【2028年以降の物流⑥】得意先Cからはどう見えるか? No.0024
前回の記事、
【2028年以降の物流⑤】“安い”の基準が変わる No.0023 では、
適正原価施行後の世界では、運送会社視点での運賃差は今より小さくなる
一方で、荷主視点での運賃差は今より大きくなる
という話をしました。
まだNo.0023を読んでない方はこちら👇👇👇
そして、
「手配構造」の違いによって、運賃を同額に出来ない現象が起こる――
というところまで説明しました。
今回の記事No.0024では、
前回の荷主A・荷主Bの“その後”の動きと、得意先Cから見える景色を想像してみます。
同じ運送会社なのに、なぜ2.5万円違うのか?
荷主A・荷主Bともに、最終的に納品した運送会社は「実運送D」で、同じでした。
しかし、
運賃には2.5万円の差が出ました。
両社には
「手配構造」の違いがありました。
荷主A
→ 実運送Dと直接契約荷主B
→ 元請Eからの下請構造で実運送Dを使用
という違いです。
得意先Cからはどう見えるのか?
この状況は、得意先C視点ではどう見えるでしょうか?
『同じ運送会社のトラックが納品に来たのに2.5万円も違ってたゾ?
荷主Bは抜きすぎじゃないか??』
おそらく、そう見えてしまうでしょう。
荷主Aも荷主Bも、運送会社が出してきた運賃に対して、自社の利益は乗せずにいました。
それなのに、荷主Bは「利益を取りすぎている」と評価されてしまいました。
実際には、
荷主Bが利益を取っているわけではなく
荷主Bが依頼した元請Eが傭車をしたことで
中間マージンが発生し
荷主Aとの間に2.5万円の差が出来た
という話なんですが、得意先Cからはその部分は見えません。
その結果、
「荷主Bが利益を取りすぎている」
という単純な見え方になってしまったわけです。
得意先Cはどちらに発注するのか?
この後、得意先Cは、
荷主A
荷主B
どちらに次の仕事を発注するでしょうか?
運賃以外が同じ条件であれば、荷主Aが選ばれるのが自然だと思います。
なぜ、今までは問題にならなかったのか?
話を戻します。
もともと荷主Aと荷主Bはライバルでした。
ということは、以前は運賃も同額程度だったはずです。
では、なぜ今回は2.5万円の差が出てしまったのでしょうか?
実は、ここに大きな危険が隠れています。
2028年以降に起こる変化
2028年の適正原価施行を境にして、
実運送と直接契約している荷主
下請構造で手配している荷主
この両者の間には、これまで存在していなかったデメリットが生じてしまいます。
そのデメリットが、今回の「2.5万円の運賃差」として現れました。
これまでは、
下請構造での手配
何重にも再委託を繰り返した多重下請構造
であったとしても、
荷主が元請に支払う運賃には一切影響はなく、一定でした。
しかし、適正原価は、実際に納品するトラックの運賃(正確には原価)を決めてきます。
そして、その原価を下回る運賃は、今後、行政指導リスク・是正対象になっていく可能性があります。
つまり、
これから一定になるのは、
「末端の実運送の運賃」です。
その結果、
下請構造の委託階層分のマージンを、荷主が払う形になっていく――
そういう方向性の法改正です。
【運賃の新しい基準】
適正原価未満・・・行政指導のリスクあり
適正原価に近い・・・安い
適正原価から遠い・・・高い
これまでの、ふんわりとした相場感ではなく、適正原価が基準となっていくでしょう。
その後、荷主Bはどう動くのか?
さらにその後、荷主Bはどう動くでしょう?
荷主Aとの競争に負けて、得意先Cからの受注が無くなってしまった荷主Bは、元請Eに対してこう言います。
『商品価格では戦えてるのに、
どうやら運賃で差が出て
失注してしまったらしい。
運賃を下げてくれ。』
それを受けて、元請Eは協力会社Fを外し、直接、実運送Dに依頼します。
(荷主B → 元請E → 実運送D)
2次下請から、1次下請での手配となりました。
しかし、実運送Dの運賃は適正原価を下回れないため、実運送Dの運賃については踏み込めません。
実運送Dの運賃10万円
(=適正原価9万円 + Dの利益1万円)
のままです。
元請Eのマージン2万円はそのままだとすると、
荷主Bの運賃は、
12.5万円
↓
12万円
に下がりました(協力会社Fのマージン分のコストダウン)。
しかし、それでも荷主Aの10万円とは2万円の差があります。
つまり、まだ荷主Bは受注出来ません。
荷主Bは、さらに元請Eへこう言います。
『まだ運賃で荷主Aに
負けてるみたいだ。
もっと頑張ってくれ。
そうじゃないと、そっちにも
仕事を回せないんだから。』
それを受けて、元請Eは自社のマージンを思い切って50%削って1万円にしました。
これにより、得意先Cへの運賃見積もりは11万円になりました。
それでも、荷主Bは荷主Aには勝てません。
構造そのものが「運賃差」になる
ここまでの説明で、この先が読めた方もいらっしゃると思います。
荷主Bは、元請Eを使っている(元請Eが傭車をしている)以上は、荷主Aと同額の運賃にはなりません。
これは、
「企業努力の問題」
ではなく、
「構造による不可避の問題」
なんです。
元請Eが取り分を0にすれば、ようやく荷主Aと同じ土俵に乗れます。
しかし当然ながら、マージン0では元請Eは倒産してしまいます。
もっと言えば、
本来2万円が会社として必要な利益なのに、利益を1万円にした段階でも、倒産こそしないにせよ、元請Eの経営には無理をさせているはずです。
2028年以降、競争力そのものが変わるかもしれない
この例は、僕が架空でシミュレートした話です。
ただ、大袈裟ではなく、実際に起こり得る話だと思われませんか?
2028年以降は、
物流を運送会社に任せっきりにして、
「運賃の安さ」だけに注目する時代ではなくなるのかもしれません。
荷主側も物流構造を理解しようと歩み寄る。
そういう姿勢に切り替えた企業だけが、
「競争力のある運賃の確保」
「輸送品質の維持」
に辿り着ける――
そんな時代になる気がしています。
今回の例で言えば、もちろん得意先Cは運賃を比較して取引先を選んでいるのは間違いありませんが、
運賃の比較を通して、仕入先の会社が
「どんな物流構造なのか」
「物流とどう向き合っている会社なのか」
を見て、評価しているとも言えるのではないでしょうか?
だって、下請構造での手配と直接契約での手配の間には、
構造による埋められない溝が存在し、
どうしても運賃に差が出てしまうわけですから。
あなたが所属している会社は、これから「物流」と積極的に向き合うつもりがありそうですか?
今の御社の物流は、
荷主Aですか?荷主Bですか?
どちらですか?
まずはそこを把握する(物流の棚卸し)ところから始めて下さい。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。😄
まだ大きいニュースになっていませんが、
適正原価施行の方向性は既に示されています。
わかりやすく現場レベルに噛み砕かれたこれらの情報って、
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なので、この記事を通して
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