現役鉄道員プレゼンツ 絶対に外さない旅行プラン_週末長野1泊2日 善光寺・小布施・野沢温泉を長野電鉄でめぐる
この旅のポイント
新幹線で1時間20分。1泊2日で、1,400年の歴史・江戸時代の天才絵師・温泉13か所の全部を詰め込む。
長野は「スキーの時期に行く場所」と思っている人が多い。確かにスキーも最高だが、長野は一年中楽しめる場所だ。善光寺の荘厳さは季節を選ばないし、小布施の栗スイーツは秋が旬だが北斎館は年中開いている。野沢温泉の外湯は365日無料(寸志)で入れる。
そしてこの3つのスポットが、長野電鉄という一本のローカル線でつながっている——これが現役鉄道員として最も推したいポイントだ。
アクセス——北陸新幹線で1時間20分
東京駅→長野駅
北陸新幹線「かがやき」または「はくたか」で約1時間20分〜1時間50分。

長野駅を拠点に、長野電鉄で小布施へ、飯山線または高速バスで野沢温泉へ移動する。車なしで全部まわれる、週末旅行の理想的な構成だ。
現役鉄道員からひとこと
長野駅から特急列車で25分で小布施駅に到着する。長野電鉄は元東急・元小田急の車両が走るローカル私鉄で、都会から「引退」した車両たちが長野の山間を走る姿に、鉄道員として勝手に親しみを覚える。善光寺下駅という駅名もあり、善光寺へのアクセスにも使える。

1日目——善光寺と小布施
①午前:善光寺——1,400年の歴史を「暗闇の中で感じる」

長野駅から善光寺まで徒歩約20分、またはバスで約10分。
善光寺は今から約1,400年前に創建されたと伝えられ、宗派の別なく人々を救済する名刹として、平安の昔より全国から参詣者が訪れている。「一生に一度は善光寺詣り」という言葉が全国に広まったのも、この「どの宗派の人も受け入れる」という懐の深さゆえだ。
仲見世通りを歩きながら山門をくぐり、本堂へ。本堂外陣から参拝することもできるが、ぜひ内陣券(大人1,000円)を購入して「お戒壇めぐり」を体験してほしい。
お戒壇めぐりは、本堂の地下に設けられた真っ暗な回廊を進み、中程にある「極楽の錠前」に触れることでご本尊と縁を結ぶという参拝形式だ。回廊は文字通り真の暗闇で、手すりを頼りに進む数十メートルが、他のどんな観光地でも体験できない独特の感覚をもたらす。
「怖い」という人もいるが、この暗闇の中に立ったとき、1,400年間ここを参拝してきた人々と同じ体験をしているという感覚が不思議と湧いてくる。
参拝のコツ
善光寺は朝の「お朝事(おあさじ)」の時間帯(夜明け〜7時頃)が最も静かで荘厳だ。早起きできるなら、人が少ない早朝に訪れてほしい。日中は参拝客で混雑する。
②昼:門前町の食べ歩き
善光寺周辺の仲見世・門前町には、信州そば・おやき(野沢菜・きのこ・あずきなどを包んだ蒸し焼きのまんじゅう)・七味唐辛子(善光寺七味は全国的に有名)の店が並んでいる。
昼食は門前の蕎麦屋で「ざるそば」を。信州は日本一の蕎麦産地のひとつで、長野市内だけで数十軒の蕎麦屋がある。
③午後:長野電鉄で小布施へ
長野駅から長野電鉄に乗って小布施へ。長野駅から特急列車で25分、長野電鉄小布施駅に到着すると、目の前に果樹畑と北信五岳(飯綱山・戸隠山・黒姫山・斑尾山・妙高山)の山並みが広がる。
④午後:小布施——北斎の晩年作と栗の町
小布施は「栗と北斎の町」だ。この二つだけで午後の時間が埋まる。
北斎館
「冨嶽三十六景」などで世界的に名高い江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎は、80代を過ぎてから小布施出身の豪農商・高井鴻山の招きを受け、幾度も小布施に滞在した。その際に描いた華やかな色彩と躍動感あふれる作品を北斎館では多数展示している。
特に見てほしいのが長野県宝に指定されている2基の祭屋台の天井絵で、東町・上町それぞれに「龍と鳳凰」と「男浪・女浪の怒涛図」が描かれており、見ごたえ十分だ。80代の老人がこれだけのものを描いたということの驚きが、館内にいる間ずっと頭から離れない。
入館情報:大人1,000円 / 9:00〜17:00(最終入館16:30)
栗の小径と栗スイーツ
北斎館のそばにある栗の小径は、歴史ある石畳の小径で、両側に栗の木が並ぶ散策路だ。
秋には栗が落ちてくる時期に合わせて大勢の観光客が訪れる。
小布施の栗スイーツなら「竹風堂」の栗おこわか、「桜井甘精堂」のモンブランが定番だ。竹風堂では国産栗100%自家仕込みの栗菓子を展開しており、お土産にも最適だ。
⑤夜:野沢温泉へ移動・宿泊
小布施から長野電鉄で長野駅に戻り(約25分)、飯山線または高速バスで野沢温泉へ。長野駅から飯山駅まで新幹線で約12分、飯山駅から野沢温泉まではバスで約20〜30分。合計約1時間で野沢温泉に着く。
到着したら、まず宿にチェックインして1か所だけ外湯に入ろう。夜の温泉街は湯気と硫黄の香りに包まれており、昼間とは全く違う雰囲気がある。
https://www.e-yuzawa.gr.jp/sys/stay/
2日目——野沢温泉の外湯めぐり
①野沢温泉の「外湯」というシステム
野沢温泉には、村内に30余りの源泉があり、「外湯」と呼ばれる共同浴場が温泉街に13か所ある。
外湯とは村内に点在する公共浴室で、地元の町内会が維持・掃除している。観光客はこの地元の財産である温泉を使わせていただいている形だ。入浴は基本無料(寸志歓迎)。13か所のお風呂がほぼ無料で入れる温泉地は、日本全国を見ても野沢温泉しかない。
鉄道員として、この「外湯」というシステムには深く感心する。地元の人が自分たちの温泉を維持管理し、観光客にも開放している——その信頼関係の上に成り立っている場所だ。「無料だから」ではなく、「使わせてもらっている」という気持ちで入ることが大切だ。
②午前:麻釜(おがま)と外湯めぐり
まず「麻釜(おがま)」へ。

野沢温泉に30ほどある源泉の一つで、100℃近い熱湯が湧いている国の天然記念物。モクモクと上がる湯気と硫黄の香りに包まれ、「これぞ温泉地!」という雰囲気だ。古くから地元住民が野菜などをゆでるのに利用しており「野沢温泉の台所」と称されている。地元の人以外は立ち入りが禁止されているので、囲いの外から見学しよう。
その後は徒歩で外湯をはしごする。13か所すべて徒歩20分圏内に集まっているので、2〜3か所入るのが現実的だ。
外湯めぐりのコツ
野沢温泉の外湯は「あつ湯」が基本で、熱さに慣れていない人には「熊の手洗湯」「麻釜の湯」「十王道の湯」がぬるめでおすすめだ。水で薄めることは厳禁——外湯のルールを守って入ることが、地元への敬意だ。
大湯
温泉街の南側入口に位置する外湯の中で最も大きな木造湯屋建築。あつ湯とぬる湯に分かれており、源泉は麻釜から引湯している。外湯巡りをするなら、まずここから始めるのが定番だ。
②昼:野沢菜と信州蕎麦
野沢温泉名物の「野沢菜」は麻釜の高温で茹でた野沢菜の漬け物が有名で、温泉街の土産店で買える。昼食は地元の蕎麦屋で信州そばを。野沢温泉の蕎麦屋はオヤマボクチ(植物)をつなぎにした十割蕎麦が名物の店もある。
③午後:帰路
野沢温泉からバスで飯山駅へ(約20〜30分)、北陸新幹線で長野駅を経由して東京へ。東京には夕方に帰着できる計算だ。
スケジュール早見表


旅のポイント3つ
① 善光寺は朝一番に
日中は参拝客で賑わう善光寺も、朝7時台は静かだ。可能なら長野に前泊して、早朝のお朝事に合わせて参拝するのが最高の体験になる。
② 外湯は「熱い」前提で行く
野沢温泉の外湯は全国的に見ても「あつめ」の設定だ。熱さが苦手なら「熊の手洗湯」や「麻釜の湯」といったぬるめの外湯から入るのがおすすめ。水で薄めるのは絶対にNG。
③小布施の栗は秋が旬
小布施の栗スイーツが最もおいしいのは9月〜11月の秋シーズン。「栗の渋皮煮」や「栗ご飯」が新栗で食べられる。秋に旅程を組めるなら、ぜひこの時期を狙ってほしい。
現役鉄道員からの総評
善光寺・小布施・野沢温泉という三か所の個性が、バラバラすぎず統一されすぎず、ちょうどいいバランスで1泊2日に収まる。
善光寺で「歴史の重さ」を感じ、小布施で「天才の晩年の仕事」に驚き、野沢温泉で「地域の人が守る温泉」に浸かる——それぞれのテーマが全く違うから、旅の中に「飽き」が来ない。
長野電鉄で小布施に向かう25分間、窓の外に北信五岳の山並みが広がる景色も、この旅の大事な一コマだ。
