疲れた時ほど、やわらかく振る
『疲れた時ほど、動きをやわらかく』
疲れてきた時に、ミスが増えた経験はありませんか?
私もラウンドの最終ホール付近になると、体の開きが早くなって、ボールが右に飛び出すミスがよくあります。
気持ちでは「まだ大丈夫」と思っているのに、体は少しずつ疲れている。そんな時ほど、つい力で何とかしようとしてしまうのかもしれません。
後半9ホール、影が長くなる頃
午後のラウンドも後半に差しかかる頃。
太陽は少し傾き、フェアウェイには木々の影が長く伸びていく。朝は軽かった足取りも、芝を踏むたびに少しずつ重くなる。グリップを握る手のひらにも、汗と一緒に疲れがにじんでくる。
そんな時間帯のホールで、ふと力んでしまう瞬間があります。
「もうひと踏ん張り」
「ここはしっかり飛ばしたい」
「ここでミスしたくない」
そう思うほど、腕や肩に余計な力が入っていく。
疲れている時ほど、本当は体をやわらかく使いたい。けれど実際には、疲れている時ほど力で何とかしようとしてしまうのです。
疲れてくると、つい力で打ち返したくなる
これは初心者の方に限った話ではありません。
体が重くなってくると、誰でも「気合いで飛ばそう」としてしまいます。すると、スイングは少しずつ硬くなり、テンポも早くなる。いつもよりグリップを強く握り、腕でクラブを動かそうとしてしまう。
初めてコースに出た頃の、緊張と疲れが重なる感覚を、私もよく覚えています。
「うまく打てなくなってきた」
「またミスしたらどうしよう」
「あと何ホールもつかな」
そんな不安が先に立つと、体はどんどんこわばっていく。
でも、その気持ちはとても自然なものです。経験年数に関係なく、誰の中にもあるものだと思います。
私自身も、力に頼っていた時期があった
正直に言うと、私自身もラウンド終盤になると力んでしまうタイプでした。
特に疲れている日ほど「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせて、知らないうちにグリップを強く握りしめていました。
けれど、力んだショットほど右にも左にも散らばっていく。
手元は頑張っている。気持ちも負けていない。でも、足の踏ん張りが少しずつ利かなくなっている。そこに腕や上半身だけで頑張ろうとすると、体の動きがバラバラになってしまう。
最近になって、ようやく気づいたことがあります。
疲れた体に、さらに力を足しても、思い通りには動いてくれない。
むしろ、疲れた時ほど少し力を抜いてあげる。その方がクラブは自然に走りやすくなるのです。
生徒さんとの、ある日のエピソード
以前、ラウンドレッスンで同じような場面に出会ったことがあります。
後半のロングホール。生徒さんがセカンド地点でクラブを握りながら、ぽつりと言いました。
「取り返したいので、ここは頑張ります」
その言葉を聞いて、一度クラブを置いてもらいました。そして深呼吸を一つ。
私は聞きました。
「セカンドショットは、どこから次を打ちたいですか?」
生徒さんは少し考えてから答えました。
「バンカーを越すように頑張ります」
たしかに、越えられれば大きい。けれど疲れも出ている後半です。少しでも当たりが薄くなれば、バンカーにつかまる可能性もある場面でした。
そこで私は伝えました。
「バンカー左手前の方が、次を打つにはライが良さそうに見えますよ」
生徒さんはもう一度フェアウェイを見ました。
「たしかに、無理して見えない場所を狙うより、見えている場所へ運ぶ方がいいかもしれませんね」
そう言って、5番ウッドを少し軽めにスイングしました。
すると、力みの抜けた良い当たりが出て、ボールは狙い通りの場所へ。
その後、ピッチングで寄せて、最後はバーディー。
ホールアウトした生徒さんは、笑顔でこう言いました。
「無理しなくてよかったです」
この一言が、とても印象に残っています。
今日の言葉が伝えたいこと
『疲れた時ほど、動きをやわらかく』
疲れていると自覚するのには、少し勇気がいります。
疲れていると認めると、余計にしんどく感じる気がする。まだ頑張れるはずだと思いたくなる。だから、つい疲れを見ないふりしてしまう。
でも、疲れた体に力を足しても、思い通りには動いてくれません。
そこに「もっと頑張ろう」とすると、余計な力が入り、ミスが出やすくなる。反対に、少し力を抜いた方が、クラブが自然に走ってくれることがあります。
これはゴルフだけの話ではないのかもしれません。
仕事でも、生活の中でも、しんどい時ほど「もっと頑張らないと」と思うことがあります。
でも本当は、頑張るよりも先に、少し緩めることが必要な場面もある。
力を抜くことは、手を抜くことではありません。
今の自分に合った動きに戻してあげることだと思います。
今日から一つだけ試せること
今日のラウンドや練習で疲れを感じたら、グリップの力をいつもの7割くらいに緩めてみてください。
それだけで大丈夫です。
フォームを直そうとしなくていい。スイングを大きく変えようとしなくていい。ただ「握る力」だけを、少しやわらかくする。
すると、肩の力も抜けて、呼吸も少し戻ってきます。体全体のバランスが整い、クラブヘッドが自然に走る感覚が出てくるかもしれません。
疲れた時に必要なのは、気合いを足すことではなく、動きをやさしくすること。
その小さな意識が、終盤の一打を変えてくれることがあります。
夕暮れのフェアウェイで
ラウンドの終盤、風が少し涼しくなってくる時間。
力を抜いた一打が、思ったより遠くへ、まっすぐ飛んでいく。
その時の静かな驚きは、疲れを忘れさせてくれるくらい気持ちがいいものです。
頑張り続けることだけが、上達の道ではありません。
疲れた自分を責めずに、少しだけ力を抜いてあげること。それもまた、ゴルフが教えてくれる優しさだと思います。
あなたは今日、どんな場面で「力を抜く」勇気を持てそうですか?

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