AI時代の学生と男女共同参画
最近の大学生は、意識としての男女平等はかなり定着している。「男だから、女だから」という押し付けへの違和感は強く、男子大学生の家事・育児参加意識が高くなっている。
それでも男子学生の方が伝統的家族観を支持する傾向が残っている。日本財団の18歳を対象にした調査は、「結婚して子どもを育てる人生が望ましい」は男性65.7%に対して女性49.1%、「主に女性が育児」は男性29.3%に対して女性13.0%と差がある。
以上から、この側面だけを見ても、「意識は平等、将来像は必ずしも平等ではないというズレ」が見てとれる。
7月29日(水)、30日(木)の2日間、「特定非営利活動法人全国女性会館協議会 第70回 全国大会 in 静岡」が開催された。全体テーマは「AI時代の男女共同参画センターの役割」。
その中で、基調講演「日常化するAIが加速させるジェンダーバイアス」とトークセッション「デジタル格差解消とジェンダー主流化」を聴講し、イマドキ学生の男女共同参画の視点から、気になった言葉(〇)と私の解釈(◆)と自分の考え(●)を、整理して紹介する。
〇「女性ならでは」という言い方はやめよう
◆性別による固定観念(アンコンシャス・バイアス)をなくし、一人ひとりを個人として見ることが重要ということだろう。
●学生も敏感に察知しているように見てとれる。似たケースで「学生ならではの意見を聞かせてほしい」があるが、自分の考えよりも相手の期待に沿った答えを考えるようである。学生の場合、相手の求める答えを探すという追加の悪影響を招きやすいと考える。
〇優秀なクローン人間にならないようにしよう
◆同じような考え方・答え方をする人が増えやすい。AIに依存せず、自分自身の視点や価値観を持つことが重要という意味だろう。
●このためには、行動した経験や失敗から自分の考えを持つことが大切。その上で、「女性リーダー像はこうあるべき」「男性管理職はこうあるべき」という画一的なモデルを目指すのではなく、一人ひとり違うリーダー像があっていいと考えてほしい。
〇多様性の中でこそイノベーションが生まれる
◆性別だけでなく、年齢・文化・経験・専門分野などが異なる人が集まることで、新しい発想や価値が生まれるということだろう。
●同じような属性で集まると「それでいいよね」となりやすい。横目線を意識するイマドキ学生ならなおさらである。男女共同参画は単に「女性を増やす」という話ではなく、一人ひとりの違いを組織や社会の創造性につなげることだと意識したい。
〇AIは、1か0かで考え、ステレオタイプにならないよう注意が必要
◆AIは物事を単純化・分類する傾向があり、現実社会の曖昧さや多様性を十分に反映できないことがあるということだろう。
●「AIに聞いたので・・・」という学生が増えている。AIの答えを批判的に見て、自分で背景や個々の事情を考えることが重要である。ここまでできる学生はまだ少ない。
〇ミソジニー(misogyny)にも注意が必要
◆ここまで書いてきた上記に加え、女性蔑視的な情報が拡散された時に、それを無批判に受け入れない姿勢が必要であるということだろう。
●AIそのものが差別を作るというよりも、AIは人間社会にある偏見を拡大・再生産する可能性があることに注意したい。そのためには私たち大人の姿勢がより大切であると思う。
