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「また公式忘れた!」——発達障害の特性に合わせた速さ・時間・道のりの教え方

「「はじき」って教えたのに、またゼロから聞いてくる」「公式は言えるのに、文章題になった瞬間に止まってしまう」——。小学5〜6年生の速さの単元で、こうした場面を経験している保護者様は少なくありません。この記事では、つまずきの構造と、今日から試せる教え方を順番にお伝えします。

この記事でわかること

  • なぜ速さ・時間・道のりは多くの子にとって難しいのか

  • 発達特性があるとさらにハードルが上がるポイント

  • 速さの問題を解くのに必要な力(チェックリスト)

  • 今日から使える教え方の5ステップ

速さ・時間・道のりとは(小学校で学ぶ範囲)

「速さ・時間・道のり」は、多くの場合、小学5年生の算数で初めて本格的に扱う単元です。3つの量がたがいに関係し合っているという点が、それまでの計算とは大きく違うところです。

速さには、1時間あたりに進む距離を表す「時速」、1分あたりの「分速」、1秒あたりの「秒速」があり、どの時間を基準にするかで呼び方が変わります。そして、この3つの量は次の関係でつながっています。

  • 速さ × 時間 = 道のり

この関係を覚えやすくするために、多くの学校で使われるのが「はじき(みはじ)」と呼ばれる円の図です。円を横線で上下に分け、下半分をさらに縦線で左右に分けます。上に「道のり(き)」、左下に「速さ(は)」、右下に「時間(じ)」を置き、求めたい量の部分を指で隠すと、残った2つの位置関係から「かけ算なのか、わり算なのか」が読み取れる、という仕組みです。

なお、この単元で混乱しやすいのが単位換算です。「km を m になおす」「1時間を分になおす」といった単位の換算は、多くの場合小学4年生で学ぶ内容で、速さそのものを扱う小学5年生の単元とは学年が分かれています。速さの問題を解く中で単位換算も必要になるため、2つの異なる単元の力が同時に求められる点は、あらかじめ意識しておきたいところです。

速さが難しい理由(発達特性に関わらず共通)

速さの単元は、発達特性の有無にかかわらず、多くの子がつまずきやすい単元です。理由は大きく3つあります。

1つ目は、3つの量を同時に扱うことです。 たし算やかけ算は、基本的に目の前の数字を処理すれば答えが出ます。ところが速さは、「速さ・時間・道のり」のうち2つがわかっていて、残りの1つを求める——という形になります。何を求めるかによって、かけ算を使うのか、わり算を使うのかが変わるため、問題ごとに頭を切り替える必要があります。「公式をひとつ覚えれば解ける」というタイプの単元ではないのです。

2つ目は、単位が複数あって混乱しやすいことです。 時速・分速・秒速、km・m、時間・分・秒。同じ「速さ」でも複数の単位があり、問題文の中で単位がそろっていないことも珍しくありません。「時速で書かれているのに、答えは分速で求める」といった場面では、単位の変換も同時にこなす必要があります。

3つ目は、文章題で「何を求めるか」を読み取る必要があることです。 計算そのものはできても、問題文を読んで「これは道のりを聞いているのか、時間を聞いているのか」を判断する段階でつまずく子は多くいます。文章の意味を整理しないまま、なんとなく数字をかけたり割ったりしてしまうのです。

このように、速さは「計算力」だけでなく「読み取る力」「切り替える力」が同時に求められる単元です。お子さんがつまずいていても、それは決して練習不足だけが原因ではありません。

発達特性があるとさらに難しくなるポイント

ここまでの難しさは多くの子に共通するものですが、発達特性があると、特定の部分でさらにハードルが上がることがあります。

ADHDのある子どもの場合(ワーキングメモリへの課題)

速さの問題では、「3つの量のうち何がわかっていて、何を求めるのか」を頭の中に保持したまま計算を進めます。この「作業中の情報を一時的に頭の中に保持する力」をワーキングメモリと呼びます。ADHDのある子はワーキングメモリに課題があることが多く、計算をしている途中で「あれ、何を求めるんだったっけ」と、最初に整理したはずの情報が抜けてしまいやすいのです。

さらに、はじきの図を使う場合、図の配置を覚えることに加えて「求めたい量はどの部分か」「その部分を指で隠すとどうなるか」という手順も覚える必要があります。記憶の負荷が、図・手順・計算と複数方向に同時にかかるため、頭の中がいっぱいになってしまいやすいのです。

LDのある子どもの場合(順序処理への課題)

速さの文章題は、「問題文を読む → 3つの量を分類する → どの式を使うか決める → 計算する」という、いくつもの手順が連続したプロセスです。順序立てて処理することに課題があると、このうちどこか1つのステップで引っかかった瞬間に、最後の答えまでたどり着けなくなってしまいます。

特に負荷が大きいのが、単位換算が必要な問題です。前述のとおり、単位換算は小学4年生の内容で、速さとは別の単元です。「速さを解く手順」の途中に「単位換算の手順」が入れ子のように組み込まれると、認知的な負荷が倍増します。これは、速さの壁と単位換算の壁の両方に同時にぶつかる「2段階つまずき」とも言える状態です。お子さんが固まってしまうのは、能力の問題ではなく、2つの異なる処理が重なっているからなのです。

ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもの場合(「型の変化」への困難)

速さの問題は、単元によって「速さを求める」「時間を求める」「道のりを求める」と求めるものが変わります。ASDのある子どもは、ルールや手順を一度学ぶと「そのやり方が正解」として固定されやすい特性があります。「昨日は速さを求めたのに、今日は時間を求めるの?」という問題の「型の変化」に対応することが、特に難しく感じられることがあります。

また、問題文に書かれていない情報を文脈から読み取ることが苦手なお子さんも多く、「何を求めればいいのかわからない」という詰まりが起きやすいのです。

速さの問題を解くのに必要な力(チェックリスト)

速さの問題が解けるようになるには、いくつかの力がそれぞれ積み上がっている必要があります。お子さんがどこでつまずいているのかを確認する目安にしてください。

  • 「速さ」「時間」「道のり」の3つの言葉の意味を、それぞれ自分の言葉で説明できるか

  • km → m、時間 → 分 といった単位換算が(速さと切り離して)単体でできるか

  • 問題文を読んで「何を求めればいいのか」を読み取れるか

  • はじき(みはじ)の図を、自分で書けるか

このうちどれか1つでも曖昧なまま速さの問題に取り組むと、途中でつまずいて手順全体が崩れてしまいます。

速さが苦手な子への教え方(5ステップ)

ここからは、おうちでできる具体的な教え方を5つのステップで紹介します。

ステップ1:3つの言葉の意味をそれぞれ分けて確認する

公式を教える前に、まず「速さ・時間・道のり」という3つの言葉の意味を、1つずつ確認します。

「速さってどういうことかな?」「時間って、何を数えているんだろうね?」と問いかけて、お子さん自身が言葉の意味を説明できる状態を先につくります。たとえば「速さは、どれくらい急いで進んでいるか」「距離は、どれくらいの長さを進んだか」というように、自分の言葉で言えれば十分です。

この確認を飛ばして公式から教えると、お子さんにとって速さの式は「意味のない記号の組み合わせ」になってしまいます。すると、公式を暗号のように丸暗記するしかなくなり、「また忘れた」が繰り返されてしまうのです。

ステップ2:求める量を1種類にしぼって練習する

次に、1回の練習で扱う量を1種類にしぼります。「今日は速さを求める問題だけ」「次は時間を求める問題だけ」というように、求めるものを固定して取り組むのです。

「今日は速さだけだよ」と最初に宣言してから始めると、「何を求めるんだっけ」と迷う必要がなくなり、ワーキングメモリへの負荷が大きく減ります。お子さんは目の前の1種類の計算に集中できます。

ステップ3:はじきの図を「外部記憶」として手元に置く

はじきの図は、頭の中で思い出すのではなく、紙に書いたカードとして手元に置いておきましょう。いつでも見られる「外部記憶」として使うのです。

「覚えなければ」というプレッシャーをひとつ取り除くだけで、お子さんは目の前の問題の計算に集中できます。覚えていなくても見れば解ける状態をつくることが、「また忘れた」の繰り返しから抜け出す近道です。

ステップ4:単位換算は速さとは別の練習として扱う

もしお子さんが単位換算(km → m、時間 → 分など)でつまずいているなら、速さの学習をいったん止めて、単位換算だけを独立して練習します。

これは、「速さの問題の途中で単位換算の壁にぶつかる」という2段階つまずきを解消するためです。速さと単位換算を同時にやろうとすると、どちらも中途半端になってしまいます。まずは単位換算だけを取り出して、「1時間は60分」「1km は1000m」が安定して出せるようにします。

単位換算が落ち着いてきたら、あらためて速さの問題に戻ります。遠回りに見えるかもしれませんが、土台を固めてから戻るほうが、結果的に近道になります。

ステップ5:線分図・数直線で目に見える形にする

最後のステップは、文章題を「目に見える形」にすることです。「道のり・時間・速さ」を、線分図または数直線に描いてから式を立てる習慣をつけます。

図を描くと、「今、自分はどの量を使って計算しているのか」が視覚的にわかります。頭の中だけで3つの量を扱おうとすると負荷が大きくなりますが、紙に描き出すことで、その負荷を頭の外に出す(外部化する)ことができます。

初回は保護者様が図を描いて見せてあげてください。「ここが進んだ長さ(道のり)で、ここが進むのにかかった時間だよ」と一緒になぞりながら描きます。慣れてきたら、少しずつお子さん自身が描く形に移していきます。

これをすべて毎日やらなければ、と思う必要はありません。できそうなステップを1つ選んで試すだけでも十分です。毎日完璧にこなすより、継続できる形を見つける方が大切です。

まとめ

速さ・時間・道のりのつまずきと対策を、もう一度整理します。

  • 公式を覚えるだけでは解けない:速さは「速さ・時間・道のり」の3つの量を同時に保持しながら、何を求めるかで式を切り替える必要があるため、公式の暗記だけでは文章題に対応できません。

  • 特性があるとハードルが上がる:ADHDのある子はワーキングメモリへの負荷が大きく、LDのある子は単位換算が重なる「2段階つまずき」に陥りやすく、ASDのある子は「求めるものが変わる」という型の変化への対応に負荷がかかりやすくなります。

  • 対策の核心は5つ:①3つの言葉の意味を1つずつ確認する、②求める量を1種類にしぼって練習する、③はじきの図を外部記憶(手元のカード)として使う、④単位換算は独立して練習する、⑤線分図・数直線で見える形にする——この5つで、お子さんが自分のペースで積み上げていける自立学習の土台が整います。

速さは、発達特性の有無を問わず多くの子がつまずく単元です。「うちの子だけできない」のではありません。算数全体のつまずきと教え方については、こちらの記事でも特性別にまとめています。

毎日教えるのが大変と感じている保護者様へ

ここまで紹介した対策を実践しようとすると、問題を用意したり、単位換算の進み具合を確認したり、線分図を一緒に描いたり——保護者様にも相当な集中力が求められます。とくに速さの単元は、3つの量を同時に扱うため、教える側にもワーキングメモリへの負荷が大きくかかります。これを毎日続けるのは、正直なところ、とても大変なことです。

そういった保護者様に参考にしていただきたいのが、家庭学習デジタル教材「天神」です。天神を使った研究では、週1回・たった10分の使用を3ヶ月続けるだけで、すべての対象児童の視覚ワーキングメモリ課題の数値が改善したという結果が、日本LD学会で発表されています。速さの単元のように、頭の中で複数の情報を保持し続ける必要がある学習において、まさにその力に働きかける設計になっているのです。

障がい児教育の第一人者・山内康彦先生(障がい児成長支援協会 代表理事)も「知らないと損ですよ」「一番おすすめの教材です」と推薦しています。

レクチャー再生画面では現在のページ数と全体のページ数(例:2/3)が表示され、今どこまで進んだかを確認しながら取り組めます。

天神では、速さ・時間・道のりをレクチャー → ポイント → 問題の3段階で学びます。まずレクチャーで、アニメーションを使って「速さとは何か」「3つの量がどう関係しているか」を視覚的に説明します。続いてポイントで要点を整理し、そのまま問題演習へと進みます。目次画面ではおおよその所要時間(例:約9分)が確認できるため、お子さんが事前に見通しを立てやすい設計になっています。

1画面1問表示。解答直後に音声で正誤通知。今が何問目かの見通しも確認できます。

問題は1画面1問の表示で、ほかの問題が目に入って気が散ることがありません。解答した直後に音声で正誤を通知し、「今が何問目か」という見通しも画面で確認できます。先のステップで「求める量を1種類にしぼって練習する」とお伝えしましたが、1問ずつ完結する設計は、まさにその進め方と相性のよいものです。

間違えたときにヒントが自動表示。ヒントを見てもう一度考えることができます。

問題を間違えたときには、ヒントが自動で表示され、保護者様の代わりに「どこに注意するか」を伝えてくれます。1問につき2回の解答権があるため、ヒントを確認してから同じ問題にもう一度取り組めます。また、目次内の問題を一通り終えると「復習」として類題(数字を変えたパターン問題)が出されるため、答えを丸暗記するのではなく、解き方そのものを定着させていけます。

「教科書にあっていて、スモールステップで進んでいけるところが良い」
——天神体験後アンケートより

「学力に凹凸があるので自分の学力に合わせて選んで自信をつけさせることができる」
——天神体験後アンケートより

学年をさかのぼって、つまずきの手前から始められる

速さの前提となる単位換算でつまずいている場合、天神では前の学年の単元にさかのぼって練習することができます。お子さんが取り組むべき学年は、無料体験のときにご確認いただけます。学校の進度に縛られず、お子さんの現在地から積み上げていけるため、「速さの前に単位換算を固める」という進め方も無理なく実践できます。

読むことが負担なお子さんには音声読み上げ機能

文章題を読むこと自体が負担になっているお子さんには、オプションの「音声読み上げ機能」もあります。問題文・ヒント・解説を音声で聞きながら取り組めるため、「読む負荷」を減らして、速さの考え方そのものに集中できます。

「集中が続かない子ども達なのですが、読み上げがあると、集中が続いた!」
——天神体験後アンケートより

天神は、お子さんが自分のペースで進められる設計になっており、保護者様が横につきっきりにならなくても取り組める自立学習の習慣づくりを支えます。「天神を使えばすべて解決する」というものではありませんが、毎日の練習の場として、そして「できた!」という体験を積み重ねる場として、保護者様の負担を減らす選択肢のひとつになれると思います。

現在、天神では無料体験を実施しています。体験専用のPCを無料でお届けするので、実際にお子さんが操作する様子を確認してからご検討いただけます。クレジットカードは不要で、体験は4日間。幼児から中学生まで全学年・全教科を試せます。体験後に購入を強くすすめることもありません。

アール医療専門職大学の坂本晴美准教授(医学博士・発達障害専門)が発達障害の児童を対象に行った研究では、こんな報告があります。

「『できた!』という自信が、学習意欲だけでなく、運動や日常生活への挑戦意欲、つまり『自立心』へと繋がっていくのです」
——アール医療専門職大学 准教授 坂本晴美先生

※効果には個人差があります。

→ 天神 無料体験・資料請求はこちら
https://www.tenjin.cc/lp/wp/hattatsu-s-02-price/

よくある質問

Q1. 「はじき」を何度教えても次の日には忘れてしまいます。どうすればよいですか?

ワーキングメモリへの過負荷が原因になっていることが多いです。「記憶させよう」とするのではなく、「毎回その場で参照できる環境をつくる」方向に切り替えてみてください。はじきの図を紙のカードにして手元に置き、いつでも見られる「外部記憶」として使うのがおすすめです。覚えていなくても見れば解ける状態をつくることで、「また忘れた」というつらい繰り返しから抜け出しやすくなります。

Q2. 時間の単位(1時間23分は何時間?)で止まってしまいます。速さの前に何をすればよいですか?

単位換算は、速さとは独立した別の学習課題です。速さの学習をいったん保留にして、単位換算だけを先に練習する進め方をおすすめします。前の学年の内容に戻ることに罪悪感を持つ必要はありません。戻り学習は後退ではなく、基礎を固めるための正しいアプローチです。単位換算が安定してから速さに戻るほうが、結果的にスムーズに進みます。

Q3. 公式はわかるのに、文章題になると解けなくなります。どうしてですか?

「公式を使う力」と「文章題で何を求めるかを読み取る力」は、別の力だからです。公式が言えても、問題文から「これは時間を聞いているのか、道のりを聞いているのか」を読み取れなければ、どの式を使えばよいか決められません。問題文を読んだら、まず「何を求めるか」を線分図や数直線に書き出す習慣をつけると、読み取りの力が育ちやすくなります。

Q4. 発達障害の診断はないのですが、この記事の内容は参考になりますか?

はい、参考にしていただけます。天神はさまざまな特性を持つお子さまに幅広くお使いいただけます。診断の有無ではなく、お子さんの今の学び方に合うかどうかが大切です。速さの単元は、発達特性の有無を問わず多くの子がつまずきやすい単元です。「3つの量を1種類ずつ練習する」「線分図で見える形にする」といった工夫は、どんなお子さんにも役立つ進め方です。

参考文献

この記事は天神メディア編集部が作成しました。発達障害の特性には個人差があります。学習面で気になることがある場合は、専門機関へのご相談もあわせてご検討ください。

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