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初の研究大会へ、県南奔走【島学#17】/離島の小学校三年目の学び編 17

2004年10月。
11月19日に開かれる県の研究発表大会まで、あと1か月ほどになっていた。
県総合部会にとって、部会発足後初めてとなる授業公開を伴う研究大会である。
その準備がいよいよ本格化する一方で、8月に150人あまりが参加した夏季研修会にも、まだやるべき仕事が残っていた。
週末の2日間は、県総合部会の仕事が続くことになった。


1.再び県南の会場校へ

10月15日、11月19日に行われる県研究発表大会の打ち合わせのため、県南の会場校へ向かった。
夏休みにフィールドワーク研修で訪れて以来だった。

県内では毎年この日に、各教科や領域の研究大会が一斉に開催される。
そのため「統一大会」とも呼ばれていた。
2年に1回、会場校以外の学校は臨時休業となり、県内の先生方はいずれか1つの研究大会へ参加することになる。

総合的な学習の時間も、その中の1つだった。

県小教研に総合部会ができてから、授業を公開して研究発表大会を開くのは今回が初めてである。
これまで研修会や実践交流は行ってきたが、多くの先生方を迎え、実際の授業を見てもらう大会となれば話は別だった。

会場校にとっても、県総合部会の事務局にとっても初めての大会になる。
当然、「何とか成功させたい」という思いは強かった。


2.授業研究会だけにはしたくない

打ち合わせでは、まず会場校の教頭先生が作成してくださった全体計画をもとに、大会当日の流れを確認していった。
かなり綿密に練られた計画で、参加者を迎えてから授業公開、その後の交流まで、具体的な動きが見えるところまで準備が進んでいた。

続いて話し合ったのが、各学年の単元構想と、授業後に行う「実践交流会」の内容だった。

一般的な研究大会なら、公開授業のあとに授業研究会を開き、その授業について意見を出し合うことが多い。
しかし今回は、それだけにとどまらない会にしたいと考えていた。
公開された1時間の授業について語るだけではなく、参加した先生方が自分たちの総合的な学習の実践にも話を広げられるような場にしたかった。

自分は6年生部会の授業助言者を兼ねた運営委員を担当していた。
交流会には学年協力者の先生方も入るので、その先生方にも自分の実践をもとに語ってもらう。
そのためには、話の柱になるテーマが必要だった。

これがなかなか難しい。

公開授業から離れすぎてしまえば、せっかく授業を見た意味が薄くなる。
かといって授業分析だけに絞れば、いつもの授業研究会と変わらなくなる。
参加した先生方が構えず、自分の実践と重ねながら話せるテーマにしたかった。

あれこれ意見を出しながら検討し、ようやく方向が見えてきた。


3.県南からの帰り道

話し合いが終わる頃には、当日に向けて詰めなければならないこともかなり見えてきた。
会場校では授業づくりと並行して、参加者を迎えるための準備も着々と進んでいた。
教頭先生が作られた綿密な全体計画を見ても、これからの1か月がかなり慌ただしくなることは想像できた。

打ち合わせを終え、会場校をあとにした。
ここは県の一番南にあり、もう少し走れば隣の県である。
島から来るには、まず連絡船で本土へ渡り、そこから県内をほとんど縦断するように車を走らせなければならない。
やはり遠い。

それでも、この日ばかりは帰り道の長さより、会場校の先生方の姿の方が頭に残っていた。
大会当日まで、あと1か月ほどしかない。
その間にも自分の学校の仕事があり、県総合部会の仕事も続く。

車を走らせながら、今日決まったことと、次にやることを頭の中でもう1度整理しながら、この日は島への連絡船乗り場の町を過ぎ、市内の自宅まで帰った。


4.150人の模造紙をもう1度

翌10月16日は、今度は8月に行った県総合部会夏季研修会のまとめ作業だった。

朝10時、県総合部会事務局のメンバーが郷土芸能会館に集まった。
会議室ではなく活動室を借りたのは、夏季研修会で各グループが作った大きな模造紙を広げて作業するためだった。

指導してくださったのは、大学院時代の師匠であるN大学のM先生だった。

8月の夏季研修会では、150人あまりの先生方が15の課題からグループごとにテーマを選び、60分間で解決策を考えた。
その成果を模造紙にまとめ、最後は3分間の発表まで行った。

M先生によると、これほど大人数で行うワークショップはかなり珍しいという。

それだけの人数で取り組み、せっかく成果も出たのだから、模造紙を保管して終わりにするのはもったいない。
きちんと分析し、記録として残しておこうという話になっていた。

M先生からは、具体的にどのような手順で整理すればよいのか、最終的にどんな形にまとめればよいのかを教えていただいた。
これまでに行われた別のワークショップの事例も紹介していただき、単なる事務作業ではなく、自分たち自身の研修にもなっていった。


5.模造紙の向こう側をたどる

ところが、実際に整理し始めると、模造紙だけを見ても分からないことが出てきた。

そこに何が書かれているかは分かる。
しかし、なぜその意見が出たのか、どんな話し合いを経てその結論にたどり着いたのかまでは、模造紙には残っていない。

ワークショップは成果だけでなく、そこへ至るまでの過程にも意味がある。
そこで、それぞれの班のリーダーに改めて連絡を取り、話し合いのプロセスを聞くことにした。

自分は別の役割として、各班の模造紙を撮影した画像をWeb上に掲載する仕事を引き受けた。
紙のままでは、その場にいた人しか見ることができない。
Webに載せておけば、あとから班同士で見比べることもできる。

それぞれ予定があったため、14時過ぎには作業を終えて解散した。

8月には150人の先生方が一斉に話し合い、それぞれ班ごとに会場いっぱいに広げていた模造紙だった。
それを2か月後、今度は1枚ずつ広げながら、「この班では、どんな話をしていたんだろう」ともう1度たどっていく。

夏の研修会は終わっていたが、あの日のワークショップは、まだ終わっていなかった。


次回に続く・・・👇

前回の話👇👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。

この話は、離島の小学校勤務2004年度当時の日記をもとに、島の学校編では収まらないプロジェクトや情報教育、外部との関わり等について描いていきます。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。

マガジン離島の小学校三年目の学び編👇👇

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