【台湾旅録#8】目的地なきぶらぶら(台中編)
高雄から台中へ、台鉄でのんびり北上する。のんびりしすぎて台中駅に着いたのは、観光するには微妙に遅く、ホテルに直行するには早すぎる、なんとも宙ぶらりんな時間帯だった。
そもそも母も私も基本的に都会にあまり興味がない。台湾観光は郊外が面白い、アクセスが悪いところに味わい深いスポットがある、というのが持論だ。台中は台北ほど都会でなく、台南ほどノスタルジーな哀愁もなく、なんというか、魅力をいまいち伝えづらい街だと思っている。いや、私がまだ魅力に気づけてないだけか。
宮原眼科と、逆張りの捻くれ人間
最近でいうとパッと思いつくのは宮原眼科だろうか。知り合いや友人が台湾旅行に行くとなると、行きたい観光地の上位に必ず宮原眼科の名前が上がる。特に女子の支持率が高い。アイスとか映えまくるもんね。

ちなみに私は宮原眼科でお土産を買ったこともなければ、名物のアイスクリームを食べたこともない。逆張りの捻くれ人間なので「ふん、アイスごときで行列に並びたくないわい」と冷笑をかましつつ、美味しそうに食べている人々を横目に、内心では「いいなーーー!!羨ましいーー!!」とも思っているのだ。やはり人間、素直が一番。今度行ったらちゃんと食べる。ゆっくり座って食べたいので、同じグループの姉妹店・第四信用合作社(宮原眼科のすぐ近く)で食べる。これは決意表明である。
台中駅旧駅舎、外はレトロ、中はカオス(?)

まずは台中駅の旧駅舎へ向かってみた。外側は1917年築(大正6年)東京駅も手がけた辰野金吾氏のスタイルを反映した赤煉瓦と白の横帯が美しいネオルネッサンスの堂々たる歴史的建造物で、台湾の国定古蹟としてしっかり保存されている。現在は「臺中驛鐵道文化園區」として生まれ変わっている施設だ。
ただし駅周辺、とくに地下道や広場あたりは少し独特の雰囲気がある。原色カラーの山積みの荷物(おそらくホームレスのもの)、奇声や大声を発する人(高確率で遭遇する)、旧駅舎前でTikTok撮影なのか踊り狂う人……これはこれで香ばしくて味がする。
台中自体は治安の悪い街ではないのだが、駅周辺は女性一人での夜間は少し注意したほうがいいかもしれない。
その踊り狂う人を横目に(明らかに母親世代で余計に狂気を感じた)旧駅舎の中へ入ると、外観とのギャップに一瞬戸惑う。クラシックな赤レンガの建物の中に、アニメや有名キャラクターのポップアップストアやコラボイベントが入っていて、超現代的・ポップな空間になっているのだ。

私が行った日はクレヨンしんちゃんとスヌーピーが目白押しで、両方とも好きな私にとってはテンションの上がりまくる空間だった。しんちゃんの映画シリーズの名場面を再現したほぼ等身大のフィギュア展示があり、どこの観光地よりも熱心に写真を撮りまくった。ずっと1人できゃっきゃしていた。母を置いてけぼりにして。








歴代の映画キャラたちが目白押し
(全員わかる)


(今はコンプラが厳しい...暗黒タマタマだなんて...)


なんか圧が強くて草

劇場版第1作目の
アクション仮面VSハイグレ魔王
2日連続で通った列車カフェ「Mamonaku(まもなく)」

文化園區の敷地内には、引退した自強号(台鉄)の車両をリノベーションした本物の列車カフェがある。「Mamonaku(まもなく)」という名前のカフェで、「まもなく、次の旅が始まる」というニュアンスが込められているらしい。名前からしてもう可愛い。


営業時間は13:00~18:00









車内をそのまま活かした復古スタイルで、座席に座ってコーヒーやスイーツが楽しめる。昭和・レトロ台湾鉄路感満載で、鉄道ファンじゃなくてもめちゃくちゃテンションが上がった。ちょうどオープン直後に行ったのでしばらく貸し切り状態だったのも良かった。この雰囲気があまりにも好きすぎて、2日連続で通った。


(香りに癒された)

(味はいたって普通のベビーカステラ)

やはり独特な味だった。

そしてここで出てきたコースターに一目惚れをする。台湾の伝統的な「花磚(ファージュアン/マジョリカタイル)」をモチーフにしたもので、色鮮やかでポコッとした浮き彫り模様が特徴の、日本統治時代に多く使われた和製マジョリカタイルのレトロ可愛いデザインだ。裏面を見ると「台湾花磚博物館」と記載されていて、調べると嘉義にあるらしい。嘉義まで行こうかとも思ったが、台北の台湾雑貨のお店に取り扱いがあると聞いて、台北でタイルを探す旅に出ることになるのだが……それはまた後日の話。
↓動画もあるよ
廃墟と行列のスイーツ店、向かい合う二つの建物

カフェでのんびりしたあとは、義務感のように宮原眼科へ向かう。せっかく来たなら見ておかないともったいない、という謎の貧乏性が発動した。
そうそう、宮原眼科の真正面にある『千越大楼』がまた凄い。14階建ての雑居ビルで、外壁は剥がれ落ち、窓ガラスは割れまくり、落書きだらけで完全に廃墟全開。なのに低層階には今でも飲食店(?)が営業していて、そのカオスっぷりがまた怖くもあり面白くもある。日本統治時代の建築を美しくリノベして行列のスイーツ店になっている宮原眼科と、向かいで放置され続ける千越大楼。なんとも味わい深い。廃墟マニアにはたまらんでしょうな。

肝心の宮原眼科は、冒頭で宣言したとおり、アイスを食べる人たちを恨めしそうに横目で見て、お土産も買わずウインドウショッピングに徹した。1月半ばだったので、春節にちなんだ店内の飾りや華やかなパッケージのお菓子たちを眺めるだけでも楽しかった。


華やかでいいね

温かい豆乳や杏仁茶に浸して食べると美味しいよ

中にはお茶が入ってる

一瞬お手頃かなと思ったけどやっぱり高いと冷静になった。でも紅玉紅茶使ってるなら美味しいかも

市民廣場と誠品書店、そして台湾と日本の距離

続いて向かったのは台中市民廣場。芝生が広々と広がって開放感があり、カップルがピクニックしたり家族連れが遊んだりと、のんびりした雰囲気が漂っている。私が行った時はムーミンの巨大バルーン(21メートル級)が鎮座していた。台湾のキャラクター好き、本当に日本に負けていない。
市民廣場の向かいにある商業施設・文化勤美誠品(誠品生活綠園道店)にも立ち寄った。誠品書店を核に、アパレル・雑貨・カフェが充実した複合施設だ。そこでまたしても私の大好きなストレンジャー・シングスのポップアップをやっていたが、最終シーズンをまだ見ていなかったのでウインドウショッピングだけでなんとか抑えた。(ようやく先月全話完走した)


誠品書店には日本の話題小説(中国語訳)や漫画が並んでいて、日本語の原版も結構置いてある。今はストリーミングで同時期視聴が当たり前になったから、日本との流行りのラグがほとんどない。私が子供の頃に台湾に住んでいた時代は、日本の本が買える所は天母の高島屋くらいで、月刊誌や漫画の新刊は1〜2ヶ月遅れ、アニメなんてほぼ見る方法がなかった。音楽・ドラマ・アニメの同期化が進んで、日本の流行をリアルタイムで共有できる今は、なんだか感慨深い。

原作面白かった。
ラストシーンが映画版と違って衝撃的


来来商旅(ライライホテル)、ランドリー争奪戦

この日の宿は来来商旅。周辺にはに台中公園、一中夜市、中友百貨などの有名なスポットがあって利便性がいい。一階には光南大批発という日用品から食品まで扱う楽しいお店もある。少し年季の入ったホテルだが、広々として清潔感はある。そして嬉しいことにランドリーが無料で使える。長旅には助かる。




ご丁寧にアイロンと台まである

家庭用の洗濯機が1台しかなく、利用したければ争奪戦に勝たなければならない。ラッキーなことに誰も使っておらず、すぐに使えた。ただし1時間近くかかるので、ロビーでぼんやり待つことになる。その間、洗濯物を抱えたまま引き返していく人を何組か見送った。ちょっと申し訳ないような。そして潔癖症気味の私は、共用洗濯機という概念にちょっと引き気味だった。...洗濯したけど。
結局この日は、行くあてもなくただぶらぶらしただけだった。でも気づけば旧駅舎でひとりヒャッハーして、カフェに2日連続で通って、廃墟を眺めて、宮原眼科のアイスを食べずに帰るという、なかなか充実した一日だった。目的地がないのも、たまにはいい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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