【台湾旅録#9】彰化の穴場「成美文化園」で、まさかの企業史に出会う
牛肉捲餅NT158、これは高い?納得?
目的なき台中編から一夜明け、次の観光地へ向かう前にまずは腹ごしらえ。やってきたのは新台中駅直結のフードコート「鐵鹿大街」
台湾のフードコートって、基本的にちょっと割高な気がする。ローカル食堂と比べると体感3〜5割増し。
とはいえ空調ガンガン効いてて店内も清潔、Wi-Fiまで使える。観光客にはありがたい環境だし、その分の値段なんだろうなと納得はしてる。それでも一食NT200〜300(1000〜1500円前後)は、地元価格に慣れてくるとちょっと引ける。
散々悩んで選んだのが「牛肉捲餅」(牛肉の葱油餅巻き)。ご飯というよりおやつ寄りのポジションだが、お値段NT158(約800円)
捲餅に158元!?冗談はおよしなさいよ!!てか円安キッツ!!と心の中で盛大に文句を垂れつつ、背に腹はかえられず注文(一緒に旅行したくないタイプの人間)

う、うまいじゃなーい!!!(掌返しすごい)
ネギと牛肉がたっぷり詰まっててボリュームしっかり、生地もサクもちで味は普通にうまい。これなら158元でも納得できる。あとで口コミ見たら評判もかなり良くて、牛肉麺も美味しそうだったので次回はそっちにも挑戦したい(うまいとうまそうしか言ってない)
六玖食府
アクセス方法を調べたら余計に迷った

さて、腹も膨れたところで台中から台鉄の特急(自強号)に乗って約25分、員林駅へ。ここは彰化県南部最大級の交通拠点らしい。
彰化の有名観光地といえば、大仏や史跡が並ぶ丘「八卦山」、台湾屈指の美しさと名高い「鹿港龍山寺」、清代の街並みが残る「鹿港老街」あたりが定番どころ。
だけど今回向かったのはそのどれでもなく、彰化県永靖郷にある『成美文化園』。百年以上の歴史を持つ伝統建築「成美公堂」と、四季折々の美しさを誇る優美な日式庭園「和園」が融合した、歴史人文と観光レジャーを兼ね備えた人文博物館だ。
員林駅からバスで10分、らしいのだが、バス停まで若干距離がある&分かりにくすぎて途中で面倒になりタクシーに切り替えた。台湾ってタクシー安いから、こういう「もうダル…タクシー呼ぼ…」ができるのが本当にありがたい。(Uber最高!!)
ちな、改めて調べたアクセス方法がこちら。
・台湾鉄道(台鉄)】「員林駅」下車、徒歩約8分の員林転運站(バスターミナル)へ。
・員林転運站(バスターミナル)より、高鉄快捷公車(シャトルバス)「7号線(員林転運站〜田中火車站)」に乗車し、「永靖」バス停にて下車。
ね、なんか面倒くさそうでしょう?
はて?シャトルバス?はて?7号車?思考停止ですよ(頭カチカチ女)。日本でもバス乗るの苦手なのに、さらにわからんやつ。Google マップもたまに嘘ついてくるから油断ならない。迷って無駄に体力を消耗するのが嫌いだからここは迷わず...
ヘェェイ!!タクスィーー!!!
成美文化園の見どころ
成美文化園、外国人観光客にはかなり穴場なスポットだと思う。かといって「おすすめ観光地です!」と胸を張って言えるかというと、正直微妙かもしれない(またこのパターンかよ)。
庭園と歴史建造物を中心にした広めの文化公園ではあるんだけど、庭園と伝統建築が思ったよりコンパクトで、建物や庭園そのものの圧倒的な見応えを期待していくとやや肩透かしを食らうかも(?)
入園料もまぁまぁいいお値段NT300(約1500円) なので。というわけで、あまり参考にはならないかもしれないけど、「こういうところもあるよ」くらいの温度感で感想を綴っていきます。

というわけで成美文化園、見どころは大きく3つ。
① 成美公堂(県定歴史建築)
1885年創設の百年古厝。釘を一本も使わない伝統的な「八大工法」で修復され、閩南(ビンナン)と客家の建築技法、色鮮やかな極彩色画が融合した、台湾の古民家修復の先駆け的な建造物らしい。
② 和園(匠の技が光る伝統庭園)
歴代の名園技法を継承した日式庭園。樹齢550年の紫檀(コクタン)の名木や青々とした松・柏が植えられ、春の花々、秋のラクウショウ(落羽松)の紅葉など四季折々の景色が楽しめる。
③ 成美伝習斎(歴史伝統技術の継承場)
文化遺産の保存史の中でもかなり珍しい、1/1スケール(実物大)の模型・試験建築として作られた空間。伝統工芸の教育や伝統的建造物の美を伝える展示・体験の場として使われているそう。
歴史を辿ったらカップ麺に行きついた
成美公堂の歴史、調べてみたらかなりドラマチック(?)というかなんか規模が壮大だった。
始まりは1885年(清の時代)、魏家のご先祖様の邸宅として建てられた、簡素な平屋。それが1917年に大規模修復されて、伝統的な「二進双護龍」という格式高い建築様式になったらしい。

でもそこから時は流れ、老朽化と破損が進んで、2005年からまさかの7年がかりの大修復プロジェクトが始動。しかも「八大工法」という伝統技法を駆使して、釘を一本も使わずに直したというから職人技がすごすぎ。2012年、ようやく修復完了。

4つの文字を1つに合体させた文字がある。
(発音は「ㄎㄧㄤˇ / キャン」)
魏家はもともと中国大陸から台湾へ渡り、彰化県永靖郷に根を張って代々農業を営んでいた一族。それが1980年代、魏家の4兄弟が中心となって事業を拡大し、今や台湾を代表する企業グループへと成長した。その筆頭が「康師傅(カンシーフー)」。「康師傅」って中国大陸で爆発的にヒットしたインスタント麺・飲料ブランドで、中国では「康師傅=中国企業」だと思ってる人がめちゃくちゃ多いらしい。でも実は本社は台湾、経営してるのはまさにこの魏家(頂新グループ)なのだ。

台湾国内だと、インスタント麺のシェアは「統一」が主流で、康師傅はあまり見かけない。中国であれだけ国民的ブランドになったのに、地元台湾ではそこまで存在感がない、というこの逆転現象。
魏家が故郷・台湾に残した文化遺産と、中国大陸で築き上げた巨大ビジネス。このコントラストがなんとも複雑で興味深い。

カップ麺好きのために台湾の定番カップ麺をここで紹介しておこう。この4つを抑えておけば君も無事台湾通だせ⭐︎(話がとっちらかってる)
1. 統一肉燥麵(肉燥風味) 台湾の国民的定番。1971年発売の超ロングセラーで「台湾の味」代表。豚肉の甘辛い肉燥(ルーロー風)味。
2. 來一客 鮮蝦魚板風味 小さめカップで一番売れているシリーズ。エビの風味+魚板(かまぼこ)が特徴のあっさり塩味。軽食・お土産に人気。
3. 滿漢大餐 蔥燒牛肉麵 豪華版の牛肉麺。大きな牛肉塊入りでボリューム満点、葱の風味が効いた濃厚スープ。
4. 阿Q桶麵(海鮮) 大型桶麺シリーズ。ボリュームがあり、学生や大食い向け。キムチ味も人気。
はい。話を戻します。(真顔)
そんな魏家の祖宅こそが、1885年創建の成美公堂。兄弟たちが先祖を敬う気持ちから私財を投じて祖宅を修復し、広大な私設文化園として整備した、というのが成美文化園の正体らしい(投資額は数十億円規模とも言われている)。お金持ちのスケールがエゲツないって。
思いっきりフォトスポット化してた

そんな成美公堂の過水廊(渡り廊下)では、伝統的な台湾の油紙傘(油を染み込ませた和紙の傘)が何十個も吊るされた展示、というかもう完全にSNS映え狙いの空間になっていた。歴史的建造物のはずが、フォトスポット化してる。資本主義を感じるぜ〜。(素直に楽しめよ)




100年前の名家の暮らしにタイムスリップ
成美公堂の内部に一歩足を踏み入れると、100年前の台湾の豪農・名家の暮らしにタイムスリップしたような感覚が味わえる。「広間(正庁・庁舎)」「寝室(客房)」「厨房(灶腳)」など、当時の部屋の配置や用途がそのまま残されていて、伝統的な台湾の大家族の暮らしが博物館・展示室として活かされている。


神様の言葉を記す「扶鸞(ふらん)」という
神事を行う場所




享年110歳であった。(バリ長寿)


一周回っておしゃれにみえなくもない

円を囲んで親密に集まれるように配置されている

調理器具や食器、水瓶などが展示



(酔拳かな)




そらテンション上がりますよ


全体的にコンパクトに感じたがなかなか見応えあった
家族愛の結晶と見逃した550年

さて、続いては成美文化園の二つ目の目玉、和園。
和園という名前は、魏家4兄弟がいちばん敬愛しているという魏和德(ぎ わとく)氏と、その妻・謝如雪(しゃ じょせつ)氏を記念してつけられたものらしい。
この魏和德氏、実はさっきのカップ麺談義(?)に出てきた、あの大富豪4兄弟のお父さまなんだとか。2014年に完成したこの西園区の庭園は、成功した息子たちが「両親への感謝」と「先祖への敬意(飲水思源)」を込めて作った、まさに恩返しの結晶みたいなものらしい。
園内にたくさん植えられている松や柏も、「松柏長青(松と柏みたいにずっと青々と、長生きして繁栄しますように)」という願いと、先祖を敬う気持ちの表れなんだそう。

台湾版兼六園と紹介してた

えらいロマンチックな名前で笑った


冒頭で「おすすめ観光地です!と胸を張って言えるかというと、正直微妙かもしれない」と書いたけど、それは私がこの文化園に対して単純に無知だったということと、「きれいだけど、日本でも似た雰囲気は味わえるかも」と感じただけの話であって、成美文化園自体はとても歴史と家族愛に満ちた、素晴らしい場所だということはちゃんとお伝えしておきたい(急にフォロー入れだした)
歴史や背景を知ると、モノの見え方が変わる。今こうして調べながら記事を書いているせいで、もっとちゃんと見とけばよかったと後悔がどんどん募っていくのを感じる。
しかも樹齢550年のコクタン、絶対近くを通ったはずなのに見事にスルーしている。550年ですよ、550年。室町時代から生きてる木を前にして、ノーリアクションで通り過ぎた自分を想像すると、笑うしかない。
その時の自分はというと、手を後ろに組んだ老人スタイルでただぼーっと歩いていただけ。550年の生命力の隣で、こっちは完全に散歩中のおばあちゃんムーブをかましていた。

最後に園内をぶらぶらとお散歩

中央の池には巨大な蜜蜂のバルーンが浮かんでる

日本の神社「絵馬」と全く同じ仕組み



と呼ばれているこの竹編みのアート作品。
「夢の種」を蒔くという願いが込められているそう。

最後に、料金の話も少し。成美文化園の入場券はNT300なんだけど、そのうちNT100は園内の物販やカフェ・レストランで使える「消費抵用券(割引クーポン)」として含まれている。つまり実質の入園料はもう少しお得、という仕組みらしい。
というわけで、私はそのクーポンでソフトクリームを選んだ。
ふと周りを見ると、観覧を終えたであろうおじいちゃんたちの集団がいて、同じようにソフトクリームをぺろぺろ頬張っていて、その光景がなんだか微笑ましくてシュールだった。(シュールいうな)
というわけで、彰化・成美文化園でした。正直、「庭園と古民家でしょ」くらいの気持ちだったんだけど、蓋を開けてみたらカップ麺の帝国だの(カップ麺だけじゃねーよ)、恩返しの庭園だの、思ったより壮大な話が転がってた。歴史って面白いねぇ。次どこか行くときは、ちゃんと下調べしてから行こうと思う(月世界からまるで成長していない)。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
台湾旅録、もう少し続きます。
高雄編↓
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