。

地味で、目立たなくて、少し退屈に感じるところ。
でも、そこが整っていないと、ゴルフはすぐに迷子になります。


今日から一つだけ試せること

練習場で、まず「構えの写真」を撮ってみてください。

正面から一枚。
できれば後方からも一枚。

完璧にきれいな形を目指す必要はありません。

体型の近いプロゴルファーのアドレスと見比べてみるだけでも、気づくことがあります。

足の幅。
背中の角度。
手元の位置。
ボールとの距離。
肩や体の向き。

「自分はこんな形で立っていたんだ」と知るだけでも、次の一球は少し変わります。

これは初心者だけでなく、経験のある方にも大事な確認です。

むしろ、ある程度打てるようになった人ほど、土台の小さなズレに気づきにくくなります。

だからこそ、調子が悪い日ほど、スイングをいじる前に一度ここへ戻ってみてほしいのです。


静かな土台の上に、今日も1球

日曜の夜の練習場。
隣の打席から、「あ、当たった」という小さな声が聞こえる。

何か特別なことをしたわけじゃない。
大きく変えたわけでもない。

ただ、構えをひとつ確かめた。
それだけで、ボールが少しやさしくなることがあります。

ゴルフは、派手な技術だけで進んでいくものではないのかもしれません。

グリップを確かめる。
足元を感じる。
アドレスを整える。

そんな地味な確認の積み重ねが、気づけば自分を支えてくれる。
静かな土台の上に立てたとき、その一球は少しだけやさしくなる。


あなたは調子が崩れたとき、真っ先にどこを確認しますか?


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