見出し画像

東京フィルヨーロッパ・ツアー2025④ 10/28 ベルリン公演🇩🇪コンサート編

ヨーロッパツアー初日、ベルリンのフィルハーモニーでマエストロチョン・ミョンフンとのリハーサルを終えた東京フィルは静かに開演の時を待ちます。

一方こちらはロビーホワイエ。ヨーロッパでは多くのコンサートが20時に開演します。
東京フィルが日本で慣れ親しんでいるコンサートホールに比べ、ロビーホワイエが広く、石造りの内装は堅牢な西洋のお城を思わせます。
フィルハーモニーの大ホールは五角形のヴィンヤード型(客席がワイン畑のような、なだらかな傾斜を伴う形)をしているため、ホールへの入り口扉が各座席エリアに合わせてあちこちに配置され、その扉のそれぞれに案内の係員さんが立っています。(スタッフの撮影はNGとのことで、雰囲気をお楽しみください)

チケットテイクはポータブルタイプの読み取り器でチケットのコードを読み取る形。手のひらほどのサイズの紙チケットか、スマホなどで表示する形でもOKです
東京フィルのスタンドバナーも配置。開演前は広いロビーで思い思いに談笑するお客様が多くおられました(ドイツの方は会話が大好き!)

日本でいう「当日券・預かり券」のブースも開場時から列が切れず、地元のお客様がたくさん来場されていることが伺えました。

10月に入ってから現地の新聞、ラジオ、地下鉄などにも広告が出たためか、直前に購入されるお客様が多かったようです

ヨーロッパの建物は照明が暗めでもあり、ロビーも同様。雰囲気があります。

公演ポスター。地下鉄駅などにも貼られていたようです
東京フィルヨーロッパツアーの総合パンフレットもお配りしました

いよいよ開演!

オーケストラの入場を受けて客席からは拍手がわきおこります。
マエストロも笑顔で登場。「いつも通り」のマエストロの姿は、初めてのホール、初めてのお客様の前で少しながら張り詰めた雰囲気の東京フィルメンバーを大きく包み込んでくれるようでした。

チョン・ミョンフン指揮東京フィルヨーロッパ・ツアー2025ベルリン公演:フィルハーモニー・ベルリンにて(10月28日)©︎Evgenia Gapon

バーンスタイン『ウェスト・サイド物語』より「シンフォニック・ダンス」で幕を開けたコンサート。作品の冒頭、忍び足で登場する「ウェスト・サイド」の若者たちと同じように静かに、しかし次第に内に秘めた熱狂を惜しみなく解放してゆく東京フィルの姿が、フィルハーモニーのお客様を惹きこみ釘付けにしてゆく様がありありと伝わってきました。

チョン・ミョンフン指揮東京フィルヨーロッパ・ツアー2025ベルリン公演:フィルハーモニー・ベルリンにて(10月28日)©︎Evgenia Gapon

2曲め「ラプソディ・イン・ブルー」は冒頭のクラリネット・ソロから全開の表現。小曽根真さんの絶品のピアノとオーケストラは、互いが吸い付くように一つになって「小曽根ラプソディ」の唯一無二の世界を築き上げます。オーケストラ同士のソロの受け渡しでは、互いのアド・リブ的な表現や歌い回しにも瞬時に対応してゆく様子は身震いするほどの興奮を感じさせてくれ、お客様もJazzのリズムに身体を委ね、演奏に没入してゆく姿が客席のあちこちで見られました。曲の途中、パウゼで「Woo!(ヒュー!)」という掛け声が出てマエストロがニヤリとする場面も。
ソリスト・アンコールは小曽根真「Asian Dream」。

チョン・ミョンフン指揮東京フィルヨーロッパ・ツアー2025ベルリン公演:フィルハーモニー・ベルリンにて(10月28日)©︎Evgenia Gapon
チョン・ミョンフン指揮東京フィルヨーロッパ・ツアー2025ベルリン公演:フィルハーモニー・ベルリンにて(10月28日)©︎Evgenia Gapon

ロビーが興奮気味のお客様でいっぱいになった休憩を挟み、後半はプロコフィエフ『ロメオとジュリエット』より10曲。東京での10月定期演奏会と同じ楽曲構成です。東京での公演から1週間、また、長時間の旅を経ての初めてのホール、当日たった1時間のリハーサルなど不測の事態が多く想定される中、これほどまでの驚異的な一体感が表出され、さらには一層練り上げられたサウンドが生まれていたことに、マエストロ チョンが25年にわたり鍛え上げた東京フィルのプロフェッショナリズムとポテンシャルの高さがありありと示されていました。

オーケストラ・アンコールはブラームス「ハンガリー舞曲第1番」。
フィルハーモニーの大きな空間にうねりを伴って繊細に響くブラームスの調べは、東京フィルが確実にホールの響きを捉えていたことが示される美しい音色。長いカーテンコールの後にはスタンディングオベーションが生まれ、ツアー最初の公演が成功裡に終演したことを確信させてくれました。

チョン・ミョンフン指揮東京フィルヨーロッパ・ツアー2025ベルリン公演:フィルハーモニー・ベルリンにて(10月28日)©︎Evgenia Gapon
チョン・ミョンフン指揮東京フィルヨーロッパ・ツアー2025ベルリン公演:フィルハーモニー・ベルリンにて(10月28日)©︎Evgenia Gapon

東京公演のレビューより:


現地ジャーナリストからの速報

現地で公演を聴いた音楽ジャーナリスト、中村真人さんが速報レポートを寄せてくださいました。

中村真人(音楽ジャーナリスト/ベルリン在住)

 東京フィルハーモニー交響楽団と名誉音楽監督のチョン・ミョンフンによるヨーロッパ・ツアーが幕を開けた。10月28日の初日公演が行われたのは、ベルリン・フィルハーモニーの大ホール。いきなりの大舞台だ。
 バーンスタイン、ガーシュウィン、プロコフィエフという、ベルリンでもあまり見かけないカラフルなプログラムゆえだろうか。開演前から客席はわくわくした雰囲気に包まれた。
 その期待は、冒頭のバーンスタイン『ウエスト・サイド物語』の「シンフォニック・ダンス」から叶えられた。弱音がきれい。2曲目の「サムウェア」に入ると、響きの色が変わり、オペラティックな長いラインが浮かび上がる。オペラ経験豊富なチョンとの長年の共同作業の成果もあるのだろう。よく歌うオーケストラだ。メンバーの掛け声も加わる「マンボ」からフーガ、ランブルにかけては、管楽器の妙味も光った。
 続くガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」は、掛け値なしの名演。この曲をこんなに堪能したのは初めてのことだった。小曽根真のやや硬質なタッチから紡ぎ出されるピアノは、クールな抒情性がみなぎる。そこに彼ならではのジャズの即興も加わり、新しいページを次々とめくっていくかのよう。デフォルメの効いた冒頭のクラリネット・ソロなど、オケとの絡みも絶妙で、会場のボルテージは一気に上がった。
 後半は、プロコフィエフのバレエ『ロメオとジュリエット』から10曲の抜粋。チョン・ミョンフンがキャリア初期から得意にしてきたレパートリーであり、悪かろうはずがない。久々にこの人の実演に触れて、音楽を一段と大きなスケールで捉えている印象を受けた。バルコニーの情景での熱い音の奔流、やはりチョンといえば期待する「タイボルトの死」での電光石火ぶりなど、聴きどころはいくつもあった。
 アンコールのブラームス「ハンガリー舞曲」第1番は、チョンが指揮台に上がった瞬間に音があふれ出す。ここでもオペラティックな感じがよかった。最後はスタンディングオベーションとなり、東京フィルのヨーロッパ・ツアーは最高の幕開けを飾った。

ドイツの楽譜出版社ショット社が刊行している雑誌「das Orchester」は、音楽家やオーケストラマネジメントを対象とする専門誌。編集長が来場され、公演翌日にFacebookに短評が発信されました。

「1911年創立という日本最古にして最大のオーケストラである東京フィルにとって、20世紀の3つの作品はまさに「ホームゲーム」のよう。弦楽器は技術的に完璧であり、木管のソリストたち-- 中でも特にソロ・クラリネットの際立った資質、打楽器は正確無比、金管は確かな安定感を示した」「終演後にはスタンディングオベーション。東京フィルはベルリン・フィルハーモニーでの初公演とツアーの幕開けを極めて賞賛すべき形で成し遂げたのだ」

Das Orchester Facebook postより

🇩🇪 Kurzkritik - Wenn ein Dirigent eher „casual“ in schwarzer Hose und Sweatshirt vor ein befracktes Orchester tritt, ist...

Posted by das Orchester on Wednesday, October 29, 2025

🛫 ベルリンの次の公演地はブダペスト。10月29日は移動日となり、オーケストラはすでに現地入り。同演目での30日の公演に備えます。


マエストロ チョン・ミョンフンと東京フィルのヨーロッパ・ツアー2025、引き続き応援をよろしくお願いいたします!


いいなと思ったら応援しよう!

東京フィルハーモニー交響楽団 | Tokyo Philharmonic よろしければ応援をお願いいたします! いただいたチップは楽団の今後の活動に有効に活用させていただきます。