致涙量のやさしさ配合
涙にいたるやさしさの割合は10%程度ではないかとおもう。
高濃度の場合でも、せいぜい20%前後だろう。
それ以上濃いといわゆる感動ポルノというか、さあ泣け!という姿勢が伺えてきてうんざりするし、全く少なくても気がつけない。
だから、例えば小説なら1話、ないし1冊に含まれるやさしさの含有量が10%前後が1番グッときてしまう。目の奥が熱くなり、外で読むのは危ない。
これは、とても危ない1冊だった。
『月まで三キロ』伊与原新(新潮文庫)
どこかにありそうな家族の話に、天文学や、地学、気象学といった、様々な学問がそっと絡み合った短編集だ。
どれもいろんな高濃度のやさしさが含まれていて、外で読むのはお勧めしない。
(わたしは、電車で読んでいて本当に大変だった。慌てて一度ページを閉じた)
それにしても、改めて、学問はいい、学問をすることは素晴らしい、とそう思わせてくれる1冊で、そういう意味でも胸が熱くなった。
学問はこんなにも世界の解像度を上げて、見え方を変えてくれる。
ただそれだけで救われてしまうことがある。
人類の幼さや取るに足りなさを気づかせ、人を謙虚にしてくれる。
世界には、驚きあきれるようなスケールの話が当たり前にゴロゴロある。
自分の気にしていたことの何とちっぽけなことか。
もちろん、学問だけで全てが解決するわけじゃないけれど(その辺の上手くいかなさもこの本には色々描かれている)、それでも考え方のヒントや、取り組み方の基礎をくれる。
あるのとないのでは大違いだ。
つまり、何が言いたいかというと、やはり基礎研究にはお金を出してくれってことと、
今後月を見る度に親子のことを考えてしまうだろうってことなのだ。
(月があるから、地球も地球でいられるってところもあるしね)
