「なぜ知り合ったばかりなのに深い話をしてしまうのか」──愛着の問題と境界線について考える【後編】
前編では、愛着の問題を抱えている人の中には、「安心したい」「見捨てられたくない」という気持ちから、知り合って間もない相手に深い自己開示をしてしまうことがある、というお話をしました。
では、その自己開示はなぜ一方通行では終わらないのでしょうか。
なぜ人によっては、「あなたのことも教えてほしい」「もっと知りたい」という気持ちへ変わっていくのでしょうか。
そして、なぜ一部の人では、それが相手を苦しめる関わり方になってしまうことがあるのでしょうか。
「安心したい」が「安心させてもらいたい」に変わることがあります
人は誰でも、不安になると安心を求めます。
疲れたときに家族や友人と話す。
不安な出来事があったときに誰かへ相談する。
これは、とても自然なことです。
しかし、愛着の問題を抱えている人の中には、この「安心の得方」が少し偏ってしまう場合があります。
本来、安心感とは、人との関わりの中で得ながらも、少しずつ「自分の中」に育っていくものです。
「この人は忙しいだけだから返信が遅いのかもしれない。」
「今日は機嫌が悪いだけで、嫌われたわけではないだろう。」
そんなふうに、自分で気持ちを落ち着かせる力も育っていきます。
心理学では、このような力を情動調整(感情を整える力)と考えます。
ところが、幼い頃から安心できる経験が少なかった人は、この力を十分に育てられなかった場合があります。
すると、不安になるたびに、自分の中で気持ちを整えるのではなく、「相手に安心させてもらう」ことで不安を解消しようとすることがあります。
つまり、安心の主導権が自分ではなく、相手に移ってしまうのです。
不安を「自分の中」で処理できない苦しさ
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