【多重下請シリーズ③】「中抜きは隠せなくなる」適正原価が壊す“多重下請の利益構造” No.0011
※※※ 前書き ※※※
この記事は、トラックを使った出荷をしている製造業などの荷主さん、営業マンがいない規模感の運送会社さん向けに書いています。特定事業者ではない中小企業の荷主さん、実運送会社さんに届いて、2028年問題を突破するヒントに繋がってくれればと思います。
物流の法改正は地域を問わず影響しますので、この記事は全国向けでもありますが、岐阜・愛知で物流に関わる荷主様・運送会社様でしたら私が直接伺うことも出来ます。
記事を読んでもらった後、共感していただけましたら積極的にコメントを残して欲しいです。現場の皆さんからの反応を参考にして、これからの記事を書いていきます。
※※ TG Connect 高木 ※※
前回の記事、多重下請シリーズ②では、
適正原価の導入によって、
荷主が支払う運賃が上がる可能性について整理しました。
多重下請シリーズ①②をまだ読んでない方は先に読んでもらうと、この記事多重下請シリーズ③の理解が深まります。👇👇
前回の記事、多重下請シリーズ②では、
多重であればあるほど運賃は上がりやすく
たとえ
一次請け・二次請けに整理されていても、
実運送対価が見えない構造であれば、
結果的に
利用運送の中抜きが積み上がる
可能性がある、という話をしました。
では、その「中抜き」をしている側──
利用運送には何が起きるのか。
ここが今回の本題です。
■ すでに起きている変化
2026年現在、現場では明確な動きが出ています。
それは、
「下請は2次までに収める」
という流れです。
背景にあるのは、実運送体制管理簿です。
この制度によって、
輸送の“階層構造”は可視化されるようになりました。
ただし、ここには大きな特徴があります。
👉 運賃は可視化されない
つまり、
何次請けまであるか → 見える
いくら抜いているか → 見えない
この状態では、荷主が指摘できるのは
あくまで「階層の深さ」だけです。
その結果、利用運送はどう動くか。
👉 階層だけを整える方向に最適化する
5次、6次といった構造は是正され、
全便が2次以内、場合によっては1次以内へ。
ここまでは、すでに起きている現実です。
■ では、その先で何が起きるか
ここからが本題です。
元請けの利用運送会社は国の方針に沿って精一杯努力しました。
その結果、もし、すべての輸送が
「1次請け」で完結する状態に整理されたとします。
その状態で、適正原価が告示されたらどうなるか。
👉 中抜きが
“逆算でバレる”ようになります
例えば、次のように仮定します。
適正原価:10万円(国が公表)
元請けの請求:13万円
適正原価は荷主にも伝わっていますから
この時点で、荷主はこう考えます。
👉 「3万円、どこに行ってる?」

今まではブラックボックスだった部分が、
単純な引き算で見えてしまう。
これは利用運送にとって
とてつもない大きな変化です。
■ 「中抜き」は許容されなくなる
当然ですが、荷主はこう考えます。
「10万円が基準なら、なぜ13万円なのか」
そして、こうなるはずです。
👉 値下げ圧力がかかる
つまり、
これまでのように
「見えないから成立していた中抜き」は通用しなくなる。
ここが今回の一番重要なポイントです。
■ さらにもう一段の圧力
加えて、国は「過剰な手数料」の是正も求めています。
その目安とされているのが、
👉 約10%

『一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃について』(国自貨第844号、令和6年3月22日)
ただし、これはあくまで目安であり、
実際にその水準で成立するかは別問題です。
特に、貨物利用運送を主業とする会社にとっては、
👉 10%では厳しい可能性が高い
かもしれません。
つまり、
上からは値下げ圧力
横からは制度による制限
この両方が同時にかかる構造になります。
■ 多重下請構造は“利益”から崩れる
ここまでを整理すると、こうなります。
これまでの多重下請は、
👉 「階層」が問題視されてきました
しかし、実際に崩れるポイントはそこではありません。
👉 “利益構造”の方です
階層は2次以内に収まるが、
しかし中抜きは維持できない
この状態になったとき、
最も影響を受けるのはどこか。
👉 中間にいる利用運送です
特に、
もともと薄利だった下層の利用運送
いわゆる“水屋”と呼ばれるポジション
このあたりは、
存続そのものが難しくなる可能性があります。
■ なぜこうなるのか?
これは特定の業種を狙ったものというより、
👉 物流コストの上昇を社会全体で抑制するための構造的な調整
と見る方が自然です。
運賃が上がれば、物価に直結します。
当然ながら、物価上昇には社会的なブレーキがかかります。
その結果、
👉 圧力は「中間」に集まる
これが構造です。
■ 生き残る利用運送はどこか?
では、この環境で残るのはどんな会社か。
考えられるのは、次の3つです。
① 低い利益率でも回る構造を持つ会社
② 高いマージンでも荷主を説得できる元請
③ 他事業で収益を補完できる会社
それ以外は、かなり厳しい状況になると考えられます。
■ では、何をチェックすべきか?
ここまで読んで、
「構造が変わるのはわかった」
で終わってしまっては意味がありません。
重要なのは、もっとシンプルです。
👉 今、御社が付き合っている元請けは、この変化に耐えられる構造か?
この一点です。
例えば、以下の視点で見てみてください。
・その会社は、実運送をどこまで把握しているか
→ 1次なのか、それとも実質多重なのか
・運賃の根拠を説明できるか
→ 「相場です」以外の説明があるか
・自社の取り分(マージン)をどう考えているか
→ 構造として成立しているのか
・低い利益率でも回る体制を持っているか
→ それとも高マージン前提の会社か
これらが曖昧な場合、
👉 適正原価の導入後に、想定外のコスト増や条件変更に繋がる可能性があります
👉まずは主要取引先1社でいいので、実運送までの流れと運賃構造を棚卸ししてみてください
■ 変化は“取引先から”始まる
多重下請構造の変化は、
自社の中で完結するものではありません。
👉 取引先の変化をきっかけに、外側から影響が波及してきます。
つまり、
👉 御社がコントロールできないところから、条件が変わり始めるということです。
■ 今やるべきこと
👉 構造が変わる前に、取引先を見つめ直すこと
これが、現実的な第一歩です。
■ 最後に
多重下請構造の是正は、
👉 「見えなかった利益が見えるようになること」
この一点に集約されます。
その変化は、
👉 利用運送のビジネスモデルそのものを直撃します。
そしてその変化は、
👉 利用運送のビジネスモデルだけでなく、御社のコスト構造にも直接影響します。
これまでのように、
「いくらで運ばれているのか分からない」状態のままでは、
👉 コストもリスクもコントロールできなくなります。
この変化に対応できるかどうかは、
👉 取引先の構造をどこまで把握できているかにかかっています。
見えていないものは、管理できない。
そして、管理できないものは、いずれコストとして表面化します。
👉 気づいた時には、すでに条件を飲まざるを得ない状況になっている可能性もあります。
変化を前提に動く会社だけが残る。
逆に言えば、動けない会社は厳しくなる。
そういう局面に入っています。
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