【2028年問題まであと730日】 実運送体制管理簿 No.0007
~「可視化はできるが、是正はできない」という現実 〜
2026年4月。
実運送体制管理簿の運用が、本格的に始まりました。
この制度については様々な解説がありますが、
現場目線で一つ、はっきり言えることがあります。
👉 この制度は「可視化」はできるが、「是正」はできない。
少し踏み込んで解説します。
■ なぜこの制度が生まれたのか
背景にあるのは、いわゆる2024年問題です。
・ドライバー不足
・輸送力不足
・多重下請構造
・不透明な委託関係
こうした問題を解決するために、
👉「見えなかったものを見えるようにする」
という考え方で作られたのが、
実運送体制管理簿です。
そして最終的なゴールは、
・実運送会社への適正運賃の確保
・業界全体の健全化
ここにあります。
なお、
「そもそも実運送体制管理簿って何?」
「誰が何をしなければいけないのか?」
という方は、まずこちらの記事をご覧ください👇
※ここを理解していないと、この先の話は正直ピンときません。
制度の全体像を現場目線で整理しています。
■ では、何が“見える”ようになるのか
管理簿によって、
👉「誰が、どの順番で運んでいるのか」
つまり、多重下請構造が可視化されます。
これまでブラックボックスだった部分が、
荷主から見えるようになる。
ここまでは、この制度は機能します。
■ しかし、本質はそこではない
問題は、その先です。
可視化されたあと、
何が起きるのか。
ここが、この制度の核心です。
結論から言えば、
👉 何も変わらない可能性が高い。
■ なぜ是正に繋がらないのか
理由はシンプルです。
👉「お金」が見えないからです。
実運送体制管理簿には、
・誰に委託したか
・何次請けか
は記載されますが、
👉 いくらで委託したか(運賃)は書かれません。
さらに、
・多重下請は「2次までが望ましい」(努力義務)
・罰則なし
という建付けです。
つまり、
・構造は見える
・でも、是正する強制力がない
・さらに、お金も見えない
これでは、
👉 是正に動くための材料が揃っていない
ということになります。
■ 現場で実際に起きること
例えば荷主が管理簿を見て、
「これ、4次請けになってますよね?」
と気づいたとします。
ではその先どうなるか。
・元請に改善を求める?
・でも関係は崩したくない
・運賃は変わらない
結果として、
👉 見て見ぬふりをする可能性が高い。
さらに踏み込んで、
「実運送会社にいくら払われているんですか?」
と聞いたとしても、
👉 元請には答える義務がありません。
つまり、
👉 聞けるが、答えなくてもいい
この時点で、
👉 是正の動きは止まります。
■ この制度が持つ“もう一つの側面”
ただし、この制度は無意味ではありません。
むしろ、別の意味で強力です。
👉 元請運送会社の“スタンス”が可視化される
・運賃を説明する会社
・説明を避ける会社
この違いは、荷主にとって非常に大きい。
仮に2社を比較した場合、
一方はしっかり説明する
もう一方は濁す
どちらを信用するかは明白です。
つまりこの制度は、
👉 構造ではなく“スタンス”を可視化する装置
とも言えます。
■ それでも、運賃は是正されない
ここまで見てきた通り、
・構造は見える
・スタンスも見える
しかし、
👉 運賃そのものは変わらない。
なぜなら、
👉 強制力がないからです。
■ この矛盾が意味するもの
ここに、この制度の本質的な矛盾があります。
👉 運賃を是正したい制度なのに、運賃は見せない。
言い換えれば、
👉 “一番重要な部分だけ隠したまま、是正しようとしている”
この構造のままでは、
理想には辿り着きません。
■ では、どうなるのか
だからこそ、
次に控えているのが
👉 適正原価の告示(最低運賃)
です。
管理簿では是正できない。
だから、強制するしかない。
この流れは、かなり自然です。
むしろ、このための制度設計と言ってもいいかもしれません。
■ 結論
実運送体制管理簿は、
👉 「可視化」という点では意味がある制度です。
しかし、
👉 それだけでは何も変わらない。
むしろ、
👉 「見えるようになっただけ」
で終わる可能性すらあります。
この制度の限界を理解した上で、
どう動くべきか。
見て見ぬふりをするのか。
それとも、踏み込むのか。
この判断が、
2年後のコストを大きく分けることになります。
(しかも、その差は想像以上に大きくなります)
それについては、また別の記事で書きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。😄

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