設備には投資するのに、事務への投資は後回し。そこにAIの出番があると思った話
設備には投資するのに、事務への投資は後回しになる。
これは、けっこう多くの会社で起きていることなのかもしれません。
売上に直結する設備へ投資する。生産量を増やす。品質を上げる。現場を回しやすくする。
まずそこにお金を使うのは、当然だと思います。
一方で、バックオフィスは売上を直接生むわけではありません。
勤怠管理。経理。消し込み。日報。確認作業。
こういう業務は必要ではあるけれど、投資の優先順位が下がりやすいです。
ぼく自身も、会社でシステム導入の稟議書を書いたときに、
「それ、本当にいるの?」
という反応を受けたことがあります。
気持ちはわかります。バックオフィスの改善は、売上アップのようにわかりやすく見えにくいからです。
でも、放置していいわけではありません。
紙のまま。手計算のまま。Excelに人が転記するまま。確認作業が属人化したまま。
こういう状態が積み重なると、現場の裏側で時間が失われていきます。
そんなときこそ、AIに聞いてみる価値があると思っています。
いきなり高いシステムを入れるのではなく、
「この作業、少し楽にできないか」「スマホ入力にできないか」「手計算を減らせないか」
とAIに相談して、小さな形にしてみる。
最近、まさにそういう相談を知人経由でもらいました。
まだ仕事になるかわからない相談
相談の内容は、ある食品系の生産・販売をしている会社のバックオフィス業務についてです。
まだ打診に近い段階です。うまくいくかは、正直わかりません。
ただ、こういう曖昧な相談をどう提案に変えていくかも、事業づくりの大事な過程だと思っています。
聞いた範囲では、その会社は生産に関わる設備にはしっかり投資されているそうです。
品質を上げる。生産量を増やす。現場を回す。そういう部分には、きちんと力を入れている。
一方で、バックオフィス業務には紙や手作業が残っているようでした。
繁忙期には人を増やす。勤怠管理は、紙のタイムカード。そこから手作業で計算する。経理の消し込みも、もっとわかりやすくしたい。
この話を聞いて、**「ここには改善できる余地があるかもしれない」**と感じました。
いきなり「AIを導入しましょう」とは言わない
こういう相談をもらったとき、いきなり「AIを導入しましょう」とは言わないほうがいいと思っています。
相手が困っているのは、AIを使っていないことではありません。
困っているのは、紙の勤怠管理です。手作業の計算です。経理の確認作業です。繁忙期に増える事務処理です。
だから、最初に伝えるべきことは「AIを使いましょう」ではないと思っています。
伝えるべきなのは、「今の手作業を、少し楽にできるかもしれません」ということです。
AIやアプリは、あくまで手段です。目的は、繁忙期の事務負担を減らすことです。現場と事務の両方が、少し楽に仕事を進められるようにすることです。
まずは簡易的な出退勤アプリを作ってみた
言葉だけで説明しても、なかなか伝わりません。
「スマホで入力できます」「一覧で確認できます」「集計できます」
と口で言っても、相手からするとイメージしにくいです。
なので、まずは提案用のたたき台として、AIを使って簡易的な出退勤アプリを作ってみました。
紙のタイムカードの代わりに、スマートフォンやタブレットから出勤・退勤を入力する。
出勤。退勤。休憩入。休憩戻。
このくらいシンプルにしたほうが、現場では使いやすいと思っています。

これは完成品ではありません。あくまで提案用のデモです。
でも、相手に「こういう形なら、自社でも使えるかもしれない」と思ってもらうには、画面があったほうが伝わりやすいです。
管理者側で見えることも大事
スタッフが入力できるだけでは足りません。
大事なのは、そのあと管理者や事務員さんがどう確認できるかです。
紙のタイムカードの場合、打刻されたカードを見て勤務時間を計算する。休憩時間を確認する。必要に応じて修正する。最終的に給与計算につなげる。
この手作業が毎月発生しているなら、かなり負担になります。
なので、管理者側では、入力された勤怠を一覧で確認できる画面も作りました。
勤務時間。日給。備考。確認状況。こういった情報が見えるようにしています。

ここもまだデモです。でも、画面を見ることで、「紙を見ながら手計算している部分を、どこまで置き換えられそうか」がイメージしやすくなります。
スプレッドシートに集まる形にする
今回のデモでは、入力内容がスプレッドシートにも集まるようにしています。
これはかなり大事です。
いきなり大きな勤怠管理システムを入れるより、まずはGoogleスプレッドシートで見える形にしたほうが始めやすいからです。
入力された日付。勤務区分。出勤・退勤時刻。休憩・勤務時間。時給。日給。確認状況。
こうした情報が一覧になっていれば、あとから確認しやすくなります。

スタッフはスマホで入力する。管理者は画面で確認する。データはスプレッドシートに残る。
この流れが見えると、提案としてかなり伝わりやすくなります。
すでにある事例も見てもらう
デモだけではなく、すでに取り組んでいる事例も見てもらう予定です。
作業日報アプリの話。紙の日報から、スマートフォン入力に切り替えようとしている事例です。
また、酒気帯び確認アプリの話もあります。出発時と終業時に事務所のPCで入力していたものを、スマートフォンとQRコードで入力できるようにした事例です。この件では、現場ヒアリングに基づく暫定試算で、年間約362時間の削減見込みが出ました。
こうした事例を見てもらうことで、「自分たちの業務にも応用できるかもしれない」と感じてもらえる可能性があります。
「実際にこういう業務で試しています」と言えると、提案はかなり強くなります。
反応を待つ
提案したからといって、すぐに仕事になるわけではありません。
相手にも事情があります。予算があります。タイミングがあります。今のやり方でも回っている、という感覚もあるかもしれません。
だから、まずはデモや事例を見てもらい、反応を待ちます。
興味を持ってもらえれば、次は現場を見に行きます。反応が薄ければ、今回はタイミングではなかったということかもしれません。
でも、それでも学びはあります。
どこに不安があったのか。費用なのか。運用なのか。現場の定着なのか。そこがわかれば、次の提案に活かせます。
うまくいけば、現場を見に行く
もし反応がよければ、次は現場ヒアリングです。ここを飛ばしてはいけないと思っています。
勤怠カードは何人分あるのか。繁忙期は何人増えるのか。計算にどれくらい時間がかかっているのか。締め作業は誰がやっているのか。修正があった場合、誰が直しているのか。どこでミスや確認が発生しているのか。
ここを見ないと、ちゃんとした提案にはなりません。
AIでアプリを作ることよりも、業務の流れを理解することのほうが大事です。
費用対効果を出す
仕事として依頼してもらうには、費用対効果を伝える必要があります。
「便利そうですね」だけでは、なかなか進みません。
たとえば、勤怠計算に月10時間かかっているなら、時給2,000円換算で月2万円。年間24万円相当です。月30時間なら、年間72万円相当です。
削減時間だけでなく、ミスの減少、確認作業の削減、繁忙期の負担軽減もあります。
ここを数字で見せられると、提案としてかなり伝わりやすくなります。
そして、費用対効果を出すためにも、現場ヒアリングが必要です。今どれくらい時間がかかっているのか。何人が関わっているのか。どこでミスが起きているのか。このあたりを聞かないと、数字にはできません。
ダメならダメで記事にする
今回の話が、うまくいくかはまだわかりません。仕事にならない可能性もあります。
でも、それでもいいと思っています。
うまくいかなかった場合でも、「なぜ進まなかったのか」は学びになります。
相手に響かなかったのか。提案の見せ方が弱かったのか。費用対効果が伝わらなかったのか。タイミングが合わなかったのか。
そこまで含めて記録していくと、自分の事業づくりの学びになります。
成功談だけを書くより、こういう途中経過も残していきたいと思っています。
仕事を作るというのは、こういうことなのかもしれない
今回の相談は、まだ形になっていません。
でも、仕事を作るというのは、こういうところから始まるのかもしれません。
困っていそうな話を聞く。自分なりに仮説を立てる。小さなデモを作る。事例を見てもらう。反応を見る。現場に行く。一緒に業務を整理する。費用対効果を出す。提案にする。納品する。
この流れを、少しずつ作っていきたいです。
ぼくがやりたいのは、AIやITを売ることではありません。
現場とバックオフィスの人が、少し楽に仕事を進められる状態を作ることです。
今回の相談がどうなるかは、まだわかりません。うまくいっても、うまくいかなくても、その過程を記録していきます。
紙や手作業のまま残っている業務は、まだまだ多い
今回の相談を聞いて改めて思ったのは、紙や手作業のまま残っている業務は、まだまだ多いということです。
勤怠管理。経理の消し込み。日報。確認作業。同じ説明の繰り返し。
こうした業務は、いきなり大きなシステムを入れなくても、小さく見直せる可能性があります。
ぼく自身、まだ手探りです。でも、現場の話を聞いて、AIに相談しながら小さく形にして、実際の業務に合うかを確認していく。
このやり方なら、バックオフィスの改善も少しずつ進められるのではないかと思っています。
完成前の段階から、実践内容や教材づくりの裏側も発信していきます。
社内AI教育や、現場の業務改善に関心がある方は、ぜひフォローしておいてください。
このnoteを書いた人
広島県尾道在住。食品卸売業(年商約8〜12億・従業員約15名)、食品メーカー(年商約60〜90億・従業員約100名)で総務・人事を10年以上経験。採用・労務・業務改善の現場で使えるAI活用法を発信中。忙しい現場に「余白」を生み出すことをテーマに活動中。
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