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「内部モデル」をぶっ壊せ!──MTP構築ワークショップ徹底解説

今日やるべきことは私が本当にやりたいことか?
その答えがNOと続くときは、何かを変えなければならない

Steve Jobs

「うっ・・・・・・耳がいたい」と感じる人も多いのではないでしょうか。
何か新しいことを始めたいと思っているのに、現状は変えなければいけないと思っているのに、できないでいる。
何か、思考が巨大なものに絡め取られているように感じられたり、どこか閉塞感を感じていたり。

そういった自分自身が感じていた課題感を解決できる糸口になったのが、堀田創氏の著書、トランスフォーメーション思考でした。

本書に触発されて、社内でなかなか地べたから発想を解き放つことのできない原因である、思考の内部モデルを壊すためのワークショップを考えたことがありました。

残念ながらみんなでやる機会は結局作れずにスライドだけお蔵入りしていたのですが、せっかくですので共有しておこうと思います。



ワークショップの目的

会社のリーダー陣が「変革だ! DXだ!」と叫ぶ一方、部下の温度感はまちまち――そんな現場のギャップを埋めるのがこのワークショップです。

変化を生み出すこととはなにか、
なぜそれが難しいのか、
「自分が」変化するためには何が必要か、
といった問に対する方法論を示していきます。

なぜリーダーの声は届かないのか?


キモは「内部モデル」

人間の認知の97%は無意識領域とされています。
外部刺激(上司の檄、コンサルのスライド、Twitterの炎上)がいくら強烈でも、内部モデルが変わらなければ行動は変わりません。

ダイエットに良い青汁を「まずい」で終わらせるか、「健康につながる苦み」と捉え直すか。
行動変容を生み出すためには、無意識のうちに物事を捉える内部モデルを変える必要があります。

無意識のうちに内部モデルが情報処理をしている

そこでトランスフォーメーション思考の中で内部モデルを変革するために提案されていたのがMTP(Massive Transformative Purpose)を定めることでした。

MTPの世界から見ると、現状は必ずなんかおかしい


内部モデルを変革する「MTP」って何?

MTP(Massive Transformative Purpose)とは、30年スパンで現在とはまったく異なる世界を描く、超・野心的な変革目標のことです。
現在の延長ではなく、100倍、10000倍もスケールが変わるような劇的な未来、それがMTP。

とんでもなく遠い場所にある未来を描く

少し例を挙げると「東京で注文したら40分後に届く」を「1分後に届く!」に振り切る。
さらに、顧客規模も提供価値レベルも10倍→100倍→10000倍とスケールさせる。
そうすると今のサービスとは全く違う次元の価値を持ったサービスが生まれる、というわけです。

顧客規模と提供価値を圧倒的に大きくした未来こそ、30年先に実現する未来像に近くなっていく。

そして、そこまでとんでもない未来(MTP)を緻密に描いていくことで、その世界観に自ら没入し、リアルな臨場感を得られるようになってきます。

10000倍のとんでもない未来を描いていく


MTP構築ワークショップ

以降では、8つのステップを通じてMTPを作り上げていきます。
ちなみに、それぞれのステップは結構時間がかかります。
なぜならば自分の中で言語化できていないことも含めて書き出していく必要があるからです。

また、MTPは一回で作り上げるものではありません。
粗くてもいいからまずはステップ1~8までやり切ってみる、途中前のステップに戻って臨場感がより高まるようにブラッシュアップしていくなど、アップデート前提で書き切っていきましょう。

加えて、この記事では個人がMTPを書き上げるような文体で書いていますが、少人数のチームで議論して作っていっても良いと思います。
大切なのは自分も含め、関係者で目指す未来を言語化し、臨場感を得て、本気で目指したいと思うMTPを作りあげることにあります。

ChatGPTなどの生成AIと対話しながら書き出していってもいいかもしれませんが、重要なのはそれらしい言葉、ではなく自分が確信を持って目指したいと思うとんでもない未来像です。
それは自身の価値観や人生観の発露でもありますので、生成AIから出てくるヒントも活用しながらうまく手繰り寄せていく必要があります。

それではワークに入っていきましょう!
読むだけではなく、実際に生成AIと対話しながらでもやってみると何か得るものがあると思います。
また、1つ1つのワークでは発散と収束のプロセスを明示的には書いてませんが、ブレスト的に書き出した中でどれが自分にとって重要かを絞ってから次のワークに進む、というような進め方を想定していますのでご了承ください。


ステップ1:脳を未来で溢れさせる

ここでは多角的な視点で技術・環境・価値観などの未来トレンドを妄想レベルで爆発させていきます。
「正気か?」と人に思われても構いません。
AIと対話しながらヒントを探ってもいいでしょう。

大切なのは未来で頭の中をいっぱいにして、未来の世界に没入することです。
ブレードランナーやマトリックス、インターステラーなどSFで見たような近いようで遠い未来を想像するのはなかなか楽しい体験です。

30年後の未来を考える

ステップ2:未来から見た大きな問題を見つける

次にやるのが今の問題ではなく、想像した未来から見た大問題を見つけることです。
少子化や気候変動など、今はまだ深刻化していないけれど、自分が描いた未来では大問題になっているかもしれない。
そういったSF視点で考えてみましょう!

この部分は未来からバックキャストで考える方法になりますが、一般的なそれと違うのは単なるメガトレンド、つまり世の中で一般的に言われている話からバックキャストするのではなく、自分の描いた未来からのバックキャストだと言うことです。

どちらがいい、とは言えませんが、MTPというのはとんでもない未来を作るための変革目標なので、自分が100%信じられる強い臨場感が必要ですので、私としてはこのワークを通じて得られる問題の方がMTPを考える上では適しているかと考えています。

未来の問題を手繰り寄せる

ステップ3:どんな技術を使えば問題が解決されるか?

次はソリューションのイメージを作っていきます。
ここは結構発想を大きく飛ばす必要があります。
なぜなら30年先の大きな課題を解決するソリューションは現在の延長線上にはないからです。

なので、ここでは技術の中身というより、どんな仕組みで解決するのかを書き出していきます。
また、解決された状態がどんなふうになっているのかを描きます。

妄想レベルでも構いませんが、因果関係が完全になかったり、物理的に不可能であるものはダメ。
ここでは問題が解決される未来を”信じられる”仕組みを書いていきます。

ソリューションは現実的である必要はない

ステップ4:問題解決後、何がブレイクスルーするか?

問題が解決された後に、世界はどのようなブレイクスルーを迎えるか?
これはなかなか抽象的な問いですが、

例えば、
「核融合が安定的にできるようになることでエネルギー問題が解決する」としたときに起きているブレイクスルーは、人類のあらゆるエネルギー的制約からの解放です。

このワークではMTPを達成することで世界がどうなっていくのかと整理していきます。
つまり、MTPが達成された後の世界を妄想していくわけです。
ここは映画の世界を描いている感覚でワークできるのでとても面白くワークできると思います。

ここまでのワークを少し整理すると、これまでステップ1~3ではMTPを作るところを整理してきました。
そしてここからのステップ4~8はMTPを多角的に捉え直すことで、MTPの現実感、臨場感を高めていくステップになります。

MTP達成後の世界を妄想する

ステップ5:MTPを進化させる

次に、これまで書き上げてきたMTPに対していくつかの観点で問いを投げかけていきます。
ちゃんと大きな夢(MTP)になっているか、それが達成したあとにどうなっているか、そのときに何のために生きているか、などMTPが達成された世界が本当に目指すに値する”とんでもない未来”になっているかを確認し、未来感をブラッシュアップしていきます。

MTPに対して自問自答をしていく

ステップ6:未来ごとマインドマップで臨場感を高める

個人のワークとしては最後のステップとして、MTPの周囲の世界を広く捉えていきます。
以下のような観点で、マインドマップとしてMTPの世界感を書き出していきます。
ここは生成AIと壁打ちするといい感じにマインドマップを書いて行けると思います。

さて、ここまで書いてくると、実際に自分が定めたMTPが小さいとき、MTPを達成したにも関わらず、ここで問われるようなマインドマップになんらの影響もないなんてことが起こり得ます。
自分ではとんでもない未来だと思っていたのにも関わらず、いざ考えてみると、地球環境以前に顧客の生活すら変わりそうにないなんてこともあります。

そうしたならば、もっととんでもない未来を考えるべくこれまでやってきたワークに戻ってやり直していきます。
最初に述べたように、MTPというのはアップデートしていく前提で作り上げるものなのです。

MTPが達成した未来の広がりを考える

ステップ7:他人と未来を議論してMTPを強化する

ここからはついに自分の中で練ってきたMTPを他人と議論していきます。
臨場感が高まったMTPの内容を信頼できる人と共有し、意見をもらったり、ブラッシュアップの議論をしたりしていきます。

ステップ1〜6というのはまだ自分の中でさえ、未来への臨場感が十分固まり切っていない状態でしたが、ここまで具体化されて来れば臨場感を奪われることはありません。
ただ、有益な議論をするために、この段階では未来志向の、信頼できる人たちと議論をして煮詰めていくことでMTPの具体化を図っていきます。

私の中でのこの段階のイメージはイーロンマスクがSpaceXで火星移住の話を関係者としているような感じです。例えば、

  • 片道6〜9ヶ月の火星までの宇宙船移動に必要なものは具体的に何なのだろうか?

  • 乗組員のメンタルヘルスのために、どんなエンターテインメントが必要か?

  • そもそも地球からロケットを打ち上げるのはコスパが悪いから宇宙から打ち上げるのがいいんじゃないか? など

火星移住をすることは所与の前提で、その現実を実現するためにMTPを補強していくようなフェーズになります。

臨場感をより現実的にしていく

ステップ8:MTPをアウトプットする

ここまできたらMTPをアウトプットしていきます。
例えば、TeslaのMTPは以下のような言葉でアウトプットされ、誰もがみることができる状態になっています。

Accelerating the World's Transition to Sustainable Energy

https://www.tesla.com/about

ここからわかるのはTeslaは自動車の会社ではないということです。
持続可能なエネルギーへの世界の移行を加速させる、というとてつもない未来を彼らは目指しているし、その過程に今いるわけです。
ワクワクしますね。

とはいえ、Teslaも最初から世界最大の地位にあったわけではありません。
MTPを定め、公開し、共感する人を集めてそこに向かって進んできたことで今の状態にまで進化してきたと言えます。
MTPを達成するには多くの人間の意思が必要です。

MTPの世界を具現化していく、行動していくのが最後のステップです。

MTPに他の人を巻き込んでいく


おわりに

ちょっと思い立ってスライドを簡単に記事にして人に紹介できる形にしようと書き始めたら、結局5000字ほども書いてしまいました。
私にとって、MTPを定める、ということは自分自身の変革を伴った経験がありましたので、少し想いもあって筆がノったというのもあります。

自分のMTPを書き出したのは約1年前でしたが、当時書き出したワークの結果を見てみると、今でも強い臨場感を感じますし、今でもそこで描いた未来の一つに向かって動いている、という感覚があります。
世界を本当に変えられる人間というのはあまり多くはないですが、一方で自分が変えたいと思う方向を見つけて動いていくことにもMTPは使えます。

MTPは自分が肯定したい未来を見つけるきっかけになると思いますのでぜひ皆さんもMTPを作ってみてください。

以上

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