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子育ての解毒剤|記事紹介

まずは、この一文を味わってみてください。

オムツでウンチをするとお尻が気持ち悪いから、
トイレでさせた方が
娘も気持ちいいに決まっている。

何を感じましたか。
私は、

えっ?小さい子って、トイレじゃなくて
おむつでウンチしたいんじゃないの?

でした(妻もおなじ感想)。

それこそ、生まれた瞬間からおむつですからね。
多分、「一般の」親御さんが感じる、「一般的な」感想じゃないかと思います。

あえて「一般の」としたのは、
冒頭の心情が、作業療法士という

「専門家の」

視点で見たものだからです。

今回ご紹介するのは、3歳、0歳(10ヶ月)の姉妹の親であり、作業療法士でもあるみつばさんのこちらの記事。

みつばさんは、作業療法士として、
身体に障害を負った患者さんたちの、

自分で、トイレで排泄したい

というニーズに寄り添いながらリハビリ介助を続ける中で、

自分の娘も当然トイレで排泄したいはずだ

と思い込んでしまったのだそうです。

でも、世の中には

トイトレ

という言葉があるくらいです。

「トイレで排泄したい」というニーズが大人に限ったものであることは、一般人である我々からしたら、当然と言えば当然とも言えますよね。

案の定、

娘さんはトイトレを全力で拒否し、
逆効果になってしまった…

と、後悔の念が綴られています。

作業療法士という専門家が、なぜこのように
認知の死角にハマってしまうのか?

「まあ、子どもって予測不能だしね!気づけてよかったね!ガハハ!」

では片づけられない、計り知れない奥行が、この記事には秘められています。

その入り口として、将棋界の大スター、
羽生善治さんの言葉を読んでみましょう。

人間には思考を省略して考えることができる素晴らしい能力があるのですが 、時にはそれが先入観や、偏見となって新しい発想を妨げることもよくあります。

羽生善治「捨てる力」

たとえば、朝、いつものように保育園に子どもを送り届けるとします。
そのとき、わざわざ、

  • GoogleMAPによれば、我が家から保育園までは自転車で10分。

  • 家を出て子どもを自転車に乗せ、漕ぎ出せるようになるまで5分。

  • 保育園に到着し、子どもを降ろして預けた後、園を出て再び漕ぎ出せるようになるまで5分。

  • 園から最寄り駅まで自転車で5分。

  • 駐輪場にとめて、改札を抜け、ホームに到着するまで5分。

  • したがって、8時の電車に乗るには、7時30分に家をでなければならない。

…なんて、書くのも馬鹿らしくなるほど面倒くさいことを、いちいち考えたりしないですよね。
このとき頭の中にあるのって、

  • 7時半にでて、8時の電車に乗るぞ!

という、省略に省略を重ねたシンプルな思考だけじゃないですか。

そして、この劇的な省略を可能にするのが、

7時半に家を出たら、8時の電車に乗れた

という、「毎日の経験の繰り返し」です。
経験があれば思考をショートカットできます。

これを

帰納法

と呼ぶそうです。(お~!ナントカ法って、もう言葉の響きからカッコイイですね)

帰納法はものすごく便利です。
ある特定領域に特化してお仕事をされる専門家の皆さんは、ある意味、

帰納法のプロ

とも言えそうですね。

でも、それが時として落とし穴に…。
ある有名な哲学者は、

帰納法を過信するな

と説きました。

帰納法はちっとも論理的ではないし、確度も高くはない
なぜなら、これまでにくり返し起こったことが明日もまたくり返されるとは決まっていないからだ。

ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉

ふむふむ、という感じですね。
きっと、この人も帰納法の罠にハマったんでしょう。

羽生善治さんも、有名な哲学者も、そしてみつばさんも陥ってしまったという、便利な帰納法の落とし穴。

高度な知的訓練を受けた専門家たちが、
なぜ帰納法の落とし穴にハマってしまうのかを調べた

「知性の罠」

という論考では、「罠」にかからないためには、
自らの判断の限界を認識する

「知的謙虚さ」

をもつことが重要だとしています。
要するに、

専門家は神様じゃない。
だから、何でも正しく判断できるわけじゃない。
謙虚になろうぜ!

と、そんな感じのことが書いてあります。

記事の中で、みつばさんは様々な葛藤を乗り越えていきます。
そして、最終的には、肩の力を抜き、「トイトレ完了」に固執しない柔軟な姿勢へと変化していくのですが…

はい!おわかりですね。
そうです。

この記事そのものが、
みつばさんが「知的謙虚さ」を
保つための解毒剤

になっているんです。

ただでさえ「失敗しない」と思われている専門家が、
言わなければわからない自らの失敗を、
あえて体験談として世に発信している。

その恥ずかしさを乗り越え、
「知的謙虚さ」を保つことで、
自らの知性に毒されぬよう抵抗し、
親としても、そして専門家としても、
次の高みへ向かおうとしている。

この記事を一読された方。
読後、なんとなくポジティブで、底知れぬ力強さ
みたいなものを感じませんでしたか?

それは、実は、このように二重にも三重にも
奥行がある記事だからだったんですね。

(ご参考 1/2)あなたの記事を紹介させてください!

ご希望の記事をご連絡いただけると、私が全力でレビューさせていただく企画をやっています!
絶賛募集中ですので、ぜひぜひご応募お待ちしております!

(ご参考 2/2)引用した書籍

いわゆる「子育て本」ではないのですが、どれも子育てのヒントに満ちた素晴らしい本たちです。
「知性の罠」は、「言語の本質」で有名な今井むつみさんが帯を書いています。


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東大卒2児ママの夫 お気持ちめちゃくちゃ嬉しいです!でも、本当にいいんですか?

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