【伝わるプレゼンの探求】 なぜ、全部説明した途端に魅力が消えるのか|インセプション型プレゼン
人は、
理由がわかるものを信じたくなります。
なぜそれが良いのか。
なぜその形なのか。
どんな意味があるのか。
ちゃんと説明できる方が、
説得力があるように感じます。
だから何かを作る時も、
意味や背景やストーリーを考えます。
「この形には、こういう意味がある」
「このモチーフは、こういう感情につながる」
「だから、このデザインが正しい」
そうやって、
言葉にできる魅力を積み上げていきます。
でも実は、
人は、
言葉になる前に、
かなりのことを感じています。
たとえば、
お店で見た時計やバッグ。
理由はわからないのに、
「なんか高そう」
「なんか好き」
「なんか持ってみたい」
そう感じることがあります。
逆に、
説明を聞けば納得できるのに、
最初はあまり惹かれないものもあります。
仕事でも、
似たことがあります。
会議で誰も反論しなかった。
でも、
最後は別の案が選ばれた。
スペックでは勝っているはずなのに、
競合の商品が選ばれた。
そんな経験がある人も、
少なくないのかもしれません。
人の中には、
“言葉にできるコモンセンス(共通感覚)”と、
“うまく言葉にできないコモンセンス(共通感覚)”の、
両方があります。
たとえば、
リボンを見ると、
結ぶ。
整える。
贈る。
そんな意味を思い浮かべることがあります。
これは、
比較的、
言葉にしやすい感覚です。
一方で、
2つ並んでいる時計を見ただけで、
片方だけ、
なぜか高そうに見えることがあります。
スペックを読んだわけでもないのに、
「あ、なんかいい」
と思ってしまう。
こちらは、
うまく説明できません。
人は、
頭で理解する前に、
体の方が先に反応していることがあります。

そして多くの場合、
人は、
理由を考える前に、
先に惹かれていることがあります。
言葉にできる魅力は、
あとから理由になります。
でも、
言葉になる前の魅力は、
理由より先に、
人の心を動かします。
だから、
言葉で説明できるものを積み上げたのに、
なぜか選ばれなかった時。
それは、
「自分の考えが間違っていた」
というより、
“言葉になる魅力”と、
“言葉になる前の魅力”の順番を、
少しだけ見誤っていたのかもしれません。
まず、
心が動く。
そのあとで、
「だから好きだったのか」
と理由がついてくる。
人は、
そんな順番で物を好きになることがあります。
だからこそ、
説明できない違和感や、
説明できない魅力を、
軽く見ない方がいいのかもしれません。
言葉にできないものの中にも、
人を動かす力は、
ちゃんとあります。
