『テニス・ベースメソッド』発刊のご案内――どんな内容なのか その⑦「フォームもきれいになる?」
「フォームを整えればテニスが上手くなる」。
それは、大いなる誤解です。
フォームを意識するほど動きはギクシャクし、不自然になる。
マイケル・ジャクソンもブルース・リーも語った「意識を手放す上達論」。
それでもフォームはきれいになります。
▶「きれいなフォーム」の正体
太ももを上げる模範的なフォームを意識するより、何も考えずに走ったほうが、タイムは上がるとお伝えしています。
無理やり崩したりしない限り、フォームを意識する必要はないのです。
こういうと、「陸上競技の選手はフォームがきれいじゃないか」といぶかる人もいます。
確かに――。
ですから書籍『テニス・ベースメソッド』には、「フォームは自ずと洗練されてくる」と綴られています。
▶フォームはにじみ出てくる
フォームというのは荒削りの状態からにじみ出てくる、まるで「彫刻」のようなものなのです。
どういうことか?
たとえば短距離走者は毎日のように走っているから、まず単純にトレーニング効果で速くなります。
走っているうちに筋力がつき、神経伝達スピードが上がって、関節可動域も広がってくる。
走るリズムも「タカタカタカ」と軽快な16ビートのようになってくる(関連記事「フェデラーは、なぜ足をバンドで縛るのか」)。
そのフォームはギクシャクせず、ダイナミックだから、第三者から見ると洗練されて「きれいなフォーム」に映るのです。
意識しているわけではありません。
▶フォームを意識すると「型苦しくなる」
要は「形」ではなく「動き」なのです。
美しい「彫刻(形)」を生み出しているのは、その中身にある「動き」。
言い換えると、「形」はたとえ模範的でも、「動き」がギクシャクしていれば、やはりフォームは乱れて見えます。
そして実際にプレーヤー自身も、スパッと動けない違和感を覚えます。
吸って吐いての呼吸を意識すると、無意識でやっていたときに比べて「息苦しく」なるのと同じように、テニスのフォームも、意識すれば文字どおり「型苦しく」なるのです。
▶一般的なフォーム指導との「違い」
テニスも同じく運動です。
本質は変わりません。
ですから、フォームは意識しなくても『ベースメソッド』を実践していると、主観的な評価になるのであまり私は好みませんが、あえて言うと「きれい」になります。
プレーしているうちに、角が取れてくるのです。
フォームをきれいに作ってから、滑らかなプレーを志そうとする一般的なテニス指導とは、正反対のアプローチです。
▶自然体を意識すると、不自然になる
同じ動作を繰り返す「走る」というシンプルなフォームであっても、選手によって人それぞれ。
カール・ルイスも、ベン・ジョンソンも、ウサイン・ボルトも、みんな違うのです。
トップアスリートたちが、自分の体を意識して動かしているわけではありません。
だからこそ、それぞれの骨格や筋肉に応じた唯一無二の形になるのです。
意識すると動きは鈍り、たどたどしくなります。
自然体を意識すると不自然になるのです。
▶「考えるな、感じろ!」は世界共通
ダンスのマイケル・ジャクソンも言いました。
「踊るときに考えるのは最大のミス」――(関連記事「マイケル・ジャクソンの教え」)。
映画『燃えよドラゴン』の冒頭、ブルース・リーも言いました。
「Don't think. Feel!(考えるな、感じろ!)」――(関連記事「頭で考えるからテニスが上手くいかないだけ」)。
洋の東西を問わず、競技の種目を問わず、言っていることは驚くほど共通しています。
▶フォームは「人それぞれ」
テニスもまったく同じです。
プレーしているうちに体が順応・適応して、上記のようなプロセスを経、フォームは洗練されてきます。
ですから繰り返しになりますが書籍『ベースメソッド』には、意識しなくてもフォームが洗練されると綴られています。
しかもお仕着せのレディメイドではなく、あなたに最もふさわしいオーダーメイドのスイングが現れる――。
イチローの振り子、野茂英雄のトルネード、みなフルオーダーメイドです(関連記事「野茂英雄とイチローに共通した『自己肯定感』」)。
▶なぜあなたは「逆立ちフォーム」で打たないのか?
ちなみにフォームは関係ないというのなら、「逆立ちしながらプレーしてもいいのか?」という反論(極論)に対するアンサーはこちら。
わざわざ「逆立ちしよう」とでも強く意識しない限り、体は自然といちばん理にかなった動き(足で立つこと)を選びます。
だからこそ、やっぱり無意識でいいのです。
▶フォームを乱す「真犯人」
ただし重要な点を付け加えると、テニスの場合は「打球タイミング」がフォームに関わるのです。
どんなにきれいに動こうとしても、打球タイミングが合わないと、体は突っ込んだりのけ反ったりします。
あるいはスイングを加減速しようとしますから、どうしても動きはギクシャクします。
打球タイミングが合っていないのに、体軸を正したり、スイングの加減速なしにそのまま振り続けたりすれば、「空振り」してしまいますからね。
その打球タイミングが合わない原因が、『ベースメソッド』のメインテーマ「現実に対するイメージのズレ」というわけなのです。
▶「タイミング」によってフォームは乱れ、そして整う
『ベースメソッド』は、まさにそのズレたイメージを調律し、打球タイミングをピタリと合わせるためのアプローチです。
改めまして、ダイナミックなフォームの洗練化。
それは「意識しない」からこそ、達成されるのです。
打球タイミングが合うから、あとはもう「振るだけ」。
意識していると、体による順応・適応が、なかなか起きません。
頭による理屈が、体による動作をジャマするのです。
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テニスゼロ代表 吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero