【Wi-Fi入門 第4回】ルーター・スイッチ・アクセスポイントを見分ける
Wi-Fiまるわかりシリーズ 4 / 10
「プリンターが突然つながらなくなった。とりあえずルーターの電源を抜き差ししたら直った——でもなぜ直ったのかは正直わからない」
そんな経験をした方は少なくないはずです。
机の脇に置かれた箱型の機器、実はルーター・スイッチ・アクセスポイントと、それぞれ担当する仕事がまったく違います。
この記事では3種類の機器の役割を整理します。
読み終えると、トラブルが起きたとき「どの機器を確認すればいいか」が迷わずわかるようになります。
▼前回の記事はこちら
この記事でわかること
ルーター・スイッチ・アクセスポイントそれぞれの役割の違い
3つの機器がオフィスネットワークでどうつながっているか
トラブル時にどの機器を確認すればよいかの判断基準
1台で複数の役割を兼ねる「複合機器」の見分け方
機器を見分ける前に:ネットワークの「流れ」をおさらい
まず、オフィスのネットワーク全体の流れを頭に入れておきましょう。
インターネット接続の入り口には、プロバイダー(インターネット回線を提供する会社)から届く回線があります。その回線を受け取る機器がONU(オーエヌユー、光回線終端装置)やモデム(変換装置)です。ここまでは「外の世界とつながる入り口」を作る部分。
そこから先、オフィス内のPCやプリンターにデータを届けるのが今回説明する3つの機器です。それぞれ担当する「仕事」がまったく異なります。
用語メモ:
ONU(オーエヌユー):Optical Network Unit の略。光ファイバー回線をLANケーブルで使える信号に変換する装置
モデム:電話回線やケーブル回線をインターネット信号に変換する装置

PC/プリンター、アクセスポイント→スマホ/ノートPC という接続の流れ図
ルーターの役割:「仕分け係」
ルーター(router)は、ネットワークとネットワークの間でデータを「仕分けして正しい方向に送る」機器です。
最も重要な仕事は、インターネット(外の世界)とオフィス内ネットワーク(内の世界)を橋渡しすることです。前回の記事で解説したIPアドレス(機器ごとに割り当てられる番号)の管理もルーターが担います。具体的には、オフィス内のPCやスマホに対して、それぞれ異なるIPアドレスを自動で配布する「DHCP」(ディーエイチシーピー、Dynamic Host Configuration Protocol の略)という機能をルーターが持っています。
ルーターは「郵便局」のようなもの。届いた郵便物(データ)を宛先(IPアドレス)を見て正しい部署(機器)へ仕分けし、外からの郵便と内部の郵便を仕分けする役割を担います。
電源を抜き差しすると直ることが多いのはルーターです。IPアドレスの配布に問題が起きると、オフィス内のすべての機器がネットにつながらなくなるため、「とりあえずルーターを再起動」が応急処置として有効な理由はここにあります。
スイッチの役割:「口を増やす機器」
スイッチ(現在のオフィスで「ハブ」と呼ばれる機器のほとんどはスイッチです)は、有線LANケーブルを複数本差せる「口を増やす機器」です。
ルーターにLANケーブルの差し込み口(ポート)は通常4〜8個しかありません。オフィスで10台、20台のPCやプリンターを有線でつなぎたいとき、スイッチを間に入れてポート数を増やします。
スイッチ自身はIPアドレスを管理したり、インターネットとの橋渡しをしたりはしません。「ルーターから来たデータを、接続されている機器に振り分ける」だけです。そのシンプルな役割のため、スイッチが単独で故障してトラブルになることは比較的少ないですが、電源が落ちていたり、ケーブルが抜けていたりすると、そのスイッチにつながっている機器がすべてネットに接続できなくなります。
オフィスでよく見かける「ポートが8個や16個ある薄い箱」がスイッチです。机のそばや、サーバーラックの中に設置されていることが多いです。
用語メモ:
ポート:LANケーブルを差し込む穴のこと。スイッチは8ポート・16ポート・24ポートなど様々な種類がある
アクセスポイントの役割:「Wi-Fi電波の発信源」
アクセスポイント(AP、エーピーとも呼ばれます)は、有線ネットワークをWi-Fi電波に変換して、PCやスマホがワイヤレスで接続できるようにする機器です。
ルーターやスイッチがあっても、アクセスポイントがなければスマホやノートPCはWi-Fiでつながれません。逆にいえば、「Wi-Fi電波が弱い」「電波が届かないエリアがある」といったトラブルはアクセスポイントが原因であることが多く、ルーターを触っても解決しません。
天井や壁に白い丸型・四角型の機器が設置されていれば、それがアクセスポイントです。カフェや会議室でよく見かける形状です。アクセスポイントを複数設置することで、オフィス全体をWi-Fi電波でカバーできます。

「全部入り」機器に注意:複合型ルーター
家庭用や小規模オフィス向けの機器には、ルーター・スイッチ・アクセスポイントの3機能をすべて1台に詰め込んだ複合型ルーター(ワイヤレスルーター、Wi-Fiルーターとも呼ばれます)が広く普及しています。
この1台で3役の機器は便利な反面、「どの機能にトラブルが起きているのか」が判断しにくいという弱点があります。Wi-Fiにはつながるのにインターネットが遅い場合はルーター機能の問題、有線でつないだPCだけが見えない場合はスイッチ機能の問題、といった切り分けができると、対応がスムーズになります。
中規模以上のオフィスでは、機能ごとに専用機器を分けて設置するケースが多いです。その場合、機器が別々になっている分、「どの機器に問題があるか」を特定しやすくなります。
まとめ:第4回のポイント
ルーターはインターネットとオフィス内ネットワークの「仕分け係」。IPアドレスの配布も担当し、再起動が応急処置になることが多い
スイッチは有線LANの「口を増やす機器」。スイッチにつながっている機器がまとめてつながらないときは電源・ケーブルを確認する
アクセスポイントはWi-Fi電波の発信源。電波が届かない・弱いトラブルはここを確認する
次回(第5回)は、この3つの機器が実際にどうつながっているかを前提に、会社の共有ファイルサーバー「NAS(ナス)」への接続設定を解説します。「共有フォルダが急に開けなくなった」というあのトラブルを自力で解決できるようになります。
Wi-Fiの設定や社内ネットワークでお困りのことがあれば、みよし屋までお気軽にご相談ください。
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