「なぜ知り合ったばかりなのに深い話をしてしまうのか」─愛着の問題を抱えている人の心理を考える【前編】
前回の記事では、「知り合ったばかりなのに急激に距離を縮めてくる人」との付き合い方について書きました。
その中で私は、「相手の背景を理解すること」と「自分の境界線(バウンダリー)を守ること」は別の話だとお伝えしました。
すると読者の方から、
「なぜそのような行動をする人がいるのでしょうか?」
というご質問をいただきました。
今回は、その理由の一つとして考えられている「愛着」の視点から、人との距離感について少し掘り下げてみたいと思います。
最初にお伝えしておきたいのは、この記事は「愛着の問題を抱えている人はみんなこうです」と決めつけるものではありません。
人との距離を極端に縮める人もいれば、反対に誰にも心を開けない人もいます。
愛着の問題の現れ方は人それぞれです。
その中でも今回は、「知り合ったばかりなのに深い自己開示をしてしまう」という対人関係のパターンについて考えていきます。
愛着とは、「安心できる土台」のこと
心理学では、「愛着」とは幼い頃に養育者との間で育まれる安心感のことを指します。
お腹が空いたら満たしてもらえる。
泣いたら抱きしめてもらえる。
怖いことがあったら守ってもらえる。
そんな経験を積み重ねることで、子どもは「困ったときには誰かを頼ってもいい」「人は信頼できる存在なんだ」という感覚を少しずつ身につけていきます。
もちろん、現実の子育ては理想どおりにはいきません。
忙しい毎日の中で、親もまた精一杯生きています。
ですから、「完璧な親」である必要はありません。
けれど、さまざまな事情から安心できる経験が十分に積み重ならなかった場合、大人になってからも人間関係に強い不安を抱えやすくなることがあります。
これが、一般に「愛着の問題」と呼ばれるものです。
「安心したい」が人との距離を急がせる
人間関係は、本来ゆっくり育っていくものです。
何気ない会話を重ね、一緒に笑い、小さな約束を守り合いながら、「この人なら大丈夫」と感じられるようになります。
ところが、愛着の問題を抱えている人の中には、その時間を待つことがとても苦しい人がいます。
「嫌われたらどうしよう。」
「また離れていかれたらどうしよう。」
「この人は本当に味方なのだろうか。」
そんな見捨てられ不安を抱えていると、信頼関係をゆっくり築くよりも、「今すぐ安心したい」という気持ちが強くなってしまいます。
その結果、本来なら何か月、何年とかけて築いていく関係を、数日や数週間で作ろうとしてしまうことがあります。
私たちから見ると「距離が近すぎる」と感じる行動も、本人の中では「安心したい」「つながっていたい」という切実な気持ちから生まれている場合があるのです。
深い自己開示は「安心を確かめる方法」になることがあります
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