個人のサブスク整理と会社のSaaS管理、構造はまったく同じだった
DX推進の結果、社内のSaaS契約が年々増えています。
必要だから入れた。それは事実です。
ただ、経理から「IT関連の月額費用が前年比30%増」と報告が来た時、 全契約の一覧を即答できるかと言われると、苦しいものがあります。
これは会社だけの話ではありません。
個人のサブスクも、カード明細で合計金額を見ると 「こんなに払ってたのか」と驚くことがある。
会社と家庭、スケールは違えど 「見えない固定費がじわじわ膨れている」という構造は同じです。
今回は、この「サブスクの棚卸し」について整理します。
こんにちは、しんろぐです。
DXや管理職の悩みについて、役立つことがあればと思い、毎日noteに書き込んでいます。
コスト削減の話に見えますが、 本質は「何を基準に必要・不要を判断するか」という物差しの話です。
削るべきは「サービス」ではなく「判断基準のなさ」
サブスクの見直しで最初にやりがちなのが 「どれを解約するか」のリスト作り。 けれど、これがうまくいった例はあまり聞きません。
判断基準がないまま仕分けを始めると、 現場は「全部使ってます」と言い、経営は「何か削れ」と返す。
このすれ違いの原因は、 「使っている」の定義が人によって違うことにあります。
先に決めるべきは、削るサービスではなく、残すサービスの基準。
使用頻度・代替手段の有無・契約形態。
この3軸を持てば、感情論ではなくデータで会話できるようになります。
ライセンスの30〜51%が使われていない
2025年の複数の調査によると、 企業が購入しているSaaSライセンスのうち 30〜51%が未使用もしくは十分に活用されていません。
大企業は平均で百近いSaaSアプリケーションを利用しており、 「契約はしているが誰もログインしていない」ものが相当数含まれています。
それでも社内では「全部必要」と言われている。
このギャップの正体は、 「使っている」と「活用している」の区別が整理されていないこと。
ここを放置したまま棚卸しをしても、議論は平行線をたどります。
「削ったら困るかもしれない」は正しい不安
棚卸しが進まない最大の理由は、コストでも手間でもありません。
「削った結果、現場が困ったらどうしよう」という不安です。
特にDX推進の流れで自分が導入を呼びかけたサービスであれば、 「やはり不要でした」とは言い出しにくい。
その感覚自体は自然なことです。
年間契約にしてしまっているからすぐには動けない、という事情もある。
しかし、「とりあえず残す」を続けた先にあるのは、 固定費が予算を圧迫する未来です。
退職した社員のアカウントが生きたままであれば、 セキュリティリスクも放置していることになります。
棚卸しの先送りは、コストだけでなくリスクの先送り。 ここは見過ごせません。
判断基準をつくる3つの視点
視点を3つに整理します。
1. 「使っている」と「活用している」を区別する
月に1回のログインで「使っている」と言えるか。
上位プランを契約しているのに基本機能しか使っていないなら、 プランの見直しだけでコストが下がります。
道具を持っていることと、使いこなしていることは違う。
2. 年間契約の自動更新を「判断の放棄」と捉える
自動更新は便利ですが、 裏を返せば「契約を見直す機会を自ら手放している」ということでもあります。
更新の90日前にカレンダーでアラートを入れるだけで、 年に1回は棚卸しの機会が生まれます。
3. 「引き算」ができる組織はDXが進む
新しいツールを入れることがDXだと誤解されがちですが、 不要なものを外す判断ができる方がよほど難しく、かつ健全です。
ツールの数と業務の成果は比例しません。
ツールが増えるほど「どこに情報があるか分からない」という問題が生まれることは、 現場では既に実感として分かっていること。
まずやること
具体的な棚卸しのアクションを3つに絞ります。
ステップ1:全サービスをリスト化する。
経費精算データを3ヶ月分遡り、 月額・年額の支払いをすべて書き出す。 この時点で「まだ契約してたのか」が1つは見つかります。ステップ2:「最終ログイン日」で仕分ける。
管理画面から各ユーザーの最終ログイン日を確認し、 1ヶ月以上未使用のアカウントを洗い出す。ステップ3:契約更新日をカレンダーに入れる。
すべての年間契約の更新日を確認し、90日前にリマインドを設定する。 これだけで「自動更新されてた」という事故がなくなります。
管理の仕組みを「持つこと」が最初の一歩。サブスクの棚卸しは、 「何が本当に必要か」を判断する行為です。
DX推進で増えたツールを整理することは後退ではなく、 「とりあえず入れる」段階から「使いこなす」段階への移行。
結果としてコストも下がりますが、それは副産物であって目的ではありません。
会社のものも個人のものも、まずは全部書き出すところから。 物差しさえ持てば、判断は自然と動き出します。
もし「うちも同じ状況だ」と思ったら、 今日のうちにサブスク、SaaSの一覧を開いてみてください。
それが一番手軽で、一番効果のある棚卸しの始め方です。
今回は以上です。 ここまで読んでいただきありがとうございました。
