杉原誠四郎氏が東京地裁決定を批判②~旧統一教会への解散命令は「法の公正」を逸脱
2009年「コンプライアンス宣言」で自ら是正措置を取った旧統一教会
①からの続き。
過去に、宗教法人の監督官庁である文科大臣が、旧統一教会に対して是正を勧告したことはありません。
一方、旧統一教会は民事裁判の敗訴が続いたことを受けて、2009年3月に「コンプライアンス(法令遵守)宣言」を発出し、「正体隠しの勧誘だ」「過度に不安を煽っている」と批判されるような行為を信徒に禁じ、同宣言が守られるよう指導を徹底すると表明したのです。
これは監督官庁から是正勧告を受けるまでもなく、自ら是正措置を取ったことに他なりません。
結果として、民事裁判も被害申告も激減しました。これは客観的なデータによって明瞭、明確に裏付けられています。
東京地裁の主観による「根拠のない言いがかり」
この点について、杉原誠四郎氏はこう述べました。
こうして家庭連合は平成22年(2010年)以降は裁判で不法行為として認定されたものは1件しか引き起こしていないのである。
不法行為は激減しているといえ、したがって現時点では、家庭連合は解散事由を原則的に抱えていないといえるのである。
にもかかわらず、東京地裁は「類例のない甚大な被害を生じさせ、現在においても、同種類似の被害を生じさせるおそれがある状況がなお看過できない程度に残存しているところ、利害関係参加人(「家庭連合」のこと)に事態の改善を図ることを期待するのは困難というべきである」と言って、解散命令の決定を下したのである。
家庭連合がコンプライアンス宣言を行った以降の状況を見れば、「同種類似の被害を生じさせるおそれがある状況がなお看過できない程度に残存している」と言うのは根拠のない明らかに言いがかりである。
「看過できない程度に」とはまさに主観によるもの言いである。
「旧統一教会への解散命令をどう見るか(2)」
『宗教新聞』ウェブ版(2025年4月23日更新)
冒頭に「平成22年(2010年)以降は裁判で…」とあるのは、正確には2009年3月に「コンプライアンス宣言」が出た後の寄付や勧誘に関する裁判で、という意味です。
それ以前に起きたトラブルに関して同宣言発出後に判決が出たケースもあるでしょうから(提訴から地裁、高裁の判決、場合によっては最高裁まで5年~10年かかる)、それは除外すると言っています。
マスコミの中には、同宣言後も判決がたくさん出ている、だから被害は減っていないとナンセンスな批判をしたところもあり、「印象操作もいい加減にしろ」と言いたいですね。
旧統一教会はトラブルを防止するために「コンプライアンス宣言」を出したわけで、その効果を確認するには、トラブルの原因となる出来事の発生時期を同宣言の前と後で区別する必要があるのです。
「コンプアイアンス宣言」に効果があれば、献金・勧誘に関するトラブルや新たな提訴は減るはずです。
2010年以降、新たな献金・勧誘で「不法行為」とされた民事判決は1件のみ
結果は、まさしく杉原誠四郎氏の言う通りでした。
国際弁護士の中山達樹氏が著した『拝啓岸田文雄首相 家庭連合に、解散請求の要件なし』(2023年8月、光言社)という小冊子には、
家庭連合が2009年にコンプライアンス宣言をした後、紛争はほとんど発生していない。
コンプライアンス宣言後の献金に関し、和解で終わった3件と判決1件(判決額520万円、及び一部和解額140万円)を除けば、過去14年、1つも裁判は提訴されていない。
2016年3月以降の最近7年間、裁判は1つも提訴されていない
『拝啓岸田文雄首相 家庭連合に、解散請求の要件なし』
と記されています。
この点は今回の東京地裁決定も、
「(2010年)以降の献金の支払等につき不法行為が成立すると判断された」判決のうち、「献金の支払等の開始時期が同年以降であるとされるのは1件の1名のみであり、不法行為が認められたもののうち、最も遅い時期の献金の支払等は平成26(2014)年のものとなっている」
東京地裁決定より。中山達樹弁護士ブログ25年5月26日
として、事実と認めています。
2014年を最後に、新たな献金・勧誘で不法行為とされた事案は1つもない
さらに注目すべきは、不法行為とされた最後の献金の支払い時期です。東京地裁決定にある通り、その時期は2014年。
つまり、解散を命じる地裁決定が出た2025年3月までの約11年間、「コンプライアンス宣言」後の新たな献金・勧誘をめぐって不法行為とされた事案は1件も発生していないのであり、それを東京地裁は知っていました。
なのに、なぜ「旧統一教会を解散させる」という結論になるのか?
杉原誠四郎氏が「現時点では、家庭連合は解散事由を原則的に抱えていない」と書いた通りで、解散の必要など1ミリもなく、東京地裁決定は噴飯物と言わざるをえません。
私に言わせるなら、「コンプライアンス宣言」以降の状況を見れば、東京地裁決定の言う「同種類似の被害を生じさせるおそれがある状況」は劇的に改善され、2022年12月末に成立した「不当寄付勧誘防止法」(被害者救済新法)によって、そのような状況はもはや存在し得なくなりました。
その証拠に、この「不当寄付勧誘防止法」には、こんな程度では旧統一教会の問題行為を根絶できないという批判に配慮して、「2年後の見直し条項」が入っていたのに、2年以上経った2025年5月現在、法改正は行われておらず、法改正の動きすら起きていないのです。
朝日新聞、22年12月成立の「不当寄付勧誘防止法」に基づく旧統一教会信者への勧告・命令はゼロと報道
これについては、2025年4月4日付『朝日新聞デジタル』が、いかにもガッカリといった調子で、「旧統一教会の被害者救済新法、見直し機運高まらず 施行から2年」と報じました。
ほとんど世間に知られていない事実ですが、この記事には驚くべきことが書かれています。
同法を所管する消費者庁によると、24年9月までに寄付の不当勧誘が疑われるケースは計118件あったが、このうち禁止行為をやめるよう求める勧告や命令に至ったケースはゼロだった。
『朝日新聞デジタル』2025年4月4日
つまり、「不当寄付勧誘防止法」ができて以来、旧統一教会は、幹部であれ末端信者であれ、消費者庁から勧告や命令を受けるような問題行為を1つも起こしていない、ということです。
旧統一教会に、解散しなければいけない理由は何一つないと言えるでしょう。
③につづく。
