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takewoody
「だいじ」に育てられた小学生、大田原の優しさのかたち
僕は幼稚園年長の12月、埼玉から栃木県大田原市に引っ越しました。
那須高原の少し南東にある、田畑の広がる町です。
そこで僕は、周りの子たちがしきりに口にする、
「だいじ」という言葉の意味がわからず、困惑していました。
「だいじ?」
「たけぴー、だいじけ?」
大事って、何が大事なんだろう。
「だいじ」の意味
引っ越して間もない頃、外で遊んでいて、僕が転んだときのことです。
痛みよりも恥ずかしさで、慌てて立ち上がろうとしました。
すると、ひとりの子が顔をのぞき込んで言いました。
「だいじ?」
僕は、その意味がわかりませんでした。
何が大事なのだろう。
どうして、突然そんなことを聞くのだろう。
返事もできずにいると、別の子も寄ってきて、
「たけぴー、だいじけ?」
と言いました。
言葉の意味はわからないけれど、心配されていることだけは、なんとなく伝わりました。
やがて、「だいじ?」は「大丈夫?」という意味なのだと知りました。
優しさのかたち
不思議なのは、僕の記憶では、大田原の人たちは、かなり頻繁に「だいじ?」を使っていたことです。
ちょっとぶつかったとき。
遊びの輪に入れず、もじもじしていたとき。
迷惑をかけてしまって、居たたまれない気持ちになったとき。
誰かが「だいじ?」と声をかけてくれました。
それは、本当に大丈夫かどうか、正面から切り込むような感じではありませんでした。
もっとふわっと、なんとなく、全体として「だいじ」かを気にかけてくれるような雰囲気でした。
「だいじ?」
この短い言葉には、大田原の人の優しさが表れているように思います。
深く立ち入るわけではない。
けれど、放っておくわけでもない。
ただ、ふっと気にかける。
僕は、小学校を卒業すると同時に、また県外へ引っ越しました。
だけど、心は「だいじ」に育ててもらいました。
