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美容液は結局どれがいい?  医学論文が最後に残した「ビタミンC」と「レチノール」という答え「医学論文で選ぶ、本当に必要な美容液」シリーズ第1回

洗面台の前で美容液を手に取りながら、ふと迷います。

ビタミンC、レチノール、ナイアシンアミド、ペプチド、ヒアルロン酸。最近では、EGF、エクソソーム、PDRNと書かれた製品まであります。

「結局、どれを使えばいいのだろう」

私自身、医学論文を読む仕事をしていても、化粧品売り場に並ぶ成分の多さには圧倒されます。価格も数千円から数万円まであり、高価なほど効きそうに感じますが、広告の印象と医学的な根拠は必ずしも一致しません。

そこで始めるのが、「医学論文で選ぶ、本当に必要な美容液」シリーズです。

第1回では、数ある美容成分のなかでも長く研究されてきたビタミンCレチノールを取り上げます。

この記事を読めば、なぜこの2つが美容液選びの中心になるのか、何が期待でき、どこに限界があるのかが分かります。

美容液は「高いか」ではなく「何が入っているか」

化粧品では、魅力的な商品名や高級感のある容器が目に入りやすいものです。しかし、肌への作用を考えるうえで重要なのは、ブランド名よりも、主に次の点です。

どの有効成分が、どの形で配合されているか

その成分が皮膚に届くよう設計されているか

人を対象とした比較試験で効果が確認されているか

さらに、美容液の効果は、配合濃度、pH、容器、安定性、ほかの配合成分によっても変わります。

つまり、「ビタミンC配合」「レチノール配合」と書かれているだけで、すべての製品に同じ効果があるわけではありません。

それでも現在の研究を整理すると、光老化による細かいしわ、色むら、肌の粗さなどに対して、比較的多くの臨床研究が残っている成分として、ビタミンCとレチノイドが浮かび上がります[1-3]。

ビタミンCは「守る」と「整える」を担う

紫外線などの影響を受けると、皮膚では酸化ストレスが増え、コラーゲンを含む皮膚組織の変化や色素沈着に関係する反応が進みます。

ビタミンCには抗酸化作用があり、コラーゲン合成に必要な反応にも関与します。また、メラニンの生成過程に働きかけ、色むらや色素沈着を改善する可能性があります。

2023年に発表されたシステマティックレビューでは、外用ビタミンCについて、肌の不均一さ、しわ、光老化、肝斑の改善が示唆されました。一方で、研究ごとに製剤、濃度、併用治療、評価方法が異なり、最適な濃度や製剤を断定できる段階ではないとされています[1]。

ここで注意したいのは、ビタミンCは日焼け止めの代わりではないということです。

ビタミンC美容液は紫外線を十分に遮断するものではなく、日焼け止めで防ぎきれなかった酸化ストレスへの補助役です。したがって、朝に使う場合も、最後には日焼け止めを塗る必要があります。

また、ビタミンCは塗って数日でシミを消す成分ではありません。研究でも、目に見える変化には長期間の使用が必要になる可能性が指摘されています[1]。

レチノールは、肌の構造に働きかける

レチノールは、ビタミンAの仲間であるレチノイドの一種です。

皮膚に塗られたレチノールは、レチナールを経て、最終的にレチノイン酸へ変換されて作用します。表皮の細胞更新や真皮のコラーゲンに関連する反応を調節し、細かいしわ、肌の粗さ、色むらなどの改善が期待されます。

ただし、化粧品のレチノールと、医薬品として使用されるトレチノインは同じものではありません。

トレチノインはレチノイン酸そのもので、変換を必要としないため作用が強い一方、赤み、乾燥、皮むけ、刺激感が起こりやすいという特徴があります。

2024年のシステマティックレビューでは、トレチノインとほかの外用治療を比較した25研究が検討されました。トレチノインは光老化治療の基準となる成分ですが、比較研究には質の低さやバイアスがあり、刺激の少ない代替成分がトレチノインを上回ると断定できるほどの根拠は不足しているとまとめられています[2]。

さらに2025年のネットワークメタ解析では、23件のRCT、合計3,905人のデータが検討され、外用レチノール、トレチノイン、イソトレチノインが細かいしわを改善し、レチノールとトレチノインは色素沈着にも有効である可能性が示されました[3]。

ただし、この研究には、人種的多様性の不足、製品や評価方法のばらつき、商業的バイアスの可能性などがあります。成分ランキングだけを見て、すべての人に同じ製品が最適だと判断することはできません[3]。

ビタミンCとレチノール、結局どちらがいい?

どちらか一方が完全に優れているわけではありません。役割が少し異なります。

ビタミンCが向いている悩み

くすみや色むらが気になる
紫外線による酸化ダメージを抑えたい
朝のスキンケアに取り入れたい
レチノールの刺激が心配

レチノールが向いている悩み

細かいしわが気になる
肌の粗さやハリ不足を改善したい
数か月単位でエイジングケアを続けたい
赤みや乾燥に合わせて使用頻度を調整できる

実際には、朝にビタミンC、夜にレチノールという使い分けが合理的です。

ただし、初めから両方を同時に始める必要はありません。どちらか一つを先に導入し、肌の反応を確認してから、もう一方を追加したほうが、刺激が出たときに原因を判断しやすくなります。

最初に買うべきものは、美容液ではない

ここまでビタミンCとレチノールを紹介しましたが、エイジングケアの優先順位で最初に置くべきものは、どちらでもありません。

最初に必要なのは、日焼け止めと保湿剤です。

皮膚の光老化には慢性的な紫外線曝露が大きく関係します。日焼け止めを使わず、高価な美容液だけを追加するのは、穴の開いた容器に水を注ぎ続けるようなものです。

まず、日焼け止めと保湿を続ける。

そのうえで、

朝はビタミンC
夜は低濃度のレチノール

を、刺激が出ない範囲で少しずつ加える。

医学論文を読み進めた先に残るのは、珍しい新成分ではなく、このような地味でも継続しやすい組み合わせです。

ただし、「ビタミンC」と書かれた製品にも、ピュアビタミンCと複数のビタミンC誘導体があります。レチノイドにも、レチノール、レチナール、トレチノインがあり、効果と刺激性は同じではありません。

次回は、ビタミンCとレチノールを真正面から比較します。

シミ、毛穴、しわには、結局どちらを選ぶべきなのか。

悩み別に、さらに具体的に整理します。第2回はこちらです☟。

参考文献

[1]Correia G, Magina S. Efficacy of topical vitamin C in melasma and photoaging: A systematic review. Journal of Cosmetic Dermatology. 2023;22(7):1938-1945. doi:10.1111/jocd.15748.

[2]Siddiqui Z, Zufall A, Nash M, Rao D, Hirani R, Russo M. Comparing tretinoin to other topical therapies in the treatment of skin photoaging: A systematic review. American Journal of Clinical Dermatology. 2024;25(6):873-890. doi:10.1007/s40257-024-00893-w.

[3]Lin L, Chen X, Liu C, Wang Q, Lian W, Xu X, et al. Comparative efficacy of topical interventions for facial photoaging: A network meta-analysis. Scientific Reports. 2025;15(1):26889. doi:10.1038/s41598-025-12597-0.

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TACA|口腔外科医・医学博士|健康の裏側を解説 ここまで読んでいただき感謝です。少しでも良かったら気軽に応援してもらえると嬉しいです。