自虐の美学:線路は続くよ赤字でも~銚子電鉄
↑前回記事より続く
銚子電鉄は長年にわたる経営難から、鉄道以外での収益も拡充すべく数年前より「ぬれ煎餅」や「まずい棒」の販売を中心としたPR戦略を打っている。
このPR広告も業者に依存せず、すべて社員自前でキャッチや制作物を作り、これが世間の目に触れることにより各地より応援する声が高まった。
そのキャッチコピーたるや
・鉄道会社の皮をかぶった煎餅屋
・電車なのに自転車操業
・潮風と赤字がしみる鉄道
・線路は続くよ赤字でも…
などなど自虐とユーモアが同居し、つい応援したくなるネタが多数。
サラリーマン時代にちょっとだけ広報の仕事に携わったことがあるが、ネタ出し、リーガルチェック、制作公開、効果測定など、たった数行のキャッチを世に出すまで数か月を要していた。それを考えると銚子電鉄のセンスとスピード感は天才としか思えない。
■なんかいいちょうし
銚子発10:00に発車する銚子電鉄を狙いホームへ。
しおさい1号が満員の乗客を吐き出していったわりには乗り換え客は少なめ。みんなどこへ行っちゃったのだろう?
どこかこのホームだけ時間がゆっくり流れているような気がする。

ホームには元南海電鉄の車両が南海カラーのまま入線してきた。
銚子電鉄では関西の南海電鉄との間で、地域交流を意識した公式コラボを実施している。
南海時代は「ズームカー」の愛称で親しまれ高野山や和歌山へ向かっていた車両がここ銚子で余生を過ごしている。
2ドアロングシートの車両はいつの間にか満員になった乗客を乗せ銚子駅を出発した。
■犬吠崖っぷちライン

銚子電鉄の愛称は経営と景観の「崖」をかけたネーミングになっている。
各駅につけられたネーミングライツも上り調子本調子(本銚子)や髪毛黒生(笠上黒生)など、笑えるものが多く、車内は終始笑顔が絶えない。
また、銚子電鉄ではPASMO、Suica等のICが使えず現金精算のみとなっている。これをまたお金がないからシステム入れられませんと言ったかどうかはわからないが、車掌さんがきっぷを確認して歩く。
乗務員さんも若い方が多く、逆に考えれば雇用活性を図っているのだなという意図も見える。
列車は犬吠駅に到着。ここで半分以上の乗客が下車した。
我々も午前中唯一の観光地である犬吠埼灯台に立ち寄ることにした。


ここ犬吠埼にはかつて犬吠埼マリンパークという水族館もあったが現在は閉館。これも銚子電鉄の乗客輸送に逆風を吹かせている。
駅には売店があり、もちろんぬれ煎餅やまずい棒も売っているが、よりによって嫁が「あんまりきれいだったから」と地産のキャベツを1玉買ってしまい、このあとリュックに背負ったまま持ち歩くはめになった爺さんであった。

■ありがとう
沿線のおふざけタッチのネーミングに笑わされつつも終着外川駅の駅名看板には「ありがとう」の文字。
ここまでの道中を振り返ると、自虐的でユーモアにあふれるボキャブラリーと経営に苦しみつつも明るく前向きに走る銚子電鉄に一層の親しみを覚えるはず。
そして最後に、終点まで乗ってくれてありがとう、銚子電鉄を応援してくれてありがとう、一緒に盛り上げてくれる地域のみなさんありがとうという暖かなメッセージを感じることができる。


乗るたびに笑いと感動をくれる銚子電鉄。また今回もがんばれ銚子電鉄という気持ちを新たにした。
あ、そうだ。そろそろ嫁を餌付けしないと
