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向精神薬の使用と歩行能力の関連


📖 文献情報 と 抄録和訳

精神科薬物の使用と地域在住高齢者の歩行障害および移動障害との関連性:アイルランド高齢者縦断研究(TILDA)のデータから

📕O’Donnell, Desmond, et al. "The Association Between Psychotropic Medication Use and Gait and Mobility Impairment in Community-Dwelling Older People: Data From The Irish Longitudinal Study on Ageing (TILDA)." The Journals of Gerontology, Series A: Biological Sciences and Medical Sciences 80.5 (2025): glae263. https://doi.org/10.1093/gerona/glae263
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[背景・目的] 現在までに、精神科薬物(抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、Z系薬剤、抗精神病薬、抗コリン薬)が老年期の移動能力と歩行に与える影響を定量的に評価した研究はほとんどない。本研究の目的は、地域在住の高齢者大規模コホートにおいて、これらの薬剤と移動能力/歩行パラメータとの関連性を検討することである。

[方法] 参加者は、TILDA Wave 1時点で60歳以上であり、歩行と移動能力の評価(Gaitriteシステム)を受け、Wave 3(4年後)に追跡調査を受けた者を含む。精神薬の服用については、服用薬リストを調査した。回帰モデルを用いて、精神薬と、Timed Up and Go、歩行速度、歩幅、二重支持相などの移動能力パラメータとの関連を評価した。多階層モデルを用いて、精神薬の使用による移動能力/歩行変数の経時的な変化を評価した。

[結果] 2,620人の患者中、12%が1種類以上の精神科薬を処方されており、3%が2種類以上の精神科薬を処方されていた。

横断的に、精神科薬の処方とTimed Up and Goの延長(β=0.50 [95%信頼区間(CI)0.27–0.73]; p < 0.001)歩行速度の低下(β = −5.65 [95% CI −7.92 to −3.38]; p < 0.001)歩幅の短縮(β = −2.03 [95% CI −2.93 to −1.42]; p < 0.001)、および二重支持相の延長(β = 0.47 [95% CI 0.19–0.75]; p = 0.001)の関連が認められた。

縦断的に、精神薬の使用は異常なTimed Up and Goへの移行と独立して関連していた(オッズ比 2.68 [95% CI 1.55–4.64], p < 0.001)と独立して関連していた。一方、2種類以上の精神薬の使用は、歩行速度の遅延への移行と関連していた(オッズ比 2.59 [95% CI 1.01–6.68];p = 0.048)

[結論] 向精神薬の使用は、横断的および縦断的に、移動機能と歩行パフォーマンスの有意な低下と関連していました。包括的な老年医学的評価の一環として、向精神薬の使用を再評価することが不可欠です。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

向精神薬は、転倒リスクを高める。
この結論は、前々から知っていたし、文献抄読でも紹介してきた(関連note参照)。
だが、この時の向精神薬と転倒リスクの関連の仕組みのイメージは、以下のようなものだった。

向精神薬の使用
→(薬の副作用によって)覚醒状態が変動、フラフラする
→ 転倒リスクが高まる

つまり、薬剤の使用によって、即時的に、断続的に歩行安定性が低下し、転倒するというイメージだった。
だが、今回抄読した研究によって明らかになったことは、向精神薬使用者は、ベースの歩行能力が低下していて、長期的にみても歩行能力の低下と関連していたということ。
向精神薬の使用は、先ほどの即時的・断続的な影響とベース・長期的な歩行能力への影響という両輪で、転倒リスクを高める。
向精神薬の歩行能力に対するイメージを、変えていこうと思う。

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