【2028年以降の物流⑤】“安い” の基準が変わる No.0023
2028年以降。
物流業界では、
「安い運賃」という意味そのものが変わるかもしれません。
今までは、
「荷主が払う運賃」が基準でした。
しかし今後は、
「実際に運ぶ運送会社に、
いくら届いているか?」
が重要になっていく可能性があります。
前回の記事、
【2028年以降の物流④】標準的運賃から適正原価へ No.0022にて、
『適正原価が“実質的な最低ライン”に近い考え方になっていく』
と触れました。
そして、適正原価告示後の世界では、
おそらく運賃の高い/安いの基準は今と変わってしまっているでしょう。
実運送と荷主で「見える景色」が逆転する
国が“実運送側の実質的な最低ライン”を決めてくる世界(適正原価告示後の世界)において、僕の考えでは、
① 運送会社視点では運賃の差は今より小さくなり、
② 荷主視点では運賃の差は今より大きくなる
こう考えます。
え?
矛盾してるじゃないか?
と思われるかもしれませんが、僕は本当にそうなると考えています。
①②に影響を与える要因はそれぞれ異なります。
①は "適正原価" という制度による
②は "利用運送" という構造による
先の一見矛盾しているように見えた景色に、もう少し説明を加えると、
ライバルの実運送同士の運賃差は、
"制度" によって小さくなっていく。
一方で、
ライバルの荷主同士の運賃差は、
"構造" によって大きくなっていく。
「同じ実運送」なのに運賃差が生まれる理由
もう少し具体例で説明します。
適正原価が制度化された後の未来を想像してみます。
ライバル関係の荷主Aと荷主Bがあり、
得意先Cを取り合っている関係です。
両社とも名古屋から出荷して東京に納品する仕事を、得意先Cから受注しています。
A社とB社の製造コストはほぼ同じ、商品の価格もほぼ同じだとします。
仮に、4t車の名古屋→東京の適正原価が9万円と決まったとします。

得意先Cに提出した運賃は、
荷主A 10万円
荷主B 12.5万円
※数字は構造説明のための例です
最終的に納品した運送会社は、どちらも
同じ実運送Dでした。
しかし荷主が支払う運賃には、
2.5万円の違いが出てしまいました。
なぜでしょう?
両社には手配構造の違いがありました。
荷主A
→ 実運送D
(適正原価9万 + 実運送の利益1万)
荷主B
→ 元請E
→(マージン2万)
→ 協力会社F
→(マージン5千円)
→ 実運送D
(適正原価9万 + 実運送の利益1万)
荷主Aは実運送Dと直接契約。
荷主Bは、利用運送。
元請E・協力会社Fを通して実運送Dが運んでいました。
運送手配が
"直接契約" か
"利用運送" かの違いによって、
荷主が払う運賃に大きな違いが生まれたわけです。
これが荷主視点での "構造" による運賃の違いです。
そして興味深いのは、
この時、実運送Dの運賃はどちらも同額だということです。
2026年の今現在は、これと逆なんです。
今までは「荷主運賃」が固定だった

今は、固定なのは荷主の運賃("直接契約"でも"利用運送" でも)。
だから、手配が "下請構造" でも何も気にしないし、
それが多重下請であっても荷主が払う運賃には影響がない。
適正原価告示後(推定2028年4月以降)では、
国の "制度" により固定となるのは実運送の運賃の側。
利用運送(下請構造)では、
中間マージンが積み上がる構造上、
荷主が支払う運賃が高くならざるを得なくなります。
どうでしょう?
先ほどの説明が、
矛盾していそうで、
矛盾していないことが理解していただけたでしょうか?
重要なのは「差額の大きさ」ではない
「その例えは大袈裟だ!」
「うちなら2.5万も違いは出ない!」
利用運送の会社からは、そういう反論もあるかもしれません。
もちろん差額は2.5万も無いかもしれません。
しかし今後、重要になってくるのは、
差額の『金額の大小』ではなく、
「同じ実運送を使っているのに差が生まれる」
という事実そのものなのではないでしょうか?
もう少し正確に言うと、
「同じ実運送を使って」なくてもです。
(輸送距離と車種が同じなら、適正原価は同じ)
そして、その差は
荷主Aと荷主Bの手配構造が違っている以上、
毎回生まれます。
「適正原価」という共通認識が広がった世界では、
同じ輸送条件で、運賃に違いが出てしまうこと自体が、
重く受け止められる可能性があります。
次に影響を受けるのは「得意先C」
忘れてはいけないこととして、得意先Cの存在です。
先ほど、荷主Aと荷主Bは、
同じ得意先Cと取引をしているライバルの会社だと説明しました。
この時、得意先C視点ではどう見えるでしょうか?
そしてその後、どういう動きに発展していくでしょうか?
それについては次の記事で書きます。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。😄
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