杉原誠四郎・元武蔵野女子大学教授の会見テキスト(「公平・公正な裁判を求める有識者の会」)~旧統一教会「解散」問題
前回投稿の続き。
8月6日に行われた「公平・公正な裁判を求める有識者の会」の記者会見では、7人7様、それぞれ異なる観点から旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)への解散命令に反対もしくは疑義を表明していました。
全員の会見をテキスト化して記録したいところですが、とてもそんな余裕はないため、できる範囲内で、まず杉原誠四郎・元武蔵野女子大学教授(宗教と政治問題、日本外交などが専門)の会見を文字起こししました。
1,8月6日の原爆投下1か月前まで爆心地近くに居住。当時4歳
私は、先ほど広島の話が出ましたけれども、原爆が落ちる1か月前まで爆心地の近くにおりまして、疎開をして助かった。当時4歳でした。
それで毎年、今日の日の8時15分にはテレビを見てですが、今日はやんごとなく(よんどころなく)電車の中におりましたもので、先ほど黙禱さしていただいて(注:記者会見冒頭、広島の原爆犠牲者を悼んで30秒間の黙禱)、まあ、よかったと思っております。
私は仏教徒でございます。元(職)の大学は仏教系の大学で、そういう意味では家庭連合と宗教上の関係はありません。
2,解散命令請求の裁判が非公開となる理由
私の主張は非常に簡単なことで、宗教法人法の「解散」で、それを非訟事件として裁判所に訴えるというのは、これは公開審議をしなくても解散がはっきりしているような場合に限り、解散をすると(いうことです)。
どういうことかというと、刑事事件を起こしている場合はそうですね。
それから、民事の話が出ましたけれども、私は民事も入ると思っております。
というのは、不法行為がたくさん行われれば、必ず裁判がたくさん起こります。そしてたくさん起これば、宗教法人審議会の審議を経て文科省から指導が入るはずです。それでも修正しないときに、これは民事であっても十分に解散の事由になります。
そういう意味で、公開裁判をしなくても済むほどに解散事由がはっきりしている場合には、(宗教法人を)解散できる。
結局、それは、監督庁の文科省が単独に判定するのではなくて、それを更に裁判所に預けて、念のために裁判所の判断を仰ぐということであって、したがって、そういう意味で言えば、審理が公開でなくても十分成り立つ。
要するに、公開しなくても成り立つほどのはっきりした場合に解散ができる。
【注記1】
解散命令は宗教法人への死刑宣告に等しいのに、なぜ「非訟事件」として扱われ、裁判が公開されないのか?
これは誰しも疑問に思うところですが、杉原誠四郎氏は、それにはちゃんとした理由があると言います。
「解散事由がはっきりしている場合、裁判所は申し立てを審査し、恣意的な解散にならないか確認するだけでいいから、裁判を公開する必要はない。逆に言うと、裁判所が解散命令を出せるのは、解散事由がはっきりしている場合だけ」
これが宗教法人法の考え方です。
杉原氏は解散要件には「民法の不法行為」も含まれるとの立場ですが、その場合でも、民事裁判で不法行為判決が相次いだら、監督庁が当該宗教法人に指導をして、それでもその指導が守られなかったとき、初めてそのことを理由として解散命令請求の申し立てができる、と述べています。
ところが、旧統一教会については、監督庁からそのような指導がなされたことはありません。文科省は質問権行使を経て、いきなり裁判所に解散命令請求をしました。
そこに大きな飛躍があり、宗教法人法の趣旨を踏み外している。これが杉原氏の見方です。
詳しくは、『宗教新聞』ウェブ版4月17日付の杉原誠四郎氏の寄稿をご覧ください。
私も同寄稿に触発され、あれこれ考え、分析したnoteを4回シリーズで書きました。
3,遡及処罰禁止の原則に違反
にもかかわらず、今回の場合は、先ほどの声明の中にもありましたけども、30年以上前のものである(注:「献金開始が平均32年前という過去の民事裁判を解散の根拠とした」)。
これは先ほどの声明の中では、他の宗教法人にも該当しかねませんと……。該当します、はっきり言って。
そういう教団もいっぱいあります。過去にいくらでも遡っていいんであれば、そういうことが言えます。
4,裁判の証拠主義に違反
それから、裁判である以上、証拠主義でなければ(ならない)。
事実であるということ、検証された事実でもって審議をしなければいけないのに、今回の資料は、公開されていないことも含めて、ただ被害だということを報告した人の言い分だけを集めているわけですね。それが事実かどうかはわかりません。
そういうことで、裁判の証拠主義ということに対して、全く成り立っていない。
5,文部科学省による「被害者」陳述書の捏造
それから、はっきり捏造の資料もあるようです。これは明らかに行政、文科省による犯罪行為ですね、極端に言えば。
【注記2】
旧統一教会は25年2月19日付で「文部科学省の虚偽証拠捏造行為に関する報告書」を公表しました。
文科省は民事判決32件以外に「被害者」だとする人たちから陳述書を集め、解散命令請求の証拠としました。
ところが、教団側が幸運にも連絡の取れた陳述書提出者から話を聞いてみると、驚くべき事実が明らかになったのです。
分かりやすいマンガ版が公開されています。以下は、そのうちのCさんとDさんのケースです。




なお、陳述書捏造については、今回の声明発表呼びかけ人の1人、福田ますみ氏も『月刊Hanada』で取り上げています。
6,行政裁判を起こして公開裁判に持ち込むべき
そういう意味で、この裁判を黙止するわけにはいかないということです。
そして、もう一つ私に言わせていただければ、これは行政行為として解散命令が出たわけです。それから、文科省は行政行為として申請をしたわけですね。
ですから、行政行為として出した以上は、行政裁判を起こして、公開裁判に持ち込むべきだというふうに私個人は思っております。
以上でございます。
【注記3】
『月刊Hanada』25年9月号で福本修也弁護士と対談した杉原氏は、非公開裁判で解散命令を確定させることに反対し、次のように述べています。
この解散命令決定で最も問題になるのは、人で言えば死刑に当たる宗教法人の解散につき、憲法82条に定める公開裁判を受けさせないまま、解散させようとしていることです。
21世紀、専制国家の中国でさえ、このようなことはないと思います。中国でも、合法組織であった法人を解散させるときには公開裁判を開く道を残している。
にもかかわらず、家庭連合の今回の場合は、家庭連合の側から見れば、公開裁判を受けられないまま解散させられようとしている。
上訴審で決定が覆らなければ、裁判を受ける権利を奪って解散させたことになり、世界的な宗教事件ということになります。
(中略)
もし公開裁判なら、その陳述書も公開されて、陳述書がどれほど信憑性のないものかがもっと大規模に具体的に分かるはずですね。
この点からも、非公開のままで解散命令が出ることになるのは、法の支配、法治主義の観点から許されないということになる。
『月刊Hanada』25年9月号「旧統一教会、解散命令の異常」
8月10日投稿へつづく
