【伝わるプレゼンの探求】 なぜ、完璧に考えたときほど負けるのか|インセプション型プレゼン(前回の続き)
ちゃんと説明したはずなのに、
その場で、選ばれませんでした。
そんな経験はないでしょうか。
理由もある。
順番も考えた。
どこを突かれても崩れない。
そこまで詰めたはずでした。
でも結果は、
「なんとなく、こっちがいい」
でした。
前回の記事で、
「全部説明した途端に魅力が消える」
という話を書きました。
今回はその続きとして、
なぜ自分自身が、
それをやってしまったのか。
少し別の角度から、
振り返ってみたいと思います。
そのときの自分は、
かなり詰め切っていました。
どこを突かれても崩れない。
そう思えるくらいには、
考えていたつもりです。
だから、
安心していました。
「これなら大丈夫だろう」と。
でも途中で、
ほんの少しだけ、
違和感がありました。
説明しすぎている、
というより、
もう相手を、
「説明を聞かされる状態」
にしてしまっている。
そんな感覚でした。
でも、
ここまで考えたのだから。
ちゃんと伝えた方がいい。
そう思って、
そのまま進めてしまいました。
結果は、
その場で、
選ばれませんでした。
誰も反論しなかったのに、
なぜかそのまま、
別の案が選ばれました。
会議が終わったあとも、
少しだけ、
「あれ?」
という感覚が残っていました。
ちゃんと説明したはずなのに。
順番も、
理由も、
考えていたはずなのに。
むしろ、
ちゃんと考えられていた方だったと思う。
それなのに、
なぜか届かなかった。
あとから振り返ってみると、
少しだけ、
分かることがあります。
それは、
相手が自分の中で、
「なんかいいかも」
と思う前に、
こちらが先に、
答えを置いてしまっていたことでした。
完成しすぎている。
逃げ道がない。
だから、
腰が落ち着かなくなる。
たとえば、
「これ、なんか好きだな」
と思ったあとに理由を聞くと、
すっと入ってくるのに、
最初から、
全部説明されると、
なんだか、
居心地が悪くなって、
逃げ出したくなることがあります。
最初に動いているのは、
“正しさ”より先にある、
「なんかいい」
「なんか好き」
そんな感覚です。
そして人は、
あとから理由を探していく。
でも、
その順番を飛ばして、
最初から全部説明してしまうと、
相手の中で、
感じる前に、
考える状態が始まってしまいます。
あのとき、
足りなかったのは、
説明の量ではなく、
相手が自分で、
「いい」と感じられる場所でした。
反論はありませんでした。
でも、
乗ってもいなかった。
今なら、
そんなふうに思います。
自信があるときほど、
少しだけ、
一歩引いてみる。
全部を説明し切らない。
相手の中で、
意味が立ち上がる余地を残しておく。
頑張って説明しすぎてしまうのは、
ちゃんと伝えたいと思っているからです。
だからこそ、
少しだけ、
説明し切らない。
全部を説明しない方が、
ちゃんと伝わることもある。
最近は、
そんなふうに思っています。

