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試聴買いの冒険:店頭でのワクワクと帰宅後のギャップ

前回は「ジャケ買い」について書きました。
今回は、実際に試聴してからレコードを買う「試聴買い」についてです。

「試聴買い」は文字通り、買う前に店頭などで試聴してから購入するパターンです。

今では、店頭でスマホで検索して内容を確認してから買う方も多いと思いますが、当時は店頭でお願いして試聴させてもらうしかありませんでした。

しかし、これが罠とも言えます。

のちにヘッドホン試聴ができるお店も増えましたが、僕の体験では、お店のスピーカーで豪快に聴けることが多かった印象です。
お店のスピーカーの比較的大きな音で聴くのは、購入意欲を増加させられていたように思います。

お店のおじさんに、気になるレコードを「すみません、これ試聴させてもらえますか?」と頼み込んで聴かせてもらい、「お!これ買う!」と喜び勇んで購入します。

ですが、ここからが僕のよくあるパターンでした。

帰宅後にワクワクしてターンテーブルに乗せると…

「あれ?こんなだっけ?」

と、店頭で聴いた同じ曲なのに、まったくいい曲に聞こえないことが多々ありました。
わざわざ無理を言って試聴させてもらったにもかかわらずです。

さすがに、そういうレコードは手元には残っていませんが、タイトルで覚えているのは:

  • Lonnie Smith – Afro-Desia

  • Jack McDuff – Magnetic Feel

古いレコードを買い始めたずいぶん初期の頃、大阪の中古店で試聴して「おおお!カッコいい」と即断したものの、家で針を下すと「なんか違う」とがっかりした覚えがあります。

即座に手放したのですが、その後このレコードを手にする機会は何度もありましたが、つい目を背けてしまうようになりました。

今、これを書きながら 改めて聴いてみると、そこまで悪くないのですが、やっぱり Magnetic Feel のベースラインを聴くと、胸の奥にキュッとした切ない違和感を今も感じます。

そして、試聴マジックと言えばオンラインでの試聴です。
今は全編聴けることが多いですが、当時は曲の一部分だけのクリップが紹介されていて、これで何度もやられました。

特に、夜遅くや、酔っぱらいながらのオンラインでの試聴購入はご法度 です。

古いジャズやラテンのレコードだけでなく、テクノなどの12インチレコードでも、試聴失敗は数えきれません。
この場合、家のヘッドホンで聴くことになるのですが、失敗の方が多い気がします。

店頭やWEB店問わず、レコードを買うときの精神状況はちょっと高揚していて、冷静な判断に欠けるのかもしれません。

今思えば、まだジャケ買いの方が成功率が高かった気すらします。

店頭で手に取ったワクワクも、家での針の落とし方次第で変わる。
音楽をじっくり選んで、買っていた時代の、ひとつの小さな物語です。

あの時店頭で、このベースラインに惑わされました。

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