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他人と仕事をするのは難しい#1

 私はシアトルにある老人ホームのレストランでウェイトレスをしている。昨年末、新しい仕事をゲットしたので、現在は週に3日ずつ、2つの仕事を掛け持ちだ。
 現在、老人ホームのキッチンはリモデルにより工事中、ダイニングルームも粉塵による健康被害を考えてクローズしている。予定では5日で終わるはずだったけれど、延期に延期を重ね3週間は経過したと思う。
 この間、我々はメモリーケア(生活に支援が必要な人が暮らすビルディング)と、住民が体操、映画鑑賞、ビンゴやゲームをするアクティヴィティルームを使って料理をする。メモリーケアには家庭用キッチンがあるけれど、アクティヴィティルームにキッチンはない。テーブルをつなげてサンドウィッチを作る。調理は屋外、カセットコンロを使用する。こうして作ったものを箱に詰めて部屋にお届けする。
 デリヴァリー初日、私はランチとディナーの担当だった。出勤すると、ミーナが言った。
「朝食を配り終わるのに2時間かかった」
「???どうやったら2時間もかかるん?」
「だって2人しかいなかったのよ!」
「‥‥‥」

 ミーナは私が彼女を攻撃しているという嘘をついて、私を陥れようとしたヒストリーがある。

 その後も何かと私に対して恨み?のような憎しみを抱いていた。
「テーブルクロス替える前に食べ終えた食器をピックアップしてくれる?最後に持ってこられたら、皿洗う人だけ仕事が残るやろ?」
「私たちはこれまでずっとこの方法でやってきて、なんの問題もありませんでした!」
「・・・あ、そう。どうぞお好きに」
「ええそうするわ!!!」
 私たちって誰だ?少なくとも私は含まれていない。そして私の方が彼女よりずーっと長い間働いている。相手にするのもアホらしいので皿洗いに戻った。すると、彼女はピックアップした皿を持って来て、どっちゃんがっちゃん投げるようにシンクに放り込んだ。
「(そんなに腹が立つならやらなきゃええやん)」
 思ったけれど、大人なので余計なことは言わず、被害を避けてキッチンで待機する。
 これ以外にも、私がちょっと何かを言うと怒り狂い、物を投げるように仕事を始める。そこで私からは一切話しかけないことにした。私が彼女に聞かなければならないことは何ひとつない。
 ところがある日突然、彼女は私に話かけるようになった。しかも微妙に笑顔だ。笑顔で話しかける人を無視する必要はないので普通に話す。
 しばらくして、彼女は私がやめたリードのポジションを狙っていたことがわかった。ところがボスに言われた。
「ミーナは他の人とコミュニケーションを取れないから無理」
 そういう次第で、彼女は私に話かけるようになった。 
 ただ、彼女が笑顔で話しかけようが、コミュニケーションを取ろうが、それ以前に問題がある。彼女は仕事ができない。いや、できないわけではない。できることもある。けれども、今、何をするべきかという判断ができない。
「サラダを準備して」
 以前、ボスに頼まれてから、彼女はランチの前のサラダの準備をするようになった。これはクックの仕事だ。その日はたまたまクックが足りなかったからか、サーヴァーが多かったからだと思う。けれども彼女はその日からクックが4人いようが、サーヴァーが2人であろうが、サラダの準備をするようになった。
「クックの仕事はクックにさせて、サーヴァーの仕事をして」
 こう言おうかなと思ったけれどやめた。忙しいけれど、ポイントはずれてるけれど、彼女は働いていないわけではない。私が口を開いたら気が悪いようだし、彼女は彼女なりに私と会話をする努力をしている。そして彼女は仕事ができると思っている。今や私もリードじゃないので、
「もうええわ」
 となった。

 話は戻り、朝食のデリヴァリーに2時間はない。私や同僚のアンなら1人でも1時間以内に終わらすことができる。
 昼食になった。この日のランチはホットドッグだ。クックを含めて6人いたので、2つのカートを準備する。1階用と2階用だ。ドリンクとホットドッグの入ったランチボックスをのせて、ひとりで2階で暮らす15人の住民のデリヴァリーへ向かう。
 部屋をノックし、返事がある前に扉を開ける。ノックが聞こえない人もいるからだ。
「ラーンチ!部屋に入ってもええ?」
「Okay」
 返事が聞こえたら、ランチボックスを持って部屋に乗り込む。
「飲み物は?」
「コーヒーとオレンジジュース」
 再びカートに戻り、飲み物を持って部屋に戻る。
「じゃ、またねー!」
 所要時間40秒だ。たまに話しかけてくる住民もいるので数分かかることはあるけれど、皆、私たちが忙しいことを知っている。それほど引き留められることはない。
 2階のデリヴァリーを終えて1階へ行くと、ミーナ、新しいクックのマリー、リードクックのマリアがデリヴァリーをしていた。が、しかし、部屋に入っていくのはマリアだけ。ミーナとマリーはカートの横に立っている。
「3人おるんやったら、もうひとりが他の部屋のデリヴァリーすればええやん!」
 私はマリアとは別の部屋をノックして、デリヴァリーを始めた。1部屋を終えてカートを見ると、ランチボックスが1つしか残ってない。どう考えても、あと10個は必要だ。
「追加の10個、頼んでるん?」
「ノー」
「3人おったら1人が戻って追加頼んできたらええやん!」
「・・・・・・」
 私の言っている意味がわからないのか?私にはわからない意味がわからない。彼らを残してソーシャルルームに戻り、残りの10個のランチボックスを作る。再び、1階のデリヴァリーに戻る。やはり2人はカートの横に立っているだけだ。
「(この人たちは何を考えているのか???)」
 こう思ったけれど、彼女たちはこう思っているはずだ。
「(ユミは何をイライラしてるんだろう?)」
 う~ん・・・世の中には色々な人がいる。皆が同じことをできるわけじゃないし、できる必要もない。この仕事は私の方が長いし得意だけれど、彼女にしかできないこと、私にはできないことでも彼女にはできることはある。わかっているけど、
「なんで???」
 と思う。ちょっとイライラする。イライラしても無駄なので、明日からはイライラせずに仕事をしよう。他人と仕事をするのは難しい。


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