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「ワーク」と「ライフ」を戦わせない。私のままで働くための、グラデーションの愛し方


「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を耳にするたび、私は頭の中で、せっせと天秤を組み立てていた。

左のお皿には、タスク、締め切り、労務管理、キャリア。
右のお皿には、睡眠、趣味、家族(そして何もしない時間)。
左が重くなれば「働きすぎだ」と自分を責め、右を重くしようとすれば「これでいいのだろうか」と焦る。

そんな風に、仕事と生活をまるで「敵対する二つの勢力」のように捉えていた時期が、私にもあった。社会人になって最初の数年間は、まさにその天秤の揺れに酔うような毎日だったと思う。
けれど、働く年数を重ね、10年目というひとつの節目を前にした今、ふと気づいたのだ。
私の人生は、そんなに綺麗にパキッと2色に塗り分けられるものではない、ということに。

今回のnoteのコンテストのお題は、「ワーク・ライフ」ではなく、「ワークライクバランス」だという。
この「ライク(Like)」という文字を見たとき、胸の奥の支えが、すっと軽くなるような感覚があった。

「仕事(Work)」の中に、どれだけの「好き(Like)」を滑り込ませられるか。
あるいは、自分の「生き方(Life)」の延長線上に、どれだけ「働くこと」を地続きで繋げられるか。
これはいわゆる「趣味を仕事にする」というキラキラした話ではない。もっと地味で、もっと愛おしい、日々のグラデーションの話だ。

例えば、私は人の「働く環境」や、そこに伴う「心の動き」にコミットするのが、根っからの性分らしい。
職場では、制度の谷間に落ちて困っている人や、新しく入ってきたばかりで少し緊張しているメンバーに、そっと声をかける役割に回ることが多い。一般的には「気遣い」とか「業務」と呼ばれる役割だけれど、私にとっては「その人が一番動きやすいパズルのピースを探す」ような、少しワクワクする作業(ライク)でもある。

この性分は、オフィスを出てもやっぱり消えない。
休日にふらりと入ったカフェでも、店員さんの無駄のない動線や、常連客へのちょっとした声かけを見ては、「ああ、このお店のオペレーションは美しいな」「あの声かけ一つで、働く側の心の負担も減るんだろうな」などと、つい舞台裏を想像して嬉しくなってしまうのだ。

以前の私なら、「休みの日まで仕事の延長線上みたいなことを考えて、疲れているのかな」と苦笑したかもしれない。

でも、今は違う。
それは私にとって、義務ではなく、ただの「ライク(興味・関心)」なのだ。
日常で見つけた「心地よさ」のヒントが、巡り巡って平日のデスクワークや、誰かとのコミュニケーションに活きていく。

逆に、職場で誰かのサポートをして「おかげで助かりました」と言われたときの高揚感が、週末のプライベートの充実感を底上げしてくれることもある。

ワークとライフは、天秤に乗せて競わせるものじゃない。
お互いのスープを少しずつ混ぜ合わせるように、グラデーションのままでいい。

カレンダーを平日の「黒」と休日の「赤」で明確に分断するのではなく、グラデーションの隙間に、自分だけの「ライク」を散りばめていくこと。

「今日もよく働いたな」と思いながら飲むビールの美味しさも。
「あの人がもっと働きやすくなるにはどうすればいいか」と湯船の中でふと思いつくアイデアも。
すべては、私という一人の人間が、心地よく生きていくための「ワークライクバランス」なのだと思う。

天秤を捨てる。サイズを測るのをやめて、自分だけのグラデーションを愛おしむ。
そんな働き方が、今の私にはちょうどいい。

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