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質問201:試合で良いときと悪いときがあるのはなぜ?

試合になると、なぜか別人のようになる。
それは、ジョコビッチでさえ例外ではありません。
調子がいいときと、悪いとき。
その切り替わりは、対戦相手によるというよりも、だいたい自分の中で起きています

質問
こんにちは
初めて相談させていただきます。

試合をしていると、
良いときと悪いときがあるのです。

ある時はサーブで得点を稼いだり、すごくいいショットが打てたりします。
しかしある時はサーブが全くはいらなかったり、なにを打ってもアウトになったりします。

それで勝てると思った相手に
ぼろ負けしてしまいます。

精神的な問題なのでしょうか?
近々部内戦があります。
そこで絶対に絶対に勝ちたいです。

ご指摘お願いします!


長文失礼しました。

回答


▶ジキルとハイドと、セルフ1とセルフ2と


誰のなかにも、ジキルとハイドがいます(笑)。

比喩的に申せば、ジギルは物静か。

ハイドはまくし立てます。

試合で「今日はめちゃくちゃ調子いい」「今日は何をやってもダメ」、そんな差が出るのは普通です。

まず知っておいてほしいのは、自分の中に2人いる、という事実です。

テニス上達の名著『インナーゲーム』では、「セルフ1」と「セルフ2」にたとえられます。

ITの巨星ビル・ゲイツが、人生で読んだ本のうち、生きるうえで最も役に立った5冊のうちの1冊に選出している本。

ぜひ、若いうちに一読しておくことを、おすすめします。

▶調子の正体


1人は「物静かな自分」。

目の前のボールに応じて、感じるままに動くプレーヤー。

もう1人は「口うるさい自分」。

「こうしなきゃ!」「さっきは入ったのに!」「次は修正しよう!」と、頭の中でずっとしゃべり続けるプレーヤーです。

試合で調子がいいときは、物静かな自分でいられます。

逆にミスが続くと、口うるさい自分が出てきます。

言い換えれば、物静かな自分でいられるとき、調子がよくて、口うるさい自分になると、ミスが続く相関です。

▶誤魔化そうとするほど、人は饒舌になる


自分の中に両方いる事実を、受け入れることが第一歩

上手くいかないときほど、ハイドは元気になります。

誤魔化そうとするほど、饒舌になるようなものです(いやはや)。

「ああしたほうがいい」「前はできた」「このままじゃダメだ」——もっともらしいアドバイスをしてきます。

でもそれは、悪魔のささやきです(笑)。

▶データベースを参照しにいかない


それらアドバイスは、過去の成功や失敗体験、つまり「今ではないデータベース」から引き出されたものです。

意識が、現在から過去へ飛んでいる状態です。

今と過去とを取り引きすると、悪魔に魂を売ってしまいます。

テニスで大事なのはつねに、今この1球だけです。

おそらく今は、「前はサーブで得点を稼げたのに!」「すごくいいショットも打てたのに!」と、ハイドがまくし立てていると思います。

だから「こうすればいいんだよ」「ああすればいいはずだ」などと、聞こえてくるかもしれません。

それが、悪魔のささやきなのです。

▶ハイドちゃんを受け入れる


大事なのは、その声を無理やり消そうとすることではありません。

「あ、口うるさいハイドが出てきたな」と、気づくことです。

専門的には「マインドフルネス」などと言いますね。

だから良いとか悪いとか、評価しません。

そのために気づくときのコツは、シリアスになりすぎないというのもおすすめです。

「ジキルちゃん」「ハイドちゃん」などと親しみを込めるのは、バカにできない方法です。

かつてご紹介した藤井貴彦アナは、相手の名前を呼ぶことで安心感を覚える効果を大切にしていたそうです(関連記事「作り手の責任感という本音」)。

▶自分の中の「2人」を認める


自分の中に両方がいる事実を、受け入れます。

私もそうですが、多くの人が認めたくないのです。

自分の中に二人いるなんていう話は、奇妙に聞こえるからです。

だけど、その「現在地」を認めないことには、前へ進みようがありません

自分がどこにいるのか分からないことには、どっちへ向かえばいいか、分からないままです。

▶選ぶ自由は、今、ここに


私たちには欲がありますから「上手くできる」とささやきかけてくるハイドに、魂を売ってしまいがちです。

そんな時にも気づいて、また、自分の中にいる物静かなジキルを、信頼し直せばよいのです。

どちらかを選ばなければならない義務があるのではありません。

どちらでも選べる自由があるのです。

▶楽しむ勇気


部内戦ですか。

「頑張ってください」と言いたいところですが、頑張らないでください(^^)

「絶対に絶対に勝ちたい」と思うほど、頑張ろうとしてしまいます。

それはハイドの言い分です。

「勝つと思うな、思えば負けよ」です(関連記事「『勝つと思うな思えば負けよ』は本当」)。。

頑張るのはある意味、楽です。

頑張った、という言葉が免罪符になるからです。

楽しんでください

それは単に頑張るより、よっぽど困難な道のりかもしれません。

応援しています。

▶追伸1:ハイドはHide――隠すことで生まれる二面性


回答させていただくにあたって、調べて私も知りましたが、ハイドという名前は、英語の「Hide(隠す)」にも由来するそうです。

善人ジキルの、抑圧していた「隠された悪の顔」を象徴しているのだとか。

感情を抑圧すると、隠されていた2面性が強化されることわりを表す。

▶追伸2:「認めたくないものだな」と気づく人


どんな人にも、善と悪の2面性があるのです。

「どんな人」の中には、ほかの誰でもない「自分」も含まれます。

「認めたくないものだな、自分自身の、若さゆえの過ちというものを」と、自嘲を込めて言ったのはシャー・アズナブルでした(関連記事「『見える』人のテニス──フェデラーという赤い彗星」)。

だけど認めたから、進む方向が分かったのでした。

▶追伸3:プロにも現れる「ハイドの瞬間」


全豪オープンテニス2026決勝、アルカラス戦の第4セットは「フォアハンドが崩れてしまった。凄くがっかりしている」と、ジョコビッチは振り返りました。

毎日、死ぬほど練習しているプロでさえ、ある特定のショットだけが崩れるケースもあるのです。

フォームや打ち方といった表面的な問題では、もちろんないでしょう。

隠れていたハイドが、顔を出したのです。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)

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