イマドキ学生の苦手なコミュニケーションその1
昨年、学生向けに外部講師によるアサーティブ講座を開催した。特に、頼みごとが苦手な学生と、頼まれたら断ることが苦手な学生をイメージして、その対応をイメージした。開催後、学生の悩みを聞いているうちに、イマドキの大学生のコミュニケーションで苦手な部分として、以下の5つの状況が挙がった。これらを「イマドキ学生の苦手なコミュニケーション」として、解説する。
1 グループワークであの人と合わない
2 同級生が自分にばかり頼んでくる
3 会議でうまく話せない。
4 褒められると過剰に謙遜してしまう
5 過去の経験(断られた等)があって頼みにくい
それぞれ、学生の心理、私を含む社会人がやっていること、その上で学生に話していることを解説する。長くなりそうなので、2回に分けることにする。
1 グループワークで「あの人とは合わない」
どうしても合わない人がいる。グループワークで一緒になると、必ず意見が合わない。さらに、「わざと反対意見を言っているのではないか」と感じ、もやもやしてしまう。
これは比較的よく見られるケースである。相手との衝突を避けるために普段はあまり発言しない学生が、勇気を出して発言した内容を否定されると深く傷つき、「あの人とは合わない」と決めつけてしまう。一方で、相手もその雰囲気を察知して防衛的になり、お互いに距離を置くようになってしまう。こうして、双方が冷戦状態のような関係になることが少なくない。
私なら、「人格」と「意見」は分けて考え、相手自身ではなく意見に焦点を当てて違いを話し合う。しかし、学生にとっては、否定されたという感情が先に立ち、そこまで冷静に切り替えることは簡単ではない。ある意味では、学生のほうが素直で正直なのかもしれない。
そこで私は、「相手はなぜそのような意見を言ったと思う?」「その意見の良くない点はどこだと思う?」「逆に、良いと思える点はある?」と問いかけるようにしている。相手を評価するのではなく、意見そのものを多面的に考えるきっかけをつくることを意識している。
2 同級生が自分にばかり頼んでくる
試験前になると、「ノートを見せてほしい」など、自分にばかり頼みごとをしてくる人がいる。「他に頼める人がいないから」と言われると、なかなか断れない。
この悩みを抱える学生は少なくない。最初は「困っているなら助けたい」という気持ちで引き受けていた。しかし、それが何度も続くうちに、「断ったら嫌われるのではないか」という不安のほうが大きくなってしまう。
さらに、曖昧な返事をしていると、「もうこれだけでいいから」と半ば押し切られるように頼まれ、結果として都合のよい存在になってしまうケースもある。
私なら、頼まれる回数が増えてきた段階で、「あれ、また頼みごとですか?」と軽く牽制したり、苦笑いを交えながら困っていることを表情で伝えたりする。振り返れば、いつの間にか身につけていたコミュニケーションの工夫なのだと思う。
一方で、そのようなサインを出すことが苦手な学生は、頼みごとを断れずに抱え込んでしまう。そこで私は、「断ってもいいんだよ」「『今は忙しいから』と伝えても、人間関係がすぐに壊れるわけではないよ」と話している。相手を大切にすることと、自分を大切にすることは両立できることを伝えたいからである。
3 会議でうまく話せない
頭の中には意見が浮かんでいる。しかし、それを言葉としてまとめようと頭の中で何度もリハーサルしているうちに迷いが生じ、結局発言できない。他の人の話にも入り込めず、タイミングを逃してしまう。
これも非常によく見られるケースである。変なことを言いたくない、誰かを傷つけたくない、と言い方を考えているうちに議論はどんどん進んでしまう。ようやく言葉がまとまった頃には話題が変わっており、結局発言できないまま終わってしまう。
私なら、「まだ考えが整理できていないのですが、一ついいですか」「さっきの話で気になったことがあるのですが、話してもいいですか」と前置きをして話し始める。しかし、学生にとっては、その一言さえ高いハードルに感じるようである。
そこで勧めているのが、「質疑応答では最初に手を挙げる」とあらかじめ決めておくことである。質疑応答が始まる前から「最初に質問する」と決めておけば、頭に浮かんだ疑問を、その場で自分の経験と結び付けながら未完成のまま話すことができる。
多少的外れでも構わない。直感的に浮かんだ疑問には、その人ならではの視点が含まれていることが多い。だからこそ、未完成の発言であっても、結果として良い質問につながることが少なくないのである。
なお、サントリー生ビール『沁みるあゆみさん(勇気)』篇 90秒 河合優実さんは、学生の共感が大きい。いいとこ突いてるなあと思う。
