本雑綱目 72 渡辺精一監 図説 地図とあらすじでわかる!史記
今回は渡辺精一監『図説 地図とあらすじでわかる!史記』です。
青春新書INTELLIGENCE。ISBN-13 : 978-4413043830。
NDC分類では222。歴史>中国。
これは乱数メーカーを用いて手元にある約5000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。
★図書分類順索引
1.読前印象
史記にあらすじと言われると若干困惑するのは、王朝ごとに記載された本紀はともかく世家や列伝は家や人別で、そもそもパッとあらすじにするようなスタイルではないからだ。それはともかく地図がついていると、色々詳しくなれそうな気はする。だいたいの国の配置はわかるんだけど例えば〇〇の戦いがどこにあったとかは僕のイメージが大雑把なので。
とりあえず開いてみよう~。
2.目次と前書きチェック
監修のことばを読むと、源氏物語の夕霧は史記を原文で4~5ヶ月で読破したらしい。それはそれですごいな。でもそれは難しいので、史記のエッセンスを紹介する本だそうです。
目次は『序『史記』はいかに著わされたか』、『五帝の時代と古代王朝』、『春秋・戦国時代』、『統一国家・秦と始皇帝』、『項羽と劉邦の戦い』、『高祖と前漢の興隆』です。
どれも気になるけど、今書こうと思っている殷が入った『五帝の時代と古代王朝』、地理とか細かいところ大分忘れてる気がしてきた『春秋・戦国時代』かなぁ。
3.中身
『五帝の時代と古代王朝』について。
五帝、夏、殷、周の歴史を簡単にまとめた説明。基本的に史記にのっとっているけれど、例えば紂王のいわゆる非道について、史記の記載に忠実に伝聞として注意を促しているところとか、最近の学説の流れを反映しているところがとても好感度高い。コンパクトなのでそれほど内容は深くはないが、例えば殷の都(遷都を繰り返している)を地図で表す等、一見性があってとてもよい。殷の各氏族の配置関係図が欲しかったけれど、それがなくてもとても良い(そればっかりだな。
『春秋・戦国時代』について。
春秋については桓公、文公、荘王、呉越と続き、春秋五覇は誰かに続く。五覇は桓公、文公、荘王に加えて穆公襄公のペアか闔閭(または夫差)勾践のペアだと思ってたんだけど、そういえば漢書では穆公と勾践なんだなと思えば、それぞれの著者がどの点を考慮して選んだのかがなんとなく浮かんでくる。中国の歴史書では五帝(古代の三皇五帝)とか五が好きなんだけど、その中身は本によって違ってくる。中国って陰陽(裏表で二)五行で十干みたいな計算の組み合わせが好きだよね。
戦国については晋の分裂、馬陵の戦い、昭王の人材登用、武霊王の胡服令、田単の火牛の計、藺相如、長平の戦い、戦国四君まで。時代的にわりとハイライト的な部分を抜き書いている感じ。これ、僕はざらっと史記は知ってるからわかりやすいと思うのだけど、詳しくなくてもわかるものなんだろうか、流れとか。文章自体はわかりやすくはある。
全体的に、わかりやすい。だからこの本は図説でメインが地図とあらすじと考えれば目的は達成している気はする。そもそも史記は皇帝をメインとした本記、テーマ別の書、諸侯毎の世家、人毎の列伝にわかれている長大な書なので、あらすじとしてこのように抜いてくるのはうまいしまとまっている気はする。
小説に使えるかというと、テーマになりそうな項目は羅列されている気はするので、これをベースに話を書く第一歩としてはよい。ただ史記という本は結構複雑な本でさ、同じ人物について本記と世家と列伝で違うことがかいてあったり明らかに矛盾する記載があったりする。だからこれだけをベースに書くといろいろ誤解が生じそうな気が、しなくもないが、いずれにせよ2000年ほど前に書かれた3000年前からについての本なので、真偽を問うこと自体が難しい。で、そこをわかろうとすると次に必要なものは殷周では甲骨文字や金文だったりするし、春秋戦国では呂氏春秋や呉越春秋、漢書なんかになるわけだけど、いろいろ掘るのは面白い一面もあるが物量的に大変だったりもする。そこがまたいいけどあまり理解はされない悲しみ。
どこかの遺跡で天問の回答集発掘されないかな。天問はクイズ形式で古代中華を描いた問題集、だけ存在するのだ。当時の注釈見ると回答集は絶対あったと思う。きっと何パターンも。それが見つかれば色々な答えが出るはずだ。誰かはよ。
4.結び
僕が今メインで書きたい中国は殷・春秋戦国(と始皇帝、あと張騫前後のシルクロード)なのだ。周を除いてるのは周があんまり好きじゃないからなんだけど、その好きじゃない理由がこの司馬遷が史記で、司馬遷が周推しすぎてなんだか胡散臭いからだったりする。甲骨文字を参照すると、武王も太公望もろくでもない姿が浮かび上がってくる。天命是か非かのエピソードを列伝の最初に持ってきた理由はそのあたりにあるんだろう。歴史は勝者によって語られるのは世の常なのだ。あー。紂王と伍子胥が書きたいです。
次回は落合淳思『甲骨文字に歴史をよむ』です。
と思うのだけど、読書ストックが減ってきたので別のエッセイを投げ込むかもしれませんが、あしからず。
ではまた明日! 多分!
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