「寛解です」と言われた日、楽観しすぎていた話
転院先のCがんセンターで、治療が始まりました。
2020年2月のことです。
手術の前に、まず放射線と抗がん剤から
Cがんセンターでの治療方針は、いきなり手術ではありませんでした。
まず放射線化学療法——放射線照射と抗がん剤(カペシタビン)を組み合わせた治療で腫瘍を小さくしてから、手術を検討する、という流れでした。
仕事については、幸いにも今までワーカーホリック気味で有給がたくさん残っていたので、有給を使いながら通院で何とかなりました。職場の上司には事前に病気のこと、治療スケジュールを説明し、責任者業務の引き継ぎも行い、部下への説明はナーバスな方もいたため、かなり気を配って説明しました。みなさん一様に心配してくれて、とても協力的な職場でよかったと思いました。
治療については土日を除く毎日の通院。約1か月間、毎朝早起きして車で40〜50分かけて病院に通い続けました。
放射線科では少し当たりが強い先生が担当で、始める前にかなり気持ちが落ち込みましたが、位置決めをしていただく技師の方たちや放射線治療の技師の方たちはとても優しく、治療に前向きになれました。
副作用は下痢・倦怠感・むかつき・照射部位の皮膚の変色(少し日焼けしたような色)。手足皮膚の荒れ。特に後半になるにつれきつい日もありましたが、「これが終われば次に進める」という気持ちで乗り越えました。乗り越えるころにはあたりの強い担当の先生も親身に話を聞いていただけるようになり、最終的に周囲に助けられて何とか乗り越える事ができたと思います。
この時の副作用は腹部不調以外すぐ回復し、治療終了後の4月には、普通通りに仕事に復帰していました。
「寛解」という言葉を、初めて聞いた日
放射線化学療法が終わってから約4か月後の2020年7月。腫瘍部分の病理検査を行い、結果を聞きに病院に行きました。
「悪性腫瘍なしです。寛解です」
——やばい、消えた?
「寛解」という言葉を、そのとき家に帰って調べ初めてちゃんと理解しました。すごく簡単に言えば完治ではなく「がんが消失し、落ち着いている状態」ということ。でも、その瞬間はただただ嬉しかったです。
手術せずに様子見でいけることになりました。
そして私は、楽観しすぎていた
寛解と言われてから、私は少しずつ「がん」を意識しないようになっていきました。
血液検査・CT・腹部超音波・半年に一度の大腸内視鏡などの定期検査は続いていましたが、日常生活はほぼ普通に戻っていました。仕事も続けていたし、家族との時間も普通にありました。「完治した」わけじゃないとわかっていても、気持ちのどこかで「まあもう大丈夫だろう」と思っていた部分があったと思います。
——それが、甘かった。
放射線・抗がん剤の影響で、下痢や便秘などの腹部不調が増えましたが、それでも「寛解した」という安心感の方が大きかったのは間違いなかったです。
約1年後に再増大が判明するのですが、「あの時もっとちゃんと向き合っておけばよかった」と思ったかというと……正直、そう単純でもなかったです。向き合い続けること、常にがんや治療の事を考えること、それはそれで精神的に消耗してしまいますので。
ただ、「寛解=完治ではない」ということは、もっと自分に言い聞かせておくべきだったとは思っています。
この時期の「お金と仕事」の話
ちょっと治療以外のお話になります。
この時期はまだ普通に仕事を続けていたので、収入面での大きな変化はありませんでした。治療中も有給を使いながら通院し、治療後は通常復帰できていました。
寛解後に住宅ローンの団信特約を確認し、ローン免除の手続きを進めたのもちょうどこの時期です。この手続きで約2000万円のローンが消滅しました。「働けている今のうちに、もしもの時の制度を調べておく」ことの大切さを、このとき少しだけ実感しました。
傷病手当金・障害年金——これらを実際に申請し使うことになり、それでも結構危機的な状態に陥るとは、まだ思っていませんでしたが。
傷病手当金・障害年金・団信など、実際に申請して受給した制度やお金の話は、別記事(有料)にまとめました。同じ状況の方の役に立てればと思います。
おわりに
放射線化学療法と寛解——この時期は、今振り返ると「束の間の平和」だったと思います。
「寛解したから終わり」ではない可能性がある。でも「寛解したのに不安を持ち続けろ」というのも違う。
そのバランスを、自分なりに探しながら、今も治療を続けています。
次回は、再増大の発覚から2度目のセカンドオピニオン、そして手術を決断するまでの話を書きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※本記事は筆者個人の実体験に基づく記録であり、特定の制度、手続き、医療行為等の正確性や効果を保証するものではありません。掲載情報は時期や環境によって異なる場合があります。万が一、本記事の情報により損害や不利益が生じた場合も、筆者は一切の責任を負いかねますので、最終的なご判断はご自身の責任においてお願いいたします。
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