【創作大賞感想】Aoiという生き方
君はその若さを抱えては
いつか通り過ぎて変わるだろう
変わるだろう
探すだろう
その色は
深い青
緒川ヒカリさんの「バックヤード!」を拝読した。この作品は2024年の「バンビィ・ガール」の続編に当たる。
実はTALESで読む作品を追っていたのもあって、今年の作品として『バンビィ』を読み、感想を書いてしまった。2024年はまだ僕自身がnoteを始めた頃で、存在を知らなかった。
公開後、何とご本人からご教示いただき気づくという恥ずかしいミスをしてしまい申し訳なかったのだが……『バックヤード』を読了した今、先に『バンビィ』を読めてむしろよかったとさえ感じている。
さて、本題の感想である。
モデルという職業は華やかな反面、専任で食べていける人はほんのひと握りの厳しい世界だ。主人公・あおいも例に漏れず、アパレルショップのバックヤード要員として生計を立てていた。その経験を通じてあおいのモデルという仕事に対するプロ意識が高まり、フォーカスに映る魅力が増していく。
正直、生き方が羨ましいと思った。
徳を積む。
簡単なようで、なかなかできない。
努力を継続する。
これも然りだ。
そこまでやってなお、『幸運』という女神が微笑まないと理想の姿は現実化しない。この幸運でさえも自ら勝ち取ってしまう。サラリーマンで言えば部長や役員に、職人であれば棟梁や店主に、スポーツ選手で言えば大会で金メダルを獲得するようなもの。
それは目指すところが高ければ高いほどどこかで諦めがつき、裏の顔で生きていくのが精一杯になる。僕もその現実をイヤというほど見せられている。
この作品は、夢を見せてくれているのだ。理想の生き方という夢を。叶わない世界線を。もしかしたら緒川さんの描いていた、未来を。
最後に、軽い匂わせを見せて終わる本作。
あとがきからはそう見えないが、もしかしたら続きが、と思わせる含みのようで今後も楽しみだ。

