学生が成長する『他流試合』ー越境学習がもたらす変化―
1 背景
大学職員になってから、学生の成長を直接見られるのが嬉しい。大学4年間で人はここまで変わるのかと思うことが多い。もっともほぼ変わらない学生もいる。そのくらい大事な期間であると思っている。私はここ4年は日常的に学生とかかわる部署にいるため、どういう時に学生は成長するのかをよく考えている。
2 成長する時とは
何かを達成した時、苦労を越えた時に少し成長する。日常的にはこうしたコツコツしたことで成長する。しかし、飛躍的に成長するのは、「修羅場を乗り越えた時」や「自ら挑戦した時」だろう。これらは適切なフィードバックがあると大きく成長しやすい。フィードバックで多面的なリフレクションができるからである。
一方、フィードバックがなくても多面的なリフレクションができる場合がある。それが「他流試合(越境学習)」である。
3 他流試合(越境学習)とは:石山恒貴氏(越境学習入門)の講演から
「越境」とは、個人にとってのホームとアウェイの間の境界を越えること
「アウェイ」とは、見知らぬ人ばかりの、普段の言葉が通じない慣れない場で、ちょっとした違和感や居心地の悪さを味わう。
ここでの上下関係のなさ×異質性×抽象性から、自分に何ができるかを見つめ直す機会になる。
これがフィードバックがなくても多面的なリフレクションができる場面であり、自分が本当にやりたいことに気づくこともある。
4 私が感じた他流試合の効果
昨年、近くの公立大学のオープン形式のゼミに、年間8回ほど学生を2,3人ずつ連れて行った。最初は違和感や居心地の悪さを感じつつも関係性を築く過程で自分らしさを出していけたようだった。また、やや遠方の私立大学での合同研修に学生を連れていった際も同様だった。なかなか自分らしさを出せない学生もいたが、そんな自分を見つめ直す大きな機会になったそうである。
どちらもホーム(自大学)に戻った際に効果が現れた。積極的に活動したり、自ら提案したり、周囲の学生に声をかけたりするなどリーダーシップ、フォロワーシップが1段上がったようである。
5 他流試合が効果的な理由
上に書いた「自分が本当にやりたいことに気づく」「自分を見つめ直す大きな機会になった」以外に、「先方の学生がすごかった」という声をよく聞いた。実は先方の大学から、「そちらの学生はすごいね」という声も聞いているので、お互いにそう思っているようである。どうやらお互い少しずつ背伸びをして自己紹介しているんじゃないかと思う。それが刺激になって、活動のヒントも加わって、ホーム(自大学)でやってやろうと思えるのだろう。
6 他流試合の注意点
他流試合をたくさん行っている学生で全く伸びない学生がいる。その学生は自大学では授業も課外活動も最低限度しかやらない。つまり、他流試合のみになっているのであり、ホーム(自大学)から逃げているのと同じである。こうなると、ホームに戻っても効果は現れず、むしろホームがない状態とも言えるだろう。
7 まとめ
いつものメンバーでいつもの場所にいるのは居心地がいい。それがホームである。しかし、最初ちょっと居心地が悪くてもアウェイに出てみると、自分が見え、俯瞰して周囲も見え、ホームでやってやろうと思えてくることもある。たまには、いっぽ踏み出し、他流試合に参加してほしい。
(これ、学生だけでなく社会人にも言えるなあ)
