勉強ができても幸せとは限らない。大学入学後に気づく「偏差値教育の盲点」
高偏差値の子が、大学に入った途端、「履修登録」という最初の関門で躓く子が意外と多いという記事を見た。
履修登録のワナ
特に総合大学の履修登録では100人いれば100通りの時間割が組める自由さがある。
逆に情報処理の負担になって選べないというのだ。
または興味がある授業を大真面目に週5日詰め込み、キャパオーバーで破綻、留年してしまう子もいるそう。確かに「好きに選んでいい」と言われると、かえって選べなくなる。そういう経験、誰にでもあるとは思うが、それにしても、である。
「選択肢は多いほど選べない」
選択肢が多すぎるとかえって選べなくなる理由
脳の負担増大や「間違えたらどうしよう」という不安が原因です。
これを心理学で選択のパラドックス【決定回避の法則】と呼びます。
具体的には、以下の3つの心理が働いています。
・脳のキャパシティオーバー
人間が一度に処理できる情報の限界(マジカルナンバー)を超えてしまい、比較・検討すること自体が疲労やストレスに変わります。
・「最良」を求めるプレッシャー
選択肢が多いほど「もっと良いものがあるはず」と完璧を求めすぎてしまい、決断できなくなります。
・後悔への恐れ
「選ばなかった別の選択肢の方が良かったかもしれない」という後悔や失敗への不安が大きくなり、行動をやめてしまいます。
この現象は「ジャムの法則」としても知られ、試食の選択肢を減らした方が売上が10倍になったという実験でも実証されています。
「楽単」という見えないハードル
また、大学には「楽単」という非公式情報がある。どの授業が単位を取りやすいか、先輩から後輩へ口伝えで伝わる暗黙知だ。コミュニケーションが苦手な子は、この情報にアクセスできない。しかも医学部だとこれが留年に直結するらしい。不公平だけど、それが現実。その他にも、少人数ゼミ、就活の面接。環境が合わない場面はいくらでも出てくるそう。
他の子にとっての「当たり前」が、その子たちにとっては全く「当たり前」ではなく、理解不能に陥り、悩むというのだ。
社会が求める能力は、偏差値では測れない
社会人であれば判ることだが、社会で求められる能力は、入試で測られる能力とは全然違う。
答えのない問い。
正論じゃない正解。
先輩や上司との連携。
そういうものが必要になる。
もちろん、コミュ力も社会性も地頭も全部ある完璧な子もいる。でも実際には、年相応に求められるはずの能力に欠けている子の方が多いのも事実だと思う。そして彼らは今まで感じたことの無いほどの屈辱と劣等感で苦しんいる。
「せっかく頑張って勉強したのに」
「なぜ自分はできないのか」
そう悩む新人の姿を、何度も見てきた。
親がまず教えるべきこと
私はこう思う。「偏差値より大事なもの、親がまず教えるべきこと、勉強よりも先に身につけるべきことが、確実にあるんじゃないか」と。せめてコミュ力だけでもあれば、それだけで世界は変わるのに。
大学も社会も、結局のところ「人と人」でできている。履修登録も、楽単情報も、就活も、仕事も。全部、人との関わりの中にある。その当たり前のことを、私たちはもっと真剣に考えなきゃいけない気がする。
我が家が大切にしてきたこと
我が家の子どもは、幸い医学部に合格した。
でも、私が一番ホッとしたのは、合格したことではない。
大学に入ってから、友達ができたこと。先輩に履修のアドバイスをもらえたこと。困ったときに「教えて」と言えたこと。それが何より嬉しかった。受験期だけでなく子育てをする上で、私は偏差値よりも、こんなことを大切にしていた。
・家族や同世代だけではない人との会話
・友人との遊び
・困ったときに相談する経験
・自分の気持ちを言葉にする練習
これらを削ることは絶対にしなかった。なぜなら、これらこそが、社会で生きていく土台だと思っていたから。そしてこれは結果論だが、医学部の面接でも物怖じせず、堂々と出来たのはそういったことがあったからかもしれない。
勉強ができても、幸せとは限らない
「偏差値が高ければ、いい大学へ行けば将来安泰」
そう思っていた時期が、私にもあった。でも、実際に社会に出て働いてみると、そうじゃないことがよくわかる。勉強ができても、人と関われなければ、大学で詰む。大学を卒業しても、社会性がなければ、会社で詰む。そして何より、本人が一番苦しむ。偏差値だけを追いかける競争には危うさを感じる場面があると思う。
忘れないでほしいこと
この記事が、今まさに子育て中の親御さんの何かヒントになれば嬉しいです。
「勉強さえできれば」と思っていませんか。
「偏差値が高ければ安心」と思っていませんか。
本当に大切なのは、人と関わる力。困ったときに助けを求められる力。自分の気持ちを言葉にできる力。勉強も大切だけど、それ以上に大切なものがある。親として、そのことは忘れないでほしいと思う。

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