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日本で5番目位にMiSTerを愛する筆者が解説するNEOGEO AES+


はじめに

2026年4月17日に何の前触れもなく発表された『NEOGEO AES+』 実機の完全再現を謳う本体が、Amazonやヨドバシカメラ等の一般的な流通ルートで購入可能。しかも高額化で投機対象と化した過去タイトルが、お求めやすい価格で多数復刻されたことから現在、レトロゲームコミュニティで大バズりしてるようです。

スタンダードな商品はこちら。有線アケコン付です。

純白のスペシャル版はこちら。アケコンは無線化。メタルスラッグカートリッジもセットでついてきます。

T4YKは"ぼっちゲーマー"なので、格ゲー主体のNEOGEOはこれまで余り遊んでこなかったのですが、そんなボッチがポチってしまうほどの魅力がこの商品にはあります。いや、正確にはある可能性が極めて高いんです。

様々な形で復刻されてきたNEOGEO

今までの復刻商品と何が違うのか?

まず公式サイトに気になる記載がありました。

NEOGEO AES+でのゲームプレイはエミュレーションでは実現されません。代わりに、本体は従来のASICチップによって駆動され、元のマシンのハードウェアとソフトウェアを正確に再現するために現代の基準で再設計されています。このシステムは、新旧両方のゲームカートリッジのゲームソフトウェアをネイティブに再生し、最も本格的なレトロゲーム体験を提供します。エミュレーションでも、FPGAによる近似でもなく、真のコンソール再生がシリコンに刻み込まれています。

https://plaionreplai.jp/ja/products/neogeo-aes

おいおい、いったい、どういうことなんだい?
記載内容、雑に解釈すると「汎用的なSoC上でエミュレーター動作させるのではなく、当時のNEOGEOハードウェアと同じLSIチップを載せて動かす本物のハードウェアだ!」ということらしいです。この記載内容自体はあいまいで如何様にも解釈できるため、界隈で様々な推論がなされました。結局これはマーケティング的なコピーであって、どうせいつものエミュレーションだろ?…と。

そんな中、ある投稿が脚光を浴びます。該当ポストは既に削除されてしまったため、当時の投稿をまとめたTime Extensionの記事を転載します(英語)

超かいつまんで要約すると、

「MiSTer NEOGEOコアの開発に関わったFurrtek氏やJotego氏が、なんらかの形でNEOGEO AES+プロジェクトに関わっている」

といった内容になります。
おいおいおいおい、聞き捨てならない内容が書かれてるじゃあないかい!

Furrtek氏
レトロゲームコミュニティ、リバースエンジニアリング界隈の超有名人。MiSTerのNEOGEOコアはFurrtek氏、MiSTer主宰のSorgelig氏らを中心に開発された。

Jotego氏
MiSTerのアーケードゲームコア開発の第一人者。サウンド周りのチップはJotego氏が担当。

え?ということは…

MiSTer FPGA本体

NEOGEO AES+って中身、MiSTer NEOGEOコアなんじゃないの!?

的な仮説がここで爆誕してしまいます。…マジっすか!!?


MiSTer?なにそれおいしいの!?

この突然出てきた「MiSTer」って単語ですが、"FPGA"と呼ばれる内部構造を後から自由にプログラミングしなおせる集積回路を用いてレトロゲームハードを復刻させようとするプロジェクトを指します。過去に互換機であるSuperStation Oneを説明する形でMiSTerに関する記事書かせてもらってます。ご一読いただけると嬉しいです!

NEOGEO AES+のプレスリリースに書かれたキーワード

  • 旧実機コントローラー、周辺機器互換

  • アナログディスプレイ出力

  • 1080p HDMI出力

  • ディップスイッチによるリージョン切り替え

  • AES(家庭用)/MVS(業務用)切り替え

  • オーバークロック

これ見て私も「MiSTerっぽいな」って思っちゃったんですよね…。ということであとは裏取りしていきますよっと。


NEOGEO AES+がMiSTer NEOGEOコアである根拠について

Time Extensionの記事では、NEOGEO AES+にFurrtek氏やJotego氏らMiSTer NEOGEOコア開発者が何らかの形で開発参加している…と言い切ってるので、情報ソース探してみました。個人的にはこのニュースサイト、論争を巻き起こすための煽り記事が多いんで余り好きじゃないですが…調査の結果、嘘で無いことが判明しました。

信憑性その1 - Furrtek氏の匂わせ

先に紹介したFurrtek氏自身、こんなポストしてます(リアタイで自分も見て、リポストもしたものの現在は削除済み)

That certainly bodes well when it comes to the potential accuracy of the final product, and Furrtek (in a now-deleted social media post) has stated that in their "biased opinion", the Neo Geo+ "has every chance of being the best since SNK themselves stopped manufacturing hardware. Perfect, maybe not, but certainly with the ambition to do better than emulation, to honour the brand, and to respect the fans.

【意訳】これは、完成品を推し量るにおいて期待が持てる材料だ。またFurrtek氏は(現在は削除されたXでの投稿で)「偏った意見ではあるが」と前置きしつつ、NEOGEO AES+は「旧SNKがハードウェアの製造を中止して以来、最高の製品になる可能性を秘めている」と述べている。完璧とは言えないかもしれないが、エミュレーションを超える品質を目指し、ブランドの名に恥じず、ファンを尊重するという強い意志が感じられる。

https://www.timeextension.com/news/2026/04/the-neo-geoplus-will-be-better-than-emulation-says-modding-legend-furrtek

さらにTime Extensionのポストに対してこんなコメントもされてます。

【意訳】「better」というのは「既存商品を上回る価値がある」と捉えてください。これで少しは分かりやすくなったでしょうか?MAMEやMiSTerコアを単に再パッケージ化しただけでは「既存商品を上回る」ことはない気がします。

これってFurrtek氏が内情を知ってないと発言できないコメントですよね。さらにこれを補完する形でJotego氏の見解が!

信憑性その2- Jotego氏の言及

MiSTer情報インフルエンサーのPixel Cherry Ninjaさん。Xの仕様が変更されて以降、日本のコミュニティでも見かける機会が増えたんですが、そのアカウントからこんな投稿が。

【意訳】NEOGEO AES+に関する興味深い情報
@topapate (Jotego氏のXアカウント)
に確認したところ一部のJotegoさんの知的財産が使用されていることが判明しました。それと@furrtek (Furrtek氏のXアカウント)の最近のツイートは、かなり謎めいています。これ、すごいことになるかもしれませんよね?

上記のポストだけでは第三者の未確認情報に過ぎないのですが、Patreon(クリエイターを支援する為のクラウドファンディングプラットフォーム)でJotegoさんご自身が本件、言及されてます!支援者向けのコメントなので詳細省きますが、担当領域の知財確認と該当箇所のコードレビューを行った模様。ASICで専用チップ用意してることも明言されてます。やったぜ。

※4/30追記

その後、JOTEGOさんの4/29のインタビュー動画にて正式に『MiSTer NEOGEOコアのコードを用いて改めてASIC化したもの』との言質が得られています。なお、この動画はPLAION公認とのことです。確定情報いただきました!



もしNEOGEO AES+がMiSTerベースの商品だったら?

ちなみにDiscordでFPGAに関するコミュニティを主宰されてるMattさんが「MiSTer NEOGEOコアで誰が何を作ったのか」を、Xでまとめてくれてます。MiSTerの前身であるMistプロジェクトでの68000やZ80の解析を経て、Jotegoさんがサウンド周り(YM2610)を。Furrtekさんが描画周りをまとめてくれたようです。

AES+がMiSTer FPGAベースであれば、"チップを正確に解析した上で設計、実装されている"と仮定すれば理論上、AES+はNEOGEO実機と全く同じ振る舞いをする筈です。*1 これは少なくとも(よくあるソフトウェア/ハードウェアエミュレーションの比較の話と別にして)MAMEベースの移植よりは実機に忠実な筈。しかも謎の外注会社による不完全移植作ではなく、膨大な時間、稼働実績のある製品であることがデカいと思ってます。工業製品にとって"安定と実績"は何よりも重要視される指標ではないでしょうか?

※1 MiSTer FPGAコア開発者のイカビクさんからYM2610はシリコン解析ベースではないとの情報共有があったことを追記します


ASICがFPGAで…ん?どういうこと?

FPGAで再設計した上で各チップ、個別に分割してASIC化することは過去ハードでも既に実現しているようです。

Furrtekさんも27年前に再ASIC化された海賊版MVSボードを晒してますw

せっかくのFPGA、わざわざ修正の効かない構造に戻すことに何の意味があるのか?謎な部分もあったりするものの(大量生産による低コスト化についてもASICにスケールメリットは少なく、議論が分かれてるようです)

とはいえ、

面白い試みじゃないか!おもしろければいいぢゃん!!

なのです。


一次ソースから導き出された結論

  1. ASICで確定

  2. MiSTer NEOGEOコアコードを元にASIC化したもの

  3. すごい、最高。買って早く試したい!

MiSTerコミュニティの当事者たちから情報集めた上での結論なので「可能性の高い推論」から確定情報にジャンプアップしました。更に4/29のJOTEGOさん動画で興味深い情報が追加されてます。

  1. コントローラーはUSB接続ではなく
    実機同様直接システムにつながっているため遅延なし

  2. AV端子(DIN8)から接続する限り描画遅延も発生しない

  3. NEOGEO実機とASIC構成が完全同一になるわけではなく、
    統合チップセットになりそう
    (例えとしてメガドラ1⇒メガドラ2への変更を事例にあげてます)

実質、実機のレプリカなので、これはもう期待しかないです。早く試したい!


同時発売のおすすめゲームについて

最後に今回同時発表された復刻版ゲームについて、私のおすすめを載せておきます。

対戦シューティングという一風変わったゲーム「ティンクルスタースプライツ」


AES(家庭用)初移植の「ショックトルーパーズ」


ネオジオCD版のみに収録されていたコースも追加され、完全版ともいうべき内容の「ビッグトーナメントゴルフ」


みんな大好き「メタルスラッグ」NEOGEO AES+ではクロックアップ可能とのことなので処理落ち多い本作、恩恵を受ける一本だと思います。

記載内容に間違いあれば遠慮なくご指摘ください。ベストエフォートで修正させていただきますので(既に結構書き換えられてたり)

それでは皆様、良きレトロゲーミングライフを!


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