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夏祭りの日、私は家にいる。


夕方になると、

家の前を浴衣姿の人が歩いていく。

 

子どもたちの笑い声。

どこからか聞こえてくるお囃子。

 

「今日、お祭りだったね。」

 

そう思いながら、

窓の外を眺める。

 

しばらくすると、

家族が支度を始めた。

 

「行ってきます。」

 

その声に、

「いってらっしゃい。」

と笑って手を振る。

 

玄関のドアが閉まると、

部屋は急に静かになった。

 

昔は、

私も一緒に出かけていた。

 

人混みの中を歩いて、

屋台をのぞいて、

花火を見上げて。

 

それも楽しかった。

 

でも今は、

家にいる時間のほうが、

心が落ち着く。

 

ただ、

たくさんの人。

大きな音。

明るい灯り。

 

気づかないうちに、

少し疲れてしまう。

 

だから、

家で過ごす夜が好きだ。

 

冷たい麦茶を淹れて、

ソファに腰を下ろす。

 

窓を少し開けると、

夏の風が、

ゆっくり部屋を通り抜けていく。

 

遠くから聞こえる、

にぎやかな笑い声。

 

近くではないけれど、

ちゃんと夏は届いている。

 

少しすると、

遠くで花火が上がる音がした。

 

姿は見えなくても、

「始まったんだな。」

と分かる。

 

窓から入る夜風が、

カーテンをそっと揺らした。

 

音だけで夏を感じる夜も、

悪くない。





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