管理職は“編集職”に変わる
vol.1772
AI時代は「管理職」がなくなる。
そう仰るのは、株式会社経営者JP・代表取締役社長の井上和幸さんです。
〈ITmedia エグゼクティブ / 2026年7月15日〉
…と聞くと、我々ミドル世代の心はざわつきますが…、井上さんはリーダーや上司が必要なくなるとは言っておりません…😌
管理職は、ある職位に進化する。
それは「編集職」です。
一体、どういうことなのか?
今日はAI時代に求められる編集職について、お話ししたいと思います。
“編集職”の正体
厳密に言うと、リーダーやマネージャーは「管理」する仕事から「編集」する仕事に変わると井上さんは語っているのですが、この記事では分かりやすく「編集職」という言葉を使わせていただいております。
本や雑誌などの編集するように部下を編集する。
では何を編集するかというと、人間や組織の可能性を編集します。
ここまで話すと勘の良い人はピンと来るでしょう😊
編集の仕事は
(1)どんなテーマ(方向性)で
(2)どのようなページネーション(組み合わせ)で
(3)どのような内容(能力)で
誌面をつくるかを考えます。
これに当てはめると、これからのリーダー・上司は、しっかりと方向性を示し、メンバーの能力(特徴)を深く理解し、適材適所で最適に組み合わせることが求められるというわけです。
もう説明不要かと思いますが、AIは管理するのが得意です。
AIエージェントは
●スケジュール調整
●会議の要約
●レポートの作成
●データを分析
●次に取るべきアクション
まで行ってくれる存在へと進化しています。
もし、スケジュール通りに業務が進行していなければ、催促してくれるようにもなるでしょう。
ここでポイントなのは、AIが代替するのは「判断」ではなく、「管理」という行為だということです。
●進捗確認
●報告書作成
●KPI集計
●タスク整理
●情報共有
のような仕事はAIの方が速く、正確にこなせるようになっていくでしょう。
つまり、「管理できる人」が評価される時代ではなくなりつつあるというわけです。
だからこそ、これからのリーダーは以下の4つの仕事が求められると井上さんは指摘しています。
(1)方向性を示す
…AIは無数の選択肢を提示できるが、どの未来を選ぶべきかは決められない。
(2)意味を与えること
なぜこの仕事をするのか。なぜこの組織が存在するのか。その問いに答えられるのは人間だけ。
(3)人を育てること
知識はAIが教えられる。しかし、挑戦する勇気や、自ら成長したいという意欲は、人との関わりの中でしか育たない。
(4)安心を与えられる
不確実性が高まる時代だからこそ、人は優秀な上司よりも、安心してついていけるリーダーを求める。
“金継ぎ”の発想がカギ
ですから、これまで以上にマイクロマネジメントよりも、マクロマネジメントに軸足が移っていくのは明白です。
組織(チームに)方向性を示し、細かい指示を出さずに部下の裁量や主体性を尊重する。
目標達成に向けて部下が「これって何の意味あるんすかね?」と言ってきたら、改めて目的に向けて、その仕事がいかに大切なパーツかを伝えていく。
そして、「失敗したらどうしよう…」と不安がっているメンバーがいたら、一緒に挑戦する勇気を与えていくことが大切になるでしょう。
こうしたマクロマネジメントのシンボリックな存在になっているチームボックス代表取締役で、日本オリンピック委員会(JOC)サービスマネージャーを務める中竹竜二さんも
「失敗を恐れない組織づくり」
を重要視しています。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2026年7月28日〉
中竹さんは2006年、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、「フォロワーシップ」を導入。
「自律支援型」の組織へ変革し、大学選手権二連覇したことで一躍有名なリーダーになりました。
そんな中竹さんがAI時代は人間の器、リーダーの器を磨くことが重要だと仰っているのですが、中でも失敗について、このように語っております。
「失敗を避けていたら、リーダーとして、あるいは人間として成長するのはなかなか難しいと思います」。
大事なのは、「体験」と「経験」を分けて考えること。
人は成功も失敗も様々な体験をしますが
「振り返ってこそ体験は経験に変わる」。
だからこそ、
「失敗を活かすこと」
「逆境を乗り越えること」
で、人よりも優れた(場合によっては唯一無二)の経験値を財産にすることができるのです。
それを、中竹さんは「金継ぎ」に喩えています。
チームという器が壊れても、リーダーがしっかりと金継ぎをする。
そうすると、そのチームにしかない魅力が生まれてくるわけです。
それは個人という器もそうでしょう。
物事から逃げずに、たくさんの失敗を血肉に変えてきた人を見ていると、経験なしでは得られない素晴らしい人間力を持っていると感じるのです😊
「のび太的リーダーシップ」のススメ
マイクロマネジメントにより自律性を発揮したメンバーたちは、リーダーにはない特徴を活かして、よりチームに貢献してくれるようになるでしょう。
この傾向をさらに強化するためにも、リーダーはメンバーを意図的に頼ることも必要です。
以前、「のび太型リーダーシップ」の話をしましたが、メンバーは頼られることで
「自分は必要とされている」
「信頼されている」
と感じ、より力を発揮してくれるものだからです。
ちなみに、専門的に言えば「ピグマリオン効果」と言います。
実際に、教師が生徒に高い期待をかけると生徒の成績が向上したり、上司が部下に期待を示すことで部下のパフォーマンスが上がるといったことが起こる。
そんなのび太型リーダーシップを実践されている一人が、ミレニアル女性向けのキャリア支援を行うSHE株式会社の代表取締役CEO/CCO、福田恵里さんです。
〈PHP online / 2026年7月23日〉
福田さんは自らのリーダーとしての役割を、このように話しております。
「『こんな場所に、こんな方法で行ったら面白いんじゃないか?』
『あんなこといいな、できたらいいな』を常に妄想しているのが、自分なんだと」。
なるほど、まずは理想を膨らませて、方向を示す。
その上で、皆の能力を信じ、そしてその力を借りていく。
だからこそ、主要事業である「SHElikes」は累計登録者数25万人を突破し、多くの女性のキャリアデザインに寄与できているわけです。
経営者JPの井上さんが掲げた
(1)方向性を示す
(2)意味を与えること
(3)人を育てること
(4)安心を与えられる
ということを意識し、ラグビーの中竹さんが仰るように
「人間の器、リーダーの器を磨き」
そして、SHEの福田さんのように
「みんなに頼っていく」。
管理職ではなく「編集職」として、まずは自身のリーダー論を再編集していける人が、これからも必要とされるリーダーとして、ますます活躍できるということなのでしょう😊
私も今回受けた刺激を活かしながら、器をときに壊し、磨いていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
